暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語
■■インフィニティ・モーメント編 主人公:ミドリ■■
壊れた世界◆自己の非同一性
第五十五話 シノンが目指すもの
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沼に陥りそうになった思考を停止させた。
「ああ、少しは知ってるぞ。あんまり人に言うべき話じゃないから不都合なところは端折らせてもらうが――ミズキの所属していたギルドが人殺しギルドに襲われたことがあったんだ。その時、ギルドのメンバーが仲間を助けるために相手を殺さなければいけなかった。ミズキはその殺人に対して多少の恐怖感を覚えつつも理解を示したんだ。その時、彼はだいたいこんなようなことを言った。『この世界の全てのものは生きている、つまり自分は仲間を守るために生きるものの命を奪ってきたんだ。その殺人も、仲間を守るためにモンスターを殺すっていう自分の覚悟の延長線上にあるものだろう』」
 シノンにとってはその事実はかなりの衝撃を持っていた。誰かを守るために殺人を犯す者がここにもいたとは! そしてその惨劇を目の当たりにしながら、なおそれを容認できる者がいたとは!
 ――しかしそれはシノンに衝撃を与えはしたが、それ以上の何かをもたらすことはなかった。彼女が目指すべき強さを持った誰かが、ここにはいる。ただそれだけが重要だった。そして彼女がその誰かに追いつくためにできることはやはり、強くなること以外に存在しなかった。だから彼女がまた再びつぶやく言葉も、以前と同一だった。
「強く、もっと強く……一人で立ち向かえる力を……!」
 その日は夕方になるまで、シノンの短剣をミドリの盾が迎え撃つ圏内戦闘特有の鈍い音が途切れることはなかった。
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