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DAO:ゾーネンリヒト・レギオン〜神々の狂宴〜
第二十一話
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彼のAGI型ビルドでは、『必ず後攻』という状況に対応できない。薄い防御の上から切り刻まれて敗北だ。ウサ耳を隠す動作も、こちらが速くなければ起動しないので、ホロウには効果を発揮できなかった。

 ほかにもさまざまな要因はあったが、その中でも最大はやはりこの『後攻に対する耐性の低さ』だ。ならばどうするべきか――――

 考えた結果に生み出されたのが、『後攻であっても繰り出せる剣技』だ。

 以前ウォルギルとの戦いのときに編み出した《吹雪返し》は、やはり先攻であることを前提にした剣技だ。さらに都合の悪いことに、生みだされるべき剣技は、『後攻前提』ではなく、『後攻であっても繰り出せる』剣技でなければならない。

 つまり、コクトがはやくても、遅くても、絶対に打てる。そんな剣技でなければならないのだ。

 結果として――――コクトは、その《解》に辿り着いた。

 あらゆる魔術とスキルを斬撃に上乗せすることで、『どんな剣技でも強化する』という、必殺の《戦術(タクティクス)》を生み出したのだ。

 結局、剣技では無いが――――これなら、先攻/後攻を判別してからでも起動が間に合う。

 だから今回のように――――

 真正面からの攻撃でも、全く問題はなかった。

「――――っ!?」

 巻き起こった吹雪に後押しされ、凄まじいスピードでカズに肉薄するコクト。ぎらり、と光ったその刀身が、カズの胸に向かって突き出される。

 だが彼は諦め悪く、どこか楽器の音にも聞こえる、重厚な呪言を繰り出し始めた。

「『■■■……』」
「悪いな。《竜神真言(ドラゴニック・ワーズ)》は使わせない」

 コクトの周囲に立ち上っていた風が、カズの口に入る。言葉が乱れ、《竜神真言》が失敗する。

 これが、人間サイズの存在が使う《竜神真言》の弱点。巨大なドラゴンならば、風程度で言葉を乱されるなどほとんど気にしなくていい。だが、人間サイズならば、ちょっとした魔術やスキルでそれを妨害できるのだ。

「ゼェェェェィッ!!」

 鋭い突きが、疾ィッ!という風切り音と共に、カズを貫いた。

「……、……」
「……呼び出されさせたりしてすまなかったな。未来でまた会おう」
 
 次の瞬間。

 未来の世界から連れてこられた偽物のカズは、無限の炎となって消滅した。ふりかえれば、《イフリート》と戦っていた《ジークフリード》も消滅しているらしい。

「……やったな」
「ああ」

 近づいてきたラーヴェイと拳を打ちつけ合う。

「いやはや、全くみごとであった」

 その時だった。

 聞くのはやけに久しぶりに思える、芝居がかった口調の声が降ってきたのは。

 いつの間にか上空に浮いて戦いを見守っていたノイゾが、
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