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DAO:ゾーネンリヒト・レギオン〜神々の狂宴〜
第二十一話
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る。恐らくだが、凄まじい激痛が彼女を襲っているのだ。

「先生……!」
『ふむ……ある意味でプロパガンダになったか。見たか? 俺の本来の役割は、異能者なんかじゃなくて魔導書なんだよ。どーせ生真面目な坊主のことだ、さっき思ったんだよな? 『なんで人間だったはずなのに本なんかに』、とな。つまりこういうことだったワケさ。
 《精霊系自在師》にはな、こうやって、『使われること』を前提にした異能もあるんだよ』

 初耳である。

 そもそも、《自在式(いのう)》の片端をかじった程度のハクガには、専門的な知識があるわけでは全くない。自分の家に頻繁に出入りしていた自在師が、そんな技能を持った存在だったとは、知らなくても当然である。

「《天球儀(ラグナライズ)》はね、本当ならシーニア一族しか使えないんだけど、グリモアは特別に使えるんだよ」
『そういうこった。わりぃな、坊主。嬢ちゃん。お前らには、ここで消えてもらうことになるわ』

 ぞくん。

 ハクガの背中を、何か凄まじい悪寒が這いずり回る。

 これから繰り出される《ナニカ》は、想像を絶する存在だ――――そんな確信が、ハクガを捉えて離さない。

「お父様がね、使っていいって言ったの。だから、これ、使ってあげる。
 『――――《惟神》――――
     《絶対唯一神(YHVH)

  我に逆らう者に、雷を』」

 起動の直前、ハクガはせめて、とハクナに駆け寄って、彼女を抱きしめた。意味があるとは思えないが、彼女を、守らなくてはならないと。

 そう、なぜか思って。
 

 真っ白に染まる視界。それが、ハクガが二度目の《白亜宮》で、最後に見た光景だった。



 ***



「おぉぉぉおおお!!!」

 コクトの刀から、吹雪が漏れ出ではじめる。

 《冥刀・(イテツキ)》のエクストラ効果である氷ダメージ追加。それを、持ちうるスキルと六門魔術を使って、ひたすら最強化した、コクトの切り札。

 この一か月の間に、シミュレーションステージでひたすら鍛え上げた、対《白亜宮》用の剣技。

 前回この場所に来た時に――――コクトは、《七剣王》を名乗る少女たちの筆頭、ホロウ・イクス・アギオンス・スプンタマユに完膚なきまでに敗北した。

 どれだけ早く動いても、まるで何事もなかったかのように先んじて動いてくるホロウ。早さがウリのコクトは、それに全く対応できずになすすべもなく切り刻まれたのだ。

 あれから、どうやれば奴に勝てるのか――――それなりに、コクトは研究した。

 敗因の一つは、《コクト》というアバターの、彼が先手を取れない場合に対する弱さだ。スピード系のスキルや技術を極め、常に先手を取れるようにカスタマイズされた
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