暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
GGO
〜銃声と硝煙の輪舞〜
近付く者達
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いう彼我の距離が否が応にも縮まる状況の最中でも確実に逃げ切れる己の足への自信と、何より敵に飛び道具がない場合だ。そうでなくては奇襲から逃げる前に蜂の巣にされてしまう。

そんなことはありえない。なぜならGGO(ここ)はあくまでもガンゲーなのであり、その花形は絶対的に飛び道具(銃器)なのである。そのため、この戦法がこの世界で使えるはずもない。だってそれは、真後ろから飛来する銃弾を見ないで避けろと言うようなものなのだから。

「……どこの万国ビックリ人間よ」

「リラちゃん、言い方がオヤジ臭いよ」

とにかく、とリラは十字路を右に曲がった。

そこはエレベーターホール。ミナの言う《死体》の山がようやく視界に入ってきた。頭の先から足の爪先まで、徹底的に素肌を見せないようにしているとしか思えない軍隊服の人間が、ある者はマスクを血や吐瀉物で汚し、ある者は身体中に弾痕を残し、ある者は首をありえない角度に曲げ、大理石の床の上に無造作に転がっていた。

「これで、この船にあたし達以外が乗ってることは確実ってわけね」

「そーなるねぇ。しかも凄腕の」

何者なんだろ、と呟きながら、ミナは足で黒尽くめの身体をつつくが、さすがに起き上がったりはしない。ここでゾンビチックに生き返れば、おしべめしべではない方向のZ指定ゲームに突入できるのだが。

「索敵には引っかからないの?」

「うん、全然……。あ、いや、ちょっと待って」

「なに?」

えっとね、と言いながらミナは手元に浮かぶマップウインドウを操作し、可視状態にしたそれをこちらに見せてきた。

一瞥すると、そこには《DEAD状態》を示す黒点がいくつか、そして自分達の存在を示す二つの光点がある。

「それが何よ」

「いや、索敵スキルで測れるのは平面だけなんだよ。だから、違う階層の反応とかは拾えないの」

「はぁ〜ん、なるほど。んで、それがどーしたの?」

少しは大人しく聞いてよぅ、と口を尖らせながらミナは首を巡らせる。その双眸が見つめるのは、広大なエレベーターホールの穴だらけの大理石の壁に据えられているエレベーターの回数表示だ。

つられるように目線を移すと、その回数表示は最上階――――第十階層で止まっていた。

「…………まさか」

「……まさか、ねぇ」

顔を見合わせ、力なく笑いあうが、その笑みは例外なく引き攣っていた。

――タタッ

――――タタダダッッ

「ってやっぱり上かよッ!」










ポーン、という電子音が鳴り響いた瞬間、レンは開く扉の隙間から小柄な体を利用して猛然とダッシュした。

開き始めた扉の隙間からは、本能が警鐘を鳴らすぐらいの眩い赤光の嵐。

ユウキのことは考えな
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