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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第十四話 二人目の“鍵”
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/Fay

 馬に乗って走って、夕方が夜になるくらいの時間をかけて、わたしたちとシャール領の兵隊さんが要塞に到着した。

 兵隊さんの先頭に立つのは、クレインさまとローエン。どっちもフェイが知らない、コワイ顔してる。

 ガンダラ要塞の兵隊さんがいっぱい出て来て、シャール領の兵隊さんに槍とかを向けた。わたしたちを敵だと思ってるみたい。

「我はカラハ・シャールの領主、クレイン・K・シャール! こちらに戦う意思はない。私はただ囚われた妹たちを迎えに来ただけだ。貴君らが家族や仲間を思う心が分かるというなら、どうか門を開き、中へ我々を通されたし!」

 すごく叫んだって感じじゃなかったのに、クレインさまの声、後ろにいたわたしとアルヴィンにも聞こえた。
 まるで風があの人の声を届けるためにここ一帯を巡ったみたい。

 粘ついた沈黙はそう長くは続かなくて。
 国軍兵の臙脂の鎧を着た兵士さんたちが、少しずつ武器を捨ててその場に膝を突いてった。そうじゃなかった兵隊さんは、要塞の中に逃げ戻っちゃったけど。

 こんなに、こんなにたくさんの人の心を動かす言葉を、クレインさまは持ってるんだ。

 ローエンがシャール軍の人たちに命令する。武装解除をして、戦う意志のない人たちには絶対手を挙げないように。


「急ぎましょう。ドロッセルもヴィクトルさんもイバルさんも、きっと待っています」

 いや、ローエン、パパはきっと、ううん絶対待ってない。あんだけ強いのよ? 自分で現状打破くらいしてみせちゃうよ。そんで、フェイが心配して来たって言っても、無言でコトバを圧殺するのよ。

 国軍兵のことはシャールの兵隊さんに任せて、わたしたちは要塞の中に入った。



 ふわあ。広い廊下。要塞ってこんななんだあ。

「要塞は大通路を中心に対称な四層のフロアで構成されています。迷わぬようご注意を」
「ああ。心配してくれてありがとう、ローエン」
「アリガトね」

 パパはどこ? 室内で、精霊そのものじゃない、人間を見つけるのはムズカシイけど、やってみないと……あ!

 精霊の力。しかもわたしたちには切っても切れない呪いのような気配。

 パパが骸殻を使ったんだ。

「いるよ――パパ、あそこにいる!」

 大回廊にいくつもあるドアの一つを指差した。

 イバルとドロッセルさまもきっといっしょだと思う。相手がフェイならともかく、パパがあの二人、特にドロッセルさまを置いてくわけない。パパってあれでフェミニストだもん。

「そいじゃ、ボス攻略と行きますか」

 アルヴィンが大剣を肩に担いだ。クレインさまもローエンも、武器は抜かないけど、完全に臨戦態勢。
 わたしだって、がんばんきゃ。今はわたしが〈マクスウェル〉な
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