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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第十二話 鶴声(後)
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 ローエンは何か言いたげだったけど言わなかった。自分の鞘から抜いたサーベルを、両手で恭しくクレインさまに差し出した。

 クレインさまがサーベルの柄を握って、大きく踏み出した。

 ――やわらかな人が、剣を払い、光る蛾の翅に一閃を入れた。

 空気が変わった。連れて来られた人たちがしんと静まり返る。
 だって、目が。目が惹かれてやまないの。クレインさまから目が逸らせないの。こんなにも凛々しい戦姿。わたしたちみんなを絶対守ってくれるって信じさせてくれる。注目せずにいろってほうが無理よ。

「これ以上、私の民を傷つける事は許さない!」

 みんながクレインさまを見てた。

 このどきどきはナニ? さっきまでキンチョーでドキドキしてたのに、変わった。イヤじゃない。コワくない。全然悲しくないのに泣いちゃいそう。





/Victor

 クレインがサーベルで光る蛾に斬りつけた。

 自ら最前線に立ち、領民を守る剣士領主か。これは確かに人望があるわけだ。
 しかし剣術一つでは、この光る蛾は倒せそうにないな。ここは助太刀してやるのが筋か。見逃してもらった借りもあるしな。

「アルヴィン、援護するぞ」
「あいよっと」

 二人してホルスターから銃を抜く。私が右、アルヴィンは左だ。

 光る蛾の周りを走りながら銃を連射する。総量を減らせば貫通してバラけさせることが可能になる。

「「エアスラスト!!」」

 ローエンとフェイリオが合わせ技で、風の刃を発生させて光る蛾の総体を削り落とす。

「「海龍剣!!」」

 間髪入れず、今度はローエンとイバルによる水の剣閃。

 ここまで来れば今度こそ。

 声をかけるまでもなく、すでにクレインはサーベルを手に光る蛾に突撃していた。

「やあぁぁ――ッ!!」

 サーベルの刀身が光る蛾の中心に深く沈んだ。

「やった!!」

 快哉を上げたのはフェイリオかイバルか、あるいは領民か。――だが早すぎた。サーベルの刀身は光る蛾に半分沈んだ所で止まった。

 まずい。反撃が来る。懐に潜り込んだクレインの後退はどうしても遅れる。

 下がれないなら、進ませるまで。
 双剣を抜いて、剣に風圧を巻き込ませて横に薙ぎ払った。

「そのまま跳べ! クレイン!」

 我ながら無茶なパスだと思ったのに、クレインは意図を正しく理解した上で()()()
 私が放った斬撃をクレインは足裏に受け、推進力にして光る蛾の残る半分を両断した。
 クレインが着地するまでの間を待ったかのように、光る蛾は嘶いて地に堕ちた。

 着地したクレインがサーベルを払った。銀が閃いた。

 わっ、と領民が沸いた。歓声と拍手で洞窟
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