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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第七話 エレンピオス小会議
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は銃を構える腕は水平のまま、ピンをキャッチした。キャッチしただけだ。すぐには検めようとしない。ふむ、なかなか良い警戒心だ。

「君は読めるはずだ。母国語だからな。私が働いていた会社の社章だよ」
「“Clan Spear”……? ってあのクランスピア社か!? “ティッシュから空中戦艦まで”がキャッチの、国の政治を裏から牛耳ってるって噂だったあの!?」
「……よく覚えているな。君、こっちに来た頃、5歳だろう」
「ガキの耳聡さなめんなよ。CMでイヤってほど流れてたからな。じゃなくて! え? アンタが?」
「社のトップエージェントとして働いていた時期もある」

 アルヴィン、口が金魚みたいだぞ。あと人を指差すな。青くなるな、失礼な。

「これで分かってもらえたか? 私は正真正銘のエレンピオス人だ」
「……それが本当だとして、何で俺が密偵をやめるって話に繋がるんだよ」

 アルヴィンがスカーフピンを投げ返したので、キャッチした。――食いついたな。

「本当の意味で君に仲間になってほしいんだよ、アルヴィン。君は実力があるし弁も立つ。何より〈この世界の本当の事〉を知っているお仲間となると、探すだけでも一苦労だ。そこに君が現れた。大方、アルクノアの指示でマクスウェルを監視しろとでも言われたか。何にせよ私にとって僥倖には違いない」
「俺がアルクノアだってのも承知済みかよ」
「おや、本当にそうだったのか。こちらではアルクノアでないエレンピオス人のほうが珍しいと思ってカマをかけたんだが」
「……アンタ、性格悪いって言われるだろ」
「さてね」

 ジュードたちを殺して以降、私が接した他人など娘と社員くらいだからな。陰口は言われていたかもしれないが。

「ぶっちゃけ、アンタの目的って何なんだよ。俺を引き入れてまで何をしたい」
「アルクノア以上に確実かつ人道的で、メリットが一勢力に偏らない方法で断界殻(シェル)の解放を目指している」
「……正気か?」
「至って正気で、本気だ。私とてエレンピオスと完全に隔絶された世界の在り様を良く思ってはいない。それに考えてもみたまえ。〈クルスニクの槍〉で断界殻を破壊してしまえば、莫大なマナが消失するんだぞ? どうせ断界殻を無くすなら、マナ不足に喘ぐエレンピオスに還元したほうが合理的だとは思わないか?」

 アルヴィンが銃を再び上げた。が、照準は私ではない。私の後ろにいる誰か。その誰かに向けて、アルヴィンはトリガーを引いた。
 銃弾が肩を掠めた。後ろの何者かが狼狽して離脱した気配。

「フリでも避けろよ」
「君が撃たないと銃口の向きで分かっていたからね」
「……しばらくはアンタに付いてやる。ただし俺なりに信用できるか試したいから、猶予は貰うぜ。そうだな。次に行く、人のいる街まで」
「好
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