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バカとテストと白銀(ぎん)の姫君
第一部 最終話 彼と彼女の事情
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でにやらなければならない事項が多いのはやはり理科二科目だ。
「このテキストも後二日で出きるかな。」

表紙には『最難関国公立への物理』と書かれていた



鏡の中に彼の姿が浮かび上がる。
「今日は……そうだね、友香さんと帰るときに聞いたんだけど、Cクラス全体が僕のファンクラブみたいなムードになってるらしいのだけど…」
彼は鏡の中の自分に語りかけていた。
「聞いてくださいよ、僕は歴とした男ですよ、男!そんな僕のファンクラブって一体何なんだよ!!…って、こう反応できているうちはきちんと男だって自覚がくっきりしているんだけどね…最近お嬢様言葉を使う頻度が高くて……こう、思考まで浸食されてそうで…」
もしかしたら、彼の目には違う人物の姿をその鏡の中に見ているのかもしれない。
「……でもまだ僕は頑張れるから。貴女が最後まで頑張ったみたいに、今度は僕も頑張るから。」
精一杯の微笑みを鏡に向けると、鏡の中の彼もまた現実に彼に向かって微笑みかけた。
「じゃあ、お休みなさい。千歳さん…」

そう言って彼は鏡に映る彼女にその日の別れを告げる。

「ねえ、ちーちゃん。お姉ちゃんはちーちゃんに何て言ってあげればいいの?」
そんな悲しげな声を、彼は夢現(ゆめうつつ)狭間(はざま)で聞いたように感じた。




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