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バカとテストと白銀(ぎん)の姫君
第一部 最終話 彼と彼女の事情
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「妃宮さん、余計なタイミングで来ちゃったかな。」
頭をかきながらそんなことを言ってくる吉井に、僕は苦笑してみせる。
「友香さんに逃げられてしまったのは(わたくし)の不徳とするところです、気にしないでください。」
何故友香さんが走っていってしまったのか、僕には分からない。
だから、彼女からもし次に合ったときに何かをいわれたならそれをしっかり受け止めよう。そう自分に言い聞かせながら、僕は思考を召喚戦争に向けたものに変える。
「妃宮さんがそう言うんだったら…まぁ、しょうがなかったんだってと思うことにするよ。」
あははと笑う彼に、僕は少しばかり心が落ち着く。
彼はいつでもこんな感じで笑っているのだろう。彼女たちが心引かれているのはこう言った部分なのだろうか。
「それで代表が私のことを呼んでいるとは何なのでしょうか」
「たぶん霧島さんの要求を聞くって奴の確認なんだと思うんだけどさ。霧島さんも妃宮さんにどうしても臨席してほしいってさ。」
なるほど、証人喚問の要人として連れていかれるのか。

「……雄二、約束」
代表殿と霧島さんはまだフィールド内にいた。
代表と霧島さんの間ぐらいに立っている久保の向かいあたりに僕も立つ。遅れたことに謝辞を表すと、代表が低く力の入っていない声でつぶやく。
「………言うだけ言って見ろ。」
その言葉に淡々と、しかし少しだけ期待するように霧島さんは答えた。
「…私と付き合って」
彼女の言葉に一瞬教室中の物音が消えた。

そしてわずかに遅れて、教室を男女分け隔て無く発せられるどよめきが覆い尽くす。
校内では霧島さんは実はレズなのではないかという噂もあったらしい。
Aクラスの半分ぐらいはその噂を信じているのではないかという、ムッツリーニからの事前情報通りの反応。

そして、彼らがこんなにも驚くほどに男の影が無かったのだろう。
それが、一途に一人の男を想うものであったからだとは誰も想像していなかったのだろう。
「…やっぱりな。お前から戦争をふっかけられたときからそうだろうとは思っていたが…」
代表があきれたというのを身振りを交えて表現する。
彼の目の前には静かに、けれども猛然とプロポーズを仕掛けてきている霧島さん
「総員戦闘配置につけ、あの異端者に我らの恐ろしさが如何なるものか思い知らせてやるのだ!!」
「「「異端者には制裁を!!」」」
そして彼ら二人を取り囲むFFF団という暴徒諸兄。
一部Aクラスのメンツが黒服面を借り受けて、その包囲の輪の中に乱入するのが見えたけれども、どうしてクレバーなはずのクラスの連中まで何だってFFF団に参加しているんだ。
考えるだけでも頭が痛くなる。
「拒否する、そんなもの受け入れられるか!」
「「「それでこそ俺たちの代表だ!」」」
代表殿の声に、怒号
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