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ソードアート・オンライン 少年と贖罪の剣
第五話:笑う棺桶
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ったキリトとアスナは、溜息をつきつつ神妙な面持ちだった。

「『アイギス』か…どうしてあんなことになったんだろうな」

キリトは、アスナから以前レンが所属していたギルドの最期を聞いていた。勿論、レンの手によって最期を迎えたということも。

「ネロさんもみんなも、いい人たちだったのにね」

『アイギス』は比較的に新しいギルドであったが、レンが所属していることやその功績も相まって最終的にはそれなりに有名なギルドであった。
少人数でありながら、一人一人の戦闘スキルはかなりのモノで、特に防御スキルでは鉄壁と称される程。レンはその中で唯一のアタッカーとして在籍していたようだ。
アスナもキリトも、アイギスのギルドマスターである女性プレイヤーの『ネロ』には何度も助けてもらったことがある。
彼女たちの意思と信念は本物だった。護り切るといつも言っていたのを思い出す。

「……アイギスがいなくなったのは攻略組にとっても痛手だ。だからこそ、もっと俺達が頑張らないと」

「うん。ずっとレン君に無理させる訳にもいかないもんね」

そう言って二人はテーブルに突っ伏して眠っている黒髪の青年を見やった。
こうして寝ていると、とても彼が何千人もの人間の期待を一身に背負っているとは思えない。

「…あれ? これって」

「アスナ?」

もう一度レンを見たアスナが、なにかに気づいたようにレンの右手を持ち上げた。
持ち上げられた右手の人差し指、白い指貫グローブに覆われたそれが、青く透けていた。

「これは、どういうことだ…?」

キリトが疑問の声を漏らす。プレイヤーのアバターたる体が透けるのは、唯一その命が散る時のみ。透けた後はモンスターと同様にポリゴン片に分解されて散っていく。
それ以外はあり得ないはずである。

「まさか、ナーヴギアとの接続が不安定になっているのか…?」

ソードアート・オンラインというソフトを使って現実の脳にこのアインクラッドの風景を投射する機械であるナーヴギアとの接続不全は、このデスゲームの世界において致命的な問題だ。
なにせこの身がなくなれば現実の自分も死ぬのだから。強制切断によってこの世界から退場していった人間も、少なくはない。
キリトがその考えに辿り着いた時、しかしレンの右の人差し指は実体を取り戻していた。

「…戻った? 接続がよくなったのか?」

「わからない。けど、聞いてみた方が良さそうだね」

恐らく聞いた所でレンは何も言わないだろう。しかしそれでも、今彼を失う訳にはいかないのだ。例え無駄だと分かっていても、言うだけ言った方がいいに決まっている。



† †



夢を見ていた。オレがこのデスゲームに閉じ込められる時よりもっと昔。
まだオレが、近所の道
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