暁 〜小説投稿サイト〜
雲は遠くて
60章 G ‐ ガールズ、全国放送に出演!
[1/5]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
60章 G ‐ ガールズ、全国放送に初出演!

 11月3日。午前11時。秋らしい澄み切った青空の文化の日である。

 JR渋谷駅のハチ公改札を出て30秒ほど歩く、渋谷駅前交番に、
カラフルな秋のファッションを上手に着こなすグレイス・ガールズのメンバー全員と、
ジャケットとストレート・デニムの岡昇が集まっている。

 交番の中にいる警察官や、行き()う人たちは、G ‐ ガールズのことを
知っているらしい。彼女たちを、ちょっと(のぞ)くように見たり、
ちょっと立ち止まったりしては、笑顔で何か言葉を交わし合ったりする。

 G ‐ ガールズと岡昇は、この渋谷駅前交番から、歩いて12分くらいの距離にある、
NHKi (エヌ・エイチ・ケイ)放送センターで、午後1時5分から始まる生放送の番組、
『スタジオパークからです!こんにちは!』に出演するところである。

 清原美樹や大沢詩織たち、みんなは、日本で唯一の公共放送のNHKi
(日本放送協力会)の初出演に、すこし興奮している様子でありながら、
いつもの明るい晴れやかな表情である。

 みんなは、歩いて行こうか、バスにしようかと、ちょっと迷うが、
11時48分発の放送センターへの直行バスに乗り込んだ。
直行バスは、渋谷マークシティ前、2番乗り場から、1時間に4、5本出ている。

 バスが放送センター西口に到着して、真っ先に降りたったのは、大沢詩織だった。

「わたし、この放送センターに大好きなんだぁ。渋谷だなぁて、感じがして!」

 大沢詩織が、放送センターの大きな建物を眺めながら、そういう。

「あっはは。おれも、渋谷に遊びに来ると、用事もないのに、このNHKi のまわりを
歩いたりするんですよ。それだけ、この放送センターは、渋谷のシンボル的な名所
なんでしょうかね?」

 G ‐ ガールズの演奏の中で、パーカッションをしている岡昇は、そういって、
詩織を見る。

「それにしてもさぁ。渋谷の街って、どうして、こんなに坂道が多いんだろうね」

 そういったのは、リードギターの水島麻衣だった。

「下北だって、坂道は多いしね。おれ、坂道が多いの、不思議に思って、
ネットで調べたらさぁ、2万年くらい前の大昔には、東京都の23区の
かなりな部分は、海の中だったていう話が書いてあったよ。なんでも、
東京湾の海水面は現在よりも100メートル以上も高かったんだってさ!」

 と、岡昇が、少し得意げに、みんなにそう語る。

「なーるほど、岡先生、それで、坂も多いってわけですね!」

 清原美樹が岡にそういうと、岡は少年のように照れて、頭をかく。
みんなは、声を出してわらった。

 みんなも、気分は高揚して、幸福なハイ・テ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ