暁 〜小説投稿サイト〜
仮想空間の歌う少年
5行進曲ーcommodo (気楽に)
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アルンの裏通りの細い路地を進んだ先のずっと先の民家の装飾オブジェクトしか思えない扉をリーファが鍵を使うと。
長い長い階段がそこにあった。

「へえー!凄いね!この階段!」

僕達は今秘密通路の階段を一段一段降りている。これがヨツンヘルムの地下世界に繋がっていると考えるとワクワクする。
するとキリトが胸を張って自慢してきた。

「そうだろ?ノーマルのルートでヨツンヘルムに行くのに最速で2時間かかるところを!なんとこの階段を使えば5分で到着できるんだぞ!」
「あのねえお兄ちゃん、ここを降りても出口でトンキーが来てくれないと落っこちて死んじゃうよ?」

僕はそれを聞いて。疑問に思った事を聞く。

「トンキー?」
「ああ。あの時スノーは居なかったか…。」

どうやらトンキーというのは最初にヨツンヘルムに来たとき助けた邪神モンスターらしくそこに8人乗れるらしい。
…ん?7人じゃないか?いや8人だよ。この世界では。
そんな意味の分からないツッコミを頭の中でしているとまだキリトは自慢顔だった。

「…とにかくそういう訳だから一段一段感謝の心を込めながら降りるんだぞ諸君。」
「あんたが造った訳じゃないでしょ。」

するとシノンがスナイパーのような的確なツッコミをする。キリトがニヤッと笑った雰囲気が出たと思うと。

「ご指摘ありがとう。」
「フギャア??」
「シノン??」

するとキリトは前を歩くシノンの尻尾を掴んだらしく物凄い悲鳴とともに飛び上がっていた。ちなみに僕はキリトの後ろを歩いていたので。

「へえー。キリト君。人の彼女にイタズラか〜。彼氏の目の前で。」
「…。」

僕が肩を掴むと。さっきまでシノンの引っかきをかわしていた余裕そうな表情が消え。漫画の描写であるような震え方をしていた。そして僕は明るい声でシノンに問いかける。

「シーノーン!こいつ…」
「やっちゃっていいわよ。」

シノンがキリトに向かって右手の親指を下に向けたので。

「りょーかい!agitato…激しくいくね♪」
「あの。スノーさん。慈悲は。」

僕は今も震えているキリトの向かって極上の笑顔を浮かべる。

「ない。…さっきのシノンの様に可愛い声で啼いてね?」

そのまま僕はキリトに膝かっくんをするとまるで指揮者の様に手を上げる。そしてこう言い放つ。

Grave(重々しく)♪!」

するとバランスの崩れたキリトに五線譜が描かれたと思うと。キリトと同じくらいの大きさの音符が現れ。キリトを踏み潰した。

「この前のアップデートで新装された新魔法。『指揮者(マイスター)』の演奏形式はどう?」

この魔法。とある漫画とのコラボでついに出た魔法。
奏剣の魔法バージョン。音楽記号通りの意味の音
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