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乱世の確率事象改変
想い育てよ秋の蘭
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 ゆらゆら、ゆらゆらと水面が揺れる。身体もつられて揺らり揺らり。
 その場に居る誰しもの顔が蒼い。船に乗るのはあまりしてこなかった者達である。水上に出慣れている漁師ではあるまいし、こうして酔ってしまうのも詮無きかな。

「なぁ、朔にゃん。ホンマにええんやろか。勝手にこないな動きしてしもて」

 尋ねる少女はたわわな胸を揺らして振り返り、独特の関西弁で疑問を向ける。まだ酔い始めであるのか、僅かだが彼女の顔も蒼い。

「うっ、だ、大丈夫、です。ふぇっ……官渡で遊ばせておく、なんて勿体無いですから。元より秋兄様は、あなたに“船戦の問題点を理解させたい”とおっしゃってました。えぅっ……何を狙ってかは、捻じ曲げるだけ、と詳しく教えてくれませんでしたが」

 吐きそうになりながら、所々で口を小さな掌で抑え、彼女も真っ青な顔で言葉を紡ぐ。
 揺れが酷い。本当に、こんな状態で戦える者達が不思議なくらいだった。真桜は水上で戦うとはどんな状態なのかと、周りと自分の把握を行いつつ、頭に叩き込んで行く。通常ならば船での戦闘を想定してだが、彼がその程度のありきたりな答えを出すか、と自問自答すれば否。
 対岸が見えぬ程の大河で、彼女達は船の上。まだ目的地は先の先。

「う、うめぼし」

 ハッとして、すっかり忘れていた、と小瓶の中から赤い実を一つ取り出す。迷信だし気休め程度の気付けにしかならん、と彼が言ったモノ。船も使うかもしれないからと、準備期間の間に店長の店から取り寄せて置いたのだ。
 彼に狂信している朔夜からすれば、迷信だとしても自己暗示で落ち着く様子。

「――――――っ」

 口に入れた途端にぎゅっと目を瞑る朔夜。その姿に、周りの兵士達も幾分か心が和む。

「それ、よう食えるなぁ」
「酸っぱい、ですけどおいしいんです。“おにぎり”に入れれば保存効果も少しばかり期待できるらしく、何より、お米がおいしくなります」

 娘々での経験は彼女の頭にもしっかりと入っていた。
 雑学に頷き、彼女に倣ってひょいと一つ摘まんで口に入れる。刺激的な酸っぱさに、真桜も思わず眉を顰めた。
 予想よりもさらに酸っぱかったからか、頭が少しばかり晴れた気がした。

「で? どうするんや?」
「まだ、です。船の速度から換算するに、此処ではありません。漁船を借り受けてはいますが、小舟を出して確認するのもまだです」
「……火矢とか来たらどないする?」
「水に浸した、筵を被せれば消せます。何より、この小型投石器で油瓶を投げれば、こちらは余り近付かず、被害は軽微に抑えられます。それに遠距離兵器の使用を匂わせて、敵全ての思考を鈍重に縛り付けるのが本当の狙いです。ある程度逃げた後、投石器は崩して河に沈めます」

 指差した先にあるのは真桜の発明品。大型
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