暁 〜小説投稿サイト〜
横浜事変-the mixing black&white-
暁ケンジは己のエゴのために裏世界への一歩を踏み出した
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している事が判明した。

 ――殺し屋ってそんなオープンな感じでいいのかな?

 映画などで見られる描写を予想していたため、腹に()もっていた緊張感が少しだけ薄れた。ケンジはそれを一時的なものだと思い浮かべながら目的地へと歩き出す。

*****

 横浜スタジアムの真反対に位置する区域。やはりビルが土地を占拠している大通りを一本左折した路地に、彼はいた。

 「やあ、ここで出会ったのは偶然?それとも……」

 「僕が、僕の意思で来ました」

 「なるほど。その意思を尊重しよう。こちらに来てくれ」

 彼――八幡はそう言ってケンジを手招きした。彼は左手に建つビルの裏口と思われる扉を開けて「こっちだ」と手招きする。それに従い、恐る恐るその扉の先へと一歩踏み込み、軽く咳込んだ。単純に埃で煙っていたのも理由の一つだが、その他にも理由はあった。

 まず最初に、そこがまさしく『空間』と呼ぶに等しかったことだ。裏口だと決め付けていたので、てっきり無機質な階段か通路だけしかないと思っていたのだが、想像以上に(ひら)けている。ビル自体は周りに建つビルと大差ない造りだったために、中も普通の仕様だと考えていたのだが、実際は全く違った。

 まるで潰れた廃工場のような構造で、錆びた鉄格子が剥き出しになっている。足元にはコンビニのゴミや埃や見受けられ、手入れをしていないのが一目で分かった。『田』形の窓から漏れ出す太陽の光が、空間のあちこちを照らし出し、ビル内部の全体像が伺えた。ビルは直方体の形をしていたので左奥の方にも続いているのだろうが、多くの鉄屑や壊れた機械などの山で通行出来そうにない。

 そこで目の前に人がいる事に気付いた。二人おり、窓の前にいる。外光に反射して顔がよく分からなかったが、八幡に促されて近付いて顔をちゃんと視認出来た。

一人は金髪で、黒の無地に分厚いホスト風のジャケットを纏った男。パイプ椅子に腰掛け、右手に携帯を持っている。八幡とは違った方向で大人っぽいが、ニッと横に口を広げた顔はどこか幼いように受け取れる。

 もう一方は金髪男よりも少し背の高い女性だった。枝毛の目立つ長髪を始めとして、グレーの長袖シャツや登山さながらのトレッキングパンツなど、女性的な点が見当たらない。服装に一貫性が無いのが、返って女の大雑把な性格を表現していた。

 そして、当の女がケンジの顔を一瞥し、続いて八幡の方を見て開口一番に口を開いた。

 「リーダーの観察力と知識はいつも表敬に値するものだと思っていたけれど、どうやら勘違いだったみたいね」

 「いや、宮条の私に対する見方は正しい。私は常に物事を俯瞰的に捉え、最善の方法を見つけ出す事を心掛けている」

 「なら、どうして貴方の隣に学生がいるの?目が狂
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