暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン ≪黒死病の叙事詩≫
≪アインクラッド篇≫
第一層 偏屈な強さ
ソードアートの登竜門 その参
[1/6]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
 朝八時。

 トールバーナの門をくぐると視界に≪INNER AREA≫という紫色の文字が出現し、ここが安全な街区圏内であることを証明する。途端、俺は空腹のあまりに倒れこみたい衝動に駆られる。体感十二時間(実際には二十四時間)もの時間食事を摂取しないと、現実ほどではないにせよやはり相当の空腹感が溜まるのだ。

 一日食べない程度でここまで疲労するのだから、三日、いや二日以上断食でもしてみたら発狂死するかもしれない。少なくとも俺なら死ぬ自信があった。

 そんな事を考える時間すら苦痛で、俺はトールバーナーの門のすぐ近くにある食事付き宿屋(≪INN≫の看板のない隠れ宿屋だが)に入り込んだ。ここの二階が現在の俺のホーム。他の宿屋と比べれば値は張るが、居住空間も広々としており一階のレストランも無料となり環境としては中々に優秀。しかしとある難点からこの宿屋をホームとするプレイヤーは少ない。

「ただいまー」

 何の返事もないが、閉店というわけではなく、ただ此処のNPC店主が無愛想なだけなので問題ない。

 一階は食事処になっており、勝手にテーブルに座ったら店主がおずおずとやってきてぼそぼそと注文を聞いてくる。それがこの店のルールだった。相変わらず不気味な店だが、味は最高なので俺はいつものメニュー≪ワイルドボアミートスパゲッティ≫を注文する。注文する料理のフルネームを言わないとこの店主はマトモな食事を出してくれない。捻くれ者である。いや、確か設定的には名前の呼ばれ方で店主のやる気が違うのだったか。前に一度、「ボアのミートスパで」と略して言ったら黒くて固くて酸っぱい謎の固形物を食わされた。やる気なさすぎだろう。これも、この宿不人気の理由のひとつだ。
 ちなみに、メニューを指差して「コレください」でもマトモな食事は出てこない。しかも食べ終わるまで店主が席を立たせてくれないので(オレンジ覚悟で無理矢理逃げればなんとかなるが)初見の客は泣くか怒るかむせるかしてこの店から去っていく。

 しかしその点を克服さえすれば、この店はトールバーナ、いや第一層の中でずば抜けて一番おいしい料理を出してくれる。

「ワイルドボアミートスパゲッティ……をください」

 噛んだり料理名を間違えたり、もしくは早口で言い過ぎて『〜をください』などの接尾語めいた言葉が店主に料理名と認識されただけでもアウトなので、この注文フェイズは俺のSAO歴の中でも屈指の緊張感が走る。といっても一日二〜三回は注文するので緊張自体は珍しくない。さて……。

「おう、ワイルドボアミートスパゲティ……な」

 おお、成功。店主はいつも確認のために料理名を繰り返す。この時料理名が知らない名前だったり繰り返されなかったりすると失敗となり、暗黒物質が出てくる。だがこの暗黒料理から脱出
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ