Episode31:暗躍
[1/12]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
九校戦二日目。この日の初めに行われた女子クラウド・ボールでは、真由美が全試合無失点・ストレート勝ちで優勝を飾った。
それを観客席から見ていた隼人は、その戦法のえげつなさに苦笑いを漏らしていた。どうやら自分も近いうちに同じようなことを思われるとは微塵も想像していないようだった。
「もっとも、魔法力の消耗が激しい競技だからな。一日で5試合全部となると、今度は選手の方がもたないだろう。二日目の決勝リーグは、試合と試合の間隔も短い。ピラーズ・ブレイクが『最後は気力勝負』と言われているのも一面では真実をついている」
現在隼人たちは、観客席ではなくスタッフ席で達也によるアイス・ピラーズ・ブレイクの講義を受けていた。熱心に聞いている雫を他所に、隼人と深雪はある程度聞き流していた。
三人がここにいる理由は、次に登場する二年生、千代田花音の試合を間近で観戦することで試合の感触をつかもうという趣旨だった。
達也と深雪、隼人と雫以外の他のメンバーは男子クラウド・ボールの試合を見に行っている。エイミィやスバルは観客席でピラーズ・ブレイクを見ているはずだ。
アイス・ピラーズ・ブレイクの会場となるのは、縦12m、横24mの屋外だ。そのフィールドを半分に区切り、それぞれの面に縦1m、高さ2mの氷の柱を12個配置し、相手陣の氷柱を全て倒した方が勝者となる。
選手が立つのは、フィールドの両端に設けられた高さ4mの櫓の上。選手はそこから、魔法のみで自陣の氷柱を守り、敵陣の氷柱を崩し倒す。フィールド内であれば、魔法の安全規制が解除される為、魔法競技中、最も過激と言われる競技だ。
いよいよ、花音がステージに上がった。
「司波君」
花音をステージに送り出した五十里啓が、達也を手招きしている。
「僕たちも上がろう」
☆★☆★
選手が立つ櫓の後方に、スタッフ用のモニタルームがある。ここには、選手の体調をモニターできる機器と、フィールドを直に見渡すことのできる大きな窓が設けられている。
「千代田先輩の調子はどうですか?」
問いかけた達也に対して、五十里は苦笑い気味の笑みを浮かべた。
「随分気合いが入っているよ。入れ込み過ぎて、明日に影響しないか、心配なくらいだね」
だがその笑みに心配の色は見られない。
「一回戦は最短決着だったそうですね」
「花音はああいう性格だから。もう少し慎重に行ってくれると、見ている方も安心なんだけど」
更に苦笑いして返された答えに、達也は興味を覚え、隼人は苦笑いを漏らした。
達也は午前中、ずっと真由美のそばについていた為、花音の午前の一回戦を見ていないが、隼人は観客席で真由美と花音の試合を交互に見ていた。
自陣の被害を顧みず、ガンガンと敵陣の氷柱を倒す花
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ