暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Myth15エリーゼの涙・アムルは燃え朽ちて〜No mercY〜
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と母様、使用人のみんなとの思い出も、オーディンさん達が来てからの思い出も・・・消えた。

「そう言えば、アンナはどこです・・・?」

シャマルさんのその一言で、わたし達は体を震わす。早く説明しないといけないのに嗚咽が止まらなくて上手く声が出せなかった。けど無理やりにでも押さえ込んで話さないと・・・

「ぅく・・・実は・・・」

?―?―?―?・・・回想です・・・?―?―?―?

シグナムさん達がイリュリア騎士団の迎撃に向かって、わたし達はいつものように祈りをしていた。どうかみんなが無事に帰ってきますように、って。祈りを終えて「砲撃・・・止んだね・・・」モニカが窓から空を眺めながら呟いた。わたし達も倣って窓から空を眺める。オーディンさんが張った魔力の結界によって空が桃色で、ちょっと変な感じ。

「アンナも大役を任されちゃったよね。すごく緊張してるんじゃないの?」

「そう? 私は嬉しいわ。魔導はオーディンさんのものだけれど、結界管理は私。アムルを護れているのは私。誇りに思うわ、この役」

モニカにそう言われて、アンナはそう誇らしげに笑みを浮かべながら手に持っている一振りの剣に視線を移す。あの剣が、あの結界を操作するための鍵だってシグナムさんは言っていた。実質アムルを護っているのは確かにアンナかも。
それから少し。何事もなく時間は経っていって、そろそろオーディンさん達が帰ってくる頃かな、と思っていると、ズズンって屋敷が揺れた。

「なに? 今の揺れ・・・?」

「ちょっ、あれっ! 煙が上がって――爆発っ!?」

ルファが慌てて窓の外を指差した。ルファの言う通り街から黒煙が上っていた。事故? ううん、だったら連続で爆発が起きるわけがない。まず間違いなく侵入者がいる。アンナが「これほどの強力な結界を抜けて来る奴なんて、かなりまずい相手だわ!」そう言って駆け出した。わたし達もアンナに続いて屋敷を飛び出して、爆発が起こってる場所を目指そうと中庭を走っていた時、

「ふむ。やはり自らが治める街の危機と知れば、否応なく安全な穴倉より出でるが主の習性か」

堅苦しい口調をした男の声が頭上から降ってきた。わたし達の先頭を走っていたアンナが急に立ち止まりつつ振り返って「屋根の上!?」屋敷の上を見上げた。わたし達も振り返って屋根の上を見上げる。そこには1人のおじさんが居た。
ただ屋根の上に登りたがるだけの頭が少し残念なおじさんならどれだけ良かったか。そして、アムルの住民であればどれだけ良かったか。屋根の上に立つおじさんは、アムルの住民でもなければ頭が残念な人でもない。

「そんな・・・どうしてお前のような奴がここに居る・・・グレゴール!」

「礼儀を弁えぬ娘だ。まぁ、よかろう。敵対者同士、礼も義も必要あるまいて」


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