暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜神話と勇者と聖剣と〜
DAO:ゾーネンリヒト・レギオン〜神々の狂宴〜
第十三話
[1/6]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 セモンがコハク、ハザードから聞いたのは、あの日、《白亜宮》に踏み込んだ後の出来事だった。

「そうか……ごめん、大変な時に迷惑かけたな」
「ううん、良いわよ。清文が戻ってきたんだから、それで……」

 コハクが優しく接してくれるのがうれしい。SAO時代は冷たかった彼女だが、最近は甘すぎるのではないか、とセモン自身が思うほど優しく接してくれるようになった。こんな素晴らしい人に長い間寂しい思いをさせていたのか、と思うと、セモンは愕然とした気持ちになる。

「琥珀」
「……?清文……?」

 コハクをぎゅっと抱きしめる。細い彼女の体は、強く力を入れればすぐに壊れてしまいそうだ。そんな体に、強い意志が宿っている。

 彼女のことを、これからずっと守るのだ。自分が、この手で。

「……お楽しみのところ申し訳ないが、そろそろ先に進まないか……」

 はじかれるように後ろを見ると、壁に寄りかかっていたハザードが目を開けていた。ついさっきまで眠っていたと思ったのに、切り替えが早い奴である。

「ああ……ごめん」
「別にいい。それよりも、この先に何があるのか、お前は知っているのか?」
「……」

 ハザードの問いに、セモンは少し考え込む。

 以前ここに来た時のことを、思い出すのだ――――

「……ここに来た時、《イクス・アギオンス》っていう名字の奴らに襲われた。《七剣王》って名乗ってたと思う……あの時はカズ達が戦ったんだけど……その間に、俺は《白亜宮》の最奥部で、《主》っていう奴に会ってきた――――陰斗と、同じ顔をしてた」
「――――!? 同じ顔、だと!?」

 驚愕にひきつるハザード。セモンも同じ気分を味わった。

「それだけじゃない。ここには、刹那と同じ顔の奴も何人かいる」
「それはもう見た。しかし……シャノンと同じ顔か……」

 まずいな、と呟くハザード。

「今、シャノンと刹那が《白亜宮》内を先行している」
「な……!?……マズイ!」

 ハザードが告げた事実。それは、セモンを焦らせるのに十分なものだった。

 シャノンこと天宮陰斗は、一部の例外を除いて『自分と同じ特性をもった存在』をひどく嫌う。これは彼にとって、「自らの持つ技能は唯一であり、自分は絶対である」という信念を覆すことだからだ。
 
 そして《主》はシャノンと同じ顔。彼とは、すごぶる相性が悪かった。

「この城の中の事象は、全部アイツにコントロールされてる……たぶん、もうシャノンは辿り着いてる!」
「まずいぞ……何を起こすか分かったもんじゃない!」

 急がなくてはならない。だが、《主》がどこにいるのか分からない――――

 ――――その瞬間だった。

 セモンの脳裏に、奇妙な光景が浮かんだのは。

[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ