§61 無能力者ですか? はい、一般人です
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では、別の視点から。神々の持つ空を駆ける能力が”飛行機を駆る権能”として顕現した可能性を提唱します」
「飛行機の造形をしているのは偽りだと」
言われてみれば、そうかもしれない。それならば賢人議会が察知していない理由にもなる。だがそれは――――
「それはつまり、水羽黎斗が賢人議会の発足より昔より存在している可能性もあるという事か?」
ヴォバン侯爵やアイーシャ夫人、羅濠教主に匹敵する年月を生き延びた「最古参」の一角だといでもいうのか。
「だとしたら、今までどうやって隠れていたのだ。いや、何故今になって動き出した?」
黎斗に聞けば「同郷の神殺しが生まれたことと平成の世の中になったから。あと気になってたアニメがそろっと始まるから」などというトチ狂った解答が返ってくるのだが、彼らにそんな推論が出来る筈が無い。仮に黎斗本人から聞けたとしても、後者二つを理解できる存在は冥王の知人たる館の管理人以外にいないだろう。
「ふむ。頭を悩ませる問題だが、まぁ良い。水羽黎斗が”本物”とわかれば十分だ。”彼ら”には感謝せねばな。……水羽王について調べよ。彼の王の人となりを知っておかねばならん」
それは必須だ。黒王子のように貴重品に興味を示すのか。剣の王のように、強敵を求めるのか。東方の軍神のように、女を囲うのか。王の逆鱗に触れるわけにはいかない。
「その必要はないかなァ」
「「!?」」
突如響いた部外者の声。初老の男でも、党首補佐でも、周囲の幹部でも、眼前の青年でも無い声。
「いやはや、まさか。師祖に対してこんなことをしでかすなんてね。まぁ、僕もやらかした身だからあんまり人の事は言えないんだけどね」
肩を竦める少年が、扉の前に立っていた。扉が開いた気配など、ここにいる誰も感じなかった。ここにいるのは、全員が大魔術師以上の位階を持つ手練れだ。そんな人間達を相手に、このような妙技を披露できる人間など、片手で数えるほども居ないだろう。そして、”彼”は間違いなくその「片手で数える」ような人間だった。
「……久しぶりだな、陸鷹化。何故君がここに?」
魔教教主の唯一の直弟子。今世紀最高峰の武術をこの年で修めた麒麟児は、憐憫の表情で呟く。
「師祖の妹君がトラブルに巻き込まれたと聞いて、ね。僕としては師父がお怒りになる前に出張ろうとしたわけだ。師祖が即行ってしまわれたので連絡をとることは叶わなかった。師祖が行かれた時点で事件は解決だ――――表面的には」
空気が震える。
「だから、僕としては裏側を潰しておこうと思ってね。背後の組織を調べたんだ。もう二度と、こんな馬鹿げたことが起こらないように」
「なっ……!?」
こんなに即座に露見するとは予想外だ。囮や陽動を駆使して可
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