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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百六十三話  風雲
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センから脱出した地球教徒がいる事も分かっています。彼らは間違いなくフェザーンに向かったでしょう」
「危険だな、今までもフェザーンは同盟と帝国の間で問題になる場所だった。帝国は内乱を収めて国内を固めつつある。騒乱が起きればどうなるか……」
アイランズ、ホアンの声が沈んでいる。状況は良くない。

「その事はシャノン弁務官にも注意した。彼もフェザーンで騒乱が起きれば帝国が侵攻するのではないか、それが帝国の狙いではないかと考えている。実際にレムシャイド伯がフェザーンの中立性の回復と維持は同盟の責任だと言ったらしい」
トリューニヒトの言葉に皆が顔を顰めた。誰だとて責任問題を問われるのは面白い事ではない。

「地球教を叩きつつフェザーン侵攻を目論むか。問題はその侵攻が限定的なものになるか、総力戦になるかだな」
私が言うとホアンが“宇宙統一か”と呟いた。帝国は宇宙統一を望んでいる。二年前の帝国領侵攻、あの敗北から同盟はまだ回復してはいない。帝国がフェザーンでの騒乱をきっかけに戦争に持ち込みたい、そう考えてもおかしくは無い。しかし国内がどの程度固まっているのか。遠征を望んでも国内情勢がそれを許さないという事は十分に有り得る事だ。

「国防委員長、軍に状況を説明して警告を発してくれ。今すぐ戦争という事は無いだろうが準備だけは怠らないで欲しい。早急に訓練を行い鍛えてくれ」
「分かりました」
「それと戦力の補充を急いでくれ」
トリューニヒトの言葉にアイランズが首を横に振った。

「厳しいですな」
「……」
「現在新たに二個艦隊を編成し正規艦隊は七個艦隊まで回復しました。但し新たに編成した二個艦隊は戦力としてカウントするには訓練不足です。後一年あれば訓練も積めますしもう一個艦隊の編成が可能ですが……」
「……」

「現状ではこれが精一杯です。艦も有りませんし乗せる兵士も居ない。あの敗戦で失われた将兵の補充は簡単には行きません。時間がかかります」
アイランズが厳しい表情で戦力が不十分で有る事を告げた。ホアンが“時間か”と呟いた。皆が遣る瀬無いような表情を浮かべている。トリューニヒトが重苦しい空気を打ち払うかのように頭を振った。

「分かった、最善を尽くしてくれ。それと例の名簿の件、何か分かったかね?」
皆の視線がアイランズに向かった。地球教団支部に有った名簿、地球教徒にする候補者の名簿ではないのか、だとすれば誰が用意したのか……。

「名簿を調べて分かった事が有ります。記載されていた名前はフレアスターグループのあらゆる企業から選ばれていました。偏りが無いのです」
「……」
偏りが無い? 広範囲に地球教の手が伸びていた、そういう事か? しかしそんな事が可能だろうか。

「おそらく地球教は各企業から情報を得たのではありますまい。
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