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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
七月二十五日:『死体蘇生者』
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レベル6》移行(シフト)計画・プランY”、後期段階に移行する。期待しているよ……そうだ、名前をあげないとね』

──笑っている。生き残った安堵? 違う、だって、俺は負けない事を知っていた。目の前の骸には。

『識別名の頭文字から取って、コージとしようか。漢字は、適当に変換して……と。うん、これでいいね』

──ならば、何故か。単純だ、そう、もう、生き死にが莫迦らしくなっていただけ。生きようが死のうが、違いはない。

『期待しているよ────嚆矢くん?』

──そう、この世は……既に、辺獄(リンボ)なのだから。


………………
…………
……


 瞼を開く。蜂蜜色の目に入るのは、白────ではなく、茶色。机ではなく、卓袱(ちゃぶ)台だった。

──莫迦が……何で今更、あんな事を思い出す。もう、終わった事だ。俺はもう、決して“絶対能力者(レベル6)”には届かない。第七位(ナンバーセブン)に敗北し、『無自覚の領域(A I M)』を()()()俺には────?

 最悪の寝覚めに亜麻色の髪を掻き上げつつ舌打ちながら、目覚めの理由である携帯の振動を止める。

「失った……俺が、何を?」

 そう自己矛盾しながら、意識的に首許の『兎足(ラビッツフット)』を握り締めて。それに気付いた事すら、忘れて。
 尚、携帯は着信でもメールでもなく、日常使用している目覚まし機能である。

「五時、か。正味二時間……」

 代わりに『輝く扁平多面体(シャイニング・トラペゾヘドロン)』の妖しい石を内蔵する懐中時計を確認し、呟いて立ち上がる。バサリと、掛けられていた薄布が落ちた。
 見れば、右手側から同じように卓袱台に突っ伏して寝ているピンク髪の幼女……ではなく、歴とした教師。即ち大人、月詠小萌教諭が居る。

──さて、起こすのも悪いしな……連絡先だけ残しとくか。

 薬品や絆創膏、包帯が入った、ペンギンのキャラが特徴の安売りの殿堂の袋からレシートを取り出す。その裏に、携帯の番号と名前を記して。
 少し奥を見遣る。敷かれた布団、そこにまだ眠ったままの上条当麻と……その隣に眠っている、掛布の掛けられたインデックスを微笑ましく見て。

 最後に、小萌に自分に掛けられていた掛布を掛けて。静かに、部屋を後にした。

「ン────あぁ、良い朝だ」

 早朝の爽やかな風を浴び、雀の囀りを聞いて。背筋を伸ばしながら欠伸する嚆矢の目に映るのは、明けの学園都市の町並み。摩天楼も風力発電塔も何もかも、群青菫(アイオライト)に染まった光景。この都市の、唯一好きな一面だ。
 大空の蒼を映す、窓硝子。この色合いだけは、嫌いになれない。本当に、ただ、唯一。他は、焼き尽くされても構わないくらいだ
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