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優しさをずっと
第二章
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第二章

「あそこまでの暴力なんて。虐待だ」
「虐待なんですか、あれ」
「そうとしか言えないよ」
 先生はあくまで常識に従っていた。先生も体罰を行使することはある。しかしそれは最低限に抑えている。教師はそうでなければならないと己に律している。しかし今目の前にいる平生は。それどころではなかった。有り得ないレベルでの暴力を振るい続けているのだ。
「あんなこと。許される筈がない」
「けれど。普通じゃないんですか?」
「クラブ活動だと」
「いや、それは間違いだ」
 はっきりと言い切る先生だった。
「あんなことは」
「機嫌が悪いとああなんですよ」
「何時機嫌が悪くなるかわからないですけれど
「だったら余計にだよ」
 先生は険しい顔になっていた。
「武道をやるに当たって。機嫌に左右されるなんてことは許されないからね」
「そうだったんですか」
「君達」
 平生を見据えながら生徒達に声をかける。
「もういい。この部活には行かなくていい」
「いいんですか?」
「それでも僕達」
「剣道は何処でもできる」
 先生は断言した。
「何処でもね。だから」
「だから。行かなくていいんですか」
「先生に任せてくれ」
 こうまで生徒達に告げた。
「もう今日から来なくていいから。いいね」
「わかりました」
 皆平生の暴力を眺めながら先生の言葉に頷いた。そして次の日。いつもの武道場でなく体育館の隅に集まった剣道部の子供達の前にジャージ姿の先生がいた。生徒達は皆剣道着を着て防具を身に着け持っているのに対して先生はジャージだけである。
「あれっ、先生」
「剣道着はないんですか?」
「防具も」
「ああ、そういうのは持っていないんだ」
 こう答える先生であった。
「そういうのはね。先生剣道したことないから」
「えっ、したことないって」
「それって」
「けれど大丈夫だよ」
 しかし笑ってこう答える先生だった。
「それはね。任せて」
「任せるってそれでも」
「剣道したことないって」
「それでもだよ」
 けれど先生の笑みは変わらないのだった。微笑んで生徒達に対している。
「大丈夫だから。勉強したからね」
「勉強って」
「何でですか?」
「本だよ。ほら」
 そしてここで一冊の本を取り出した。何とそれは初心者向けの剣道の本だった。本当に小学生が読むような本である。
「これで読んだから。大丈夫だよ」
「そうなんですか」
「さあ、まずは準備体操」
 まず言うのはこれだった。
「まずはそれからだね。後は」
「素振りですよね」
「いや、走るんだよ」
 しかし先生は素振りよりもランニングを言うのだった。
「皆でね」
「えっ、走るんですか!?」
「それも先生も」
「うん、そうだけれど」
 驚く生徒
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