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【短編集】現実だってファンタジー
俺馴? 外伝2-3 [R-15!]
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つつ、その粉を観察する。粉はよく見ればカーペットに点々と落ちており、机の引き出しまで続いているようだった。後で調べた方がいいかもしれない。――と、カメラに撮影者であるいりこが映った。どうやら三脚のようなものでカメラを固定したようだ。斜め上から見下ろす視点になっている。と、そこにいつものようにテンションの高い少女の顔が映り込む。

『○月×日、今日はさざめくんのお薬に、新しく配合したのを盛っちゃったので……何しても起きません!きゃう、私ったらイケナイ子!でもさざめくん、幾らアピールしても一緒のベッドには寝てくれないもん!これくらいいいよね?』
「………………」

絶句。
目の前に映る過去の映像の中で、女は俺に薬を盛ったと明言した。その事実を裏付けるように、映像の中の俺はいりこが普通に喋っているのに身じろぎ一つせず眠りこけている。――じゃあ、朝に飲んだあの薬は何だよ。あれは、俺の身体に何をしたんだ。記憶にかかった靄は。

『よく寝てるねぇ〜……今回のはいつもと配合を変えたので、服用の所為で数日記憶が飛ぶなんて副作用は起きませぇん!まぁ服用前後数時間くらいの記憶は曖昧になるかもしれないけど……サクマ様直伝の健康に害がない薬物だから問題ないよ!』
「………うくっ、何だ、これ……!?」

喉元が干上がり、言葉にならない声が一瞬漏れた。確かに言われてみれば、朝目覚めた時に昨日のことを思い出せなかった。あれが薬の所為?しかも今までも何度か薬を盛られて、その度に俺の記憶は飛んでいたのか?

「それじゃあ、いつからだ。……俺はいつから記憶が無いんだッ!?どこから、何度ッ!!」

今の今まで、お前は平気な顔をして何度俺に薬を盛った。そしてそれを何回繰り返した。俺はもしかして、今まで何度も何度も今日のような戸惑いや寒気を覚えていたのか。それすら薬で忘れて、あやふやな記憶であの薬を危険のないものだと思い込んだ。

「何のためにこんなことをしたんだ、いりこッ!?答えろッ!!」

映像の中で無邪気に笑う少女はあくまで過去の映像を投影している存在に過ぎない。それでも聞かずにはいられなかった。だから――

『だからぁ……』

いりこの手が、俺のベッドにかけてあった毛布を取り払う。そして俺の上にまたがり――あの顔を、うっとりと見とれるような悦楽に溺れた顔を見せた。得体のしれない悪寒が背中を駆ける。
そしていりこはそのまま俺の上に倒れ込むように身をおろし、パジャマのボタンに手をかけて一つ一つ丁寧に外しながら――映像の中の俺の唇を奪った。思わず自分の口を覆う。なにか、とても不浄なものをくちにしてしまったかのような感覚さえ覚えるほどに、その姿は生々しくて――こんなのは、間違っている。

『んちゅっ……ハァっ、こんな事しても……全然起きないんだから
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