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ゾンビの世界は意外に余裕だった
6話、再会
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糧の不足する私のグループに入って、食糧の在処を話したに過ぎないのです。それでも北原君はせめてこちらと相談してからと主張したのだが、他に教えてくれる子がいたのでね。一緒に来た次第です」

 キャリー報告では今のところ正直な発言の確率が高いらしい。

「もちろん責める気はありません。もともと情報は明かしてませんし、なるべく喋らないようにお願いしただけですから」
「そう言って頂けるとありがたい。それで虫のいい話なんだが我々にも食糧を分けて頂けないだろうか」

「高橋さん。北原君が最初にここに着た時とは、食糧の価値が変わったことを承知の上でここに来たのでしょうか」
「……もちろんです。出来ることは限られていますが可能な限り対価は払います」

「分かりました。まずはあなた方のグループについて教えてください。人数は何人居るのですか?」
「六十三人います」

「かなりいますね。後ほどどのような構成なのか教えていただけますか?」
「……分かりました。わかる範囲でよろしければ」

 やはり自分たちについてはあまり聞かれたくないようだ。もっとも彼らが困って研究所に来ている以上、ある程度の条件は呑むだろう。武器をどの程度確保しているか気になるが、これは聞くだけ無駄だろう。


「別荘に水と冷蔵庫はありますか?」
「はい」 

「実は冷蔵庫にすぐ使ってしまいたい食材があります。それで良ければ提供しましょう」
「構いません。正直言えば多少痛んでいても喜んで頂きます」

「まだ痛んでいませんからご安心を、あとは冷凍した調理品をいくつか用意しましょう」
「助かります」


 俺はかける相手のいない研究所内用の携帯電話をかけたふりをして、食糧の用意を命じた。

「今後はどうするのですか? 我々はまだ余裕がありますから、少しくらいなら融通出来ますが。それでも何か対策が必要でしょう」
「実は今までも街に繰り出して食糧を確保していたのですが、最近武装集団が現れるので調達が難しくなってしまいましてね。彼らがいない食糧確保場所を探しているところです」

「ほう。武装集団ですか。私達に取って高橋さんの情報は非常に高い価値があります。よろしければあなた方のグループの情報と一緒に、この慶太に話を聞かせてやってください」


 情報局の補助金を受けていた慶太に得意分野の仕事を任せた俺は、北原君に話しかけた。

「北原君も街に行ったのかね?」
「ええ、高橋さん達と金属バットを持って行きました」

「彼らは信用出来るかい。食糧は公平に分けてくれるかね」
「公平だと思います。むしろ僕の友達が絶対に街に行かないと言いはったりして、僕達の方が迷惑をかけているぐらいです」

「男友達? 女友達は街に行ったのかね」
「ええ」

「……そうか君も、たいへんだな」

 なんとなく気に入った学生に俺は何も助言しなかった。安全地
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