暁 〜小説投稿サイト〜
無欠の刃
下忍編
試練
[4/4]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
思いながらも、サクラの足は動かない、動けない。
 恐怖で動かない?

 ―いや、違う。

 彼女が動かなかったのはほかでもなく、

「先生、ださい」
「水遁使いの前で水に潜るか、普通」

 彼女の仲間が立ち上がったから。

 それだけで、彼女は湧き上がる恐怖を押し殺し、震える体を止まらせ、苦無を構える。

 「…二人とも、がんばって!」

 カトナはその応援の言葉に「当然」と言い放ち、サスケはひらひらと手を振りかえす。
 余裕綽々。
 目の前で、再不斬の水分身が作られる。
 けれどカトナは、サスケに軽い調子で話しかける。

「サスケ、水分身はあげるから、あの大太刀持ってる本物ほしい」
「…はっ、水分身一体と本気の彼奴じゃ、天秤があわないだろうが」

 その軽い言葉に、再不斬は少しだけ目を細める。再不斬の殺気に怯えていないわけではない、その証拠に、再不斬が真ん中にいたのに、反応が遅かった。あれはどう考えても殺気に体が竦んだからだろう。
 ならば、何故、彼らは今、自分に立ち向かおうとして来る…?
 疑問に首をかしげた再不斬を視界の端で見たカカシは、必死に声を上げる。

 「お前等! さっさといけ!! この任務はタズナさんを守ることだ! 俺なら大丈夫だから、いいからいっ」



 「仲間を見捨てる奴は屑だ」



 カカシの耳を、その言葉が貫く。
 カトナはまるでそれが当たり前の様に言い放った後、背中に背負っていた鞘を、再不斬の眼前に晒すように胸元に抱え、そして、抜く。
 銀色の刃が、鈍い光を浴びて、その場に降臨する。 
 カトナは大太刀をもちあげ、その切っ先を再不斬に突き付ける。

「じゃあ、先に水分身やった方が、あっちもやれるってことで」
「…言ってくれるなぁ、おい」

 再不斬の見下すような目が、興味を持ったような目に変わる。自分と同じ大太刀を扱う、まだ下忍の子供を、彼は興味深げに眺める。

「ガキが。いきがるなよ」
「子供の成長って速いんだぜ、おっさん」

 サスケが挑発し、その目が赤く光る。
 それを見た再不斬が、カカシの写輪眼と同じものであるという事に気が付くより先に、カトナの大太刀が無造作に、地面にたたきつけられる。
 がんっと、叩きつけられた大太刀の切っ先は地面に食い込み、そして、その衝撃は水分身の再不斬の元にまで亀裂を作り、一瞬だが動きを停止させた。

 「すたーと」

 その瞬間を見逃さず、彼らは飛び掛った。
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ