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機動6課副部隊長の憂鬱な日々(リメイク版)
第1話
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新暦75年2月某日。 時刻は午前10時少し前。
時空管理局本局に所属する魔導師にして特別捜査官である八神はやては、
庁舎上層階に向かうエレベータに乗っていた。

「リイン。 提督の前ではお行儀よくしとってな」

「わかってるですよ、はやてちゃん!」

彼女が左肩あたりに浮いている融合騎、リインことリインフォースに声を掛けると
甲高い声で返事が返ってくる。

「頼むで。 今日は大事な話やからね」

ややあって、小さな衝撃とともにエレベータが停止してドアが開くと、
はやてとリインはエレベータを降り、通路に出た。

カツカツと踵を鳴らしながら白い壁に囲まれた通路を歩いていくと、
すりガラスで視界を遮られた扉と紺色の制服を着た2人の男が現れる。

この扉から先は本局の最上層部のメンバーが集うゾーンであり、
2人の男たちはその出入りをコントロールする警備員である。

はやては男たちの前で立ち止まると、微笑を浮かべて左胸にぶら下げていた
IDカードを彼らの方に掲げる。

「八神はやて特別捜査官です。 クローベル統幕議長とお会いする約束に
 なってるんですけど・・・」

固い表情ではやてのIDカードをじっくりと確認した2人の男たちは、
傍らにある訪問者リストを手に取ると、その中身を順番に確認していく。
しばらくして、はやての名をリストの中に発見すると、男たちは
はやてとリインに向かって挙手の礼をする。

「お待たせしました。 八神特別捜査官、リインフォース空曹長。
 どうぞお通りください」

そして2人は左右に別れ、それぞれにドアに手を掛け押し開く。

「どうも、おおきに」

2人に向かってニコッと笑いながらはやてがドアを通過すると、
背後でドアが閉められる。

はやては真面目な表情に戻ると床にカーペットの敷かれた通路を行く。
一番奥にある木製の重厚な扉の前に立つと、その表面を2度ほど拳で軽くたたく。

「どうぞ」

扉の向こうから女性の声で返答があり、はやては大きく一度深呼吸をして
ドアノブに手を掛けると力を込めて引いてドアを開けた。

ドアの向こうには10m×10mほどの部屋があり、奥には古風な装飾の施された
木製の机と革張りの椅子。
その手前には中央にガラステーブルの置かれたソファセットが鎮座していた。

「ようこそ。 よく来たわね、八神特別捜査官」

「いえ。 こちらこそありがとうございます。 ミゼット提督」

ソファセットの上座となる位置に座っていた、灰色の髪をした60近い歳であろう
女性が目を細めて笑いながらはやてに声を掛けてくる。

それに対して、はやてもニコッと笑って返事をすると、
ソファセットの方へと歩み寄っていく。


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