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東方魔法録〜Witches fell in love with him.
44 引越2〜I...It's not for you.
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「パチュリー。その……血を頂戴?」
「え?」

言い出すのに割と勇気が必要だった。
俺は魔法使いでもあるが、同時に吸血鬼だ。成り行きで吸血鬼になったにしろ吸血鬼の性からは逃れられない。つまり、喉が渇いた。
パチュリーにはアリスと村で起こったことを話してある。アリスの血を吸ったことも。結論から言うとパチュリーは怒ることは無かった。むしろ、今まで血を吸わなくて大丈夫だったのか心配してくれた。パチュリーの優しさが骨に染みるぜ…

「…そうだったわね。いいわ。きて…」

頭のいいパチュリーはその事を思い出して首筋をはだけさせた。
突然、恋人が血をくれなんて普通に考えて訳分からんことを言うのはおかしいから若干言うのを躊躇われたが、杞憂に終わったようだ。俺はパチュリーを抱いて、カパッと口を開けてパチュリーの首筋に噛みついた。

「っ…」
「ちゅる…」

やっぱり、歯を差すから始めは痛いみたいだ。出来るだけ痛みを与えないようにゆっくり歯を差す。

「ちゅる…ちゅぱ。ごくッ」
「ふぁ!」

甘い。

病みつきになる甘美な味で、さながら伝説にある甘露のようだ。いや、パチュリーの血は俺にとっての甘露だった。
歯を差した時に滲み出た血の味に我慢できず、一気に血を吸い上げた。

「じゅるるるるる!…ごくッ」
「ひゃ、んぁぁぁ、あぁっ!」

獣のように貪り、強くパチュリーを抱き締める。肉付きのよさからくる弾力がとても柔らかい。
答えるようにパチュリーも俺の腰に回した腕の力を強くする。
血を吸うという背徳的な行為に、それも恋人のものということが合わさり興奮して、理性が効かなくなって欲望のままに血を吸い上げる。

「っは、ごくッ、ごくッ、ごくッ」
「んぁぁあ……っ、あはぁ……!」

あー、ヤバい。歯止めが効かない。パチュリーは喘息持ちだというのに止めようと思っても、あと一口、あと一口が止まらない。嗚呼、あと一口ぐらいいいよね…

不意に扉が開く音がした。でも確認する前に一口だけ…

「はぁむ、ちゅぷ…じゅる…」
「ふぁあ!」

「…あ」

誰が来たようだった。じゃあ本当にこの一口で最後に…

「ゴク…ゴク…ぷぅ…」
「はぁあぁ…んっ」

パチュリーを抱き締めたまま、今度こそドアの方に視線を向ける。するとそこには顔を若干紅らめて惚けているアリスの姿があった。首に手を当ててこちらを眺めている。

「あ…タイミング悪かったなぁ…」

よく考えたら昨日、俺が呼んだからアリスが来るんだった。
パチュリーは激しい吸血に疲れたのか体重を俺にかけて肩で息をしていた。パチュリーが倒れないように抱き抱え、居るに居たたまれなくなってアリスに言い訳染みたことを言った。

「なんかごめんね?喉の渇きはど
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