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雲は遠くて
51章 2014年、たまがわ花火大会
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わらった。

「まあ、森川良さんも、ドン・マイのデヴューも考えてくれているんだし、
おれたちも、やっていくしかないだろう!なあ、みんな」

「そう、そう、ドン・マイでいくしかないね!」

 どちらかというと無口な山村正志がそういった。

「なにがあっても、気にしないのが、ドン・マイ精神さ。しかし、いい名前の
バンド名だよな。ロックンロールバンドらしくって。あっはっは」

 水谷友巳が、曇り空に向かって、高らかにわらった。

「しかし、ともちんに()わる、ヴォーカル探すのがちょっと大変そうだぜ」

 草口翔がそういった。

「ヴォーカルなんて、たくさんいるって。だいじょうぶ、ドン・マイだよ。
たとえば、女性ヴォーカルとしたら、ゆあ(結愛)ちゃんだって、
かなりなもんだよ。ちょっとボイトレしたら、完璧さあ」

 水谷友巳は、そういいながら、木村結愛(ゆあい)の手を握る。

「わたしでよかったら、いつでも、ヴォーカル、オーケイです!」

 結愛(ゆあい)は、マジメな顔をして、そういいながら、草口や
みんなを見わたして、微笑んだ。

「ゆあ(結愛)ちゃんか、頼もしい、ヴォーカルだな。あっはっは」

 草口翔がそういって、わらうと、みんなもわらった。

 水谷友巳たちが会場に着くと、すでに、多摩川(たまがわ)水辺(みずべ)の、
緑地運動場は、人々(ひとびと)であふれいる。

 しかし、水谷友巳たちが、川口信也や森川良や森川純たちを見つけることは、
打ち上げ場所付近に向かって歩くだけなので、簡単であった。

 カメラを持つ雑誌の記者や、テレビ局の取材の記者たちも、招待されていた。

 浴衣姿(ゆかたすがた)の清原美樹と大沢詩織が、とびきりの笑顔で、
20歳になったばかりの水谷友巳たちのテーブルに、
缶ビールやつまみものを用意してくれた。木村結愛は、コカコーラをもらった。

 5時45分。オープニング・セレモニーの、高校生たちによる和太鼓が、
雄大な河川敷や、夕暮れの空に、響きわたる。

 みんなは、独特の高揚感(こうようかん)の中で、自由気ままな会話を
楽しんでは、わらい合った。

 『みんなの夢』がテーマでのある、この花火大会にふさわしく、
みんなは、いつしか、それぞれの夢や希望を語り合ったりしている。

 そして、カウントダウン・コールのあとの、7時。

 オープニングを(かざ)る、1発目は、華やかな、芸術性の高い花火、
10号特玉が、夜空に向かって打ち上げられた。

 そして、連発仕掛(しか)け花火の、何十発もの、スターマインが、
テンポよく打ち上げられて、夜空に、つぎつぎと、色鮮(いろあざ)やかな、
花が咲き、消えてゆく。

 ド
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