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剣の丘に花は咲く 
第十二章 妖精達の休日
幕間 緋色の薔薇
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本当は脆く、儚い……。

 七万の軍勢を前に欠片も絶望しなかったあなたが……幼子の、憎しみの篭った言葉一つに軋みを上げる。

 そんなにもあなたは強く―――そして弱い……それでも、あなたは進み続ける。

 人を救うため?

 何故?

 何のため?

 かつてあなたが口にしたように、憧れた“笑み”を何時か自分が浮かべる事が出来るために?

 止めることは出来ない。

 どれだけ言葉を尽くしても、どれだけあなたの身体を束縛しても、きっとあなたを止めることなど出来はしない。

 それが、分かってしまった。

 ……何よりも、わたしには出来ない。

 何故なら―――あたしは……そんなあなたに焦がれてしまった。

 何て……罪深い。

 脆く、儚い心(か弱く揺らめく炎)でありながら、何よりも美しい夢(眩い輝きに満ちた光)を目指す姿が―――こうも愛しく思うなんて―――……。

 だから、あたしに出来ることはない。

 ただ、見ているだけ。

 あなたが傷つく姿を見て……苦しみながら…。

 何て……愚かで……滑稽で……酷く醜悪な。

 自分で自分が嫌になる。

 でも……これがあたし……人の内―――心の中で燃え盛る炎に焦がれる者。

 ―――…………人の事を、あたしはどうも言えないわね。

 あたしも、きっと壊れている。

 あなたが苦しむとしっていながら、傷つくと知りながら……それでも止めない……止めれないあたしは……きっと、何処か壊れているのでしょうね。

 ……それでも……どうか……許して。

 あなたの内で燃える炎に焦がれたため、あなたが死へと歩む足を止めようとしないあたしが……―――。


 


 あなたの幸せを祈ることを――――――



 ―――赤い―――紅い―――果てない荒野に―――乾いた風が吹き――――突き立つ剣が軋みを上げ―――



 どうか―――許して――――。



 ―――緋色の薔薇―――緑葉が揺れ―――雫がポツリと―――渇れた大地に―――降りそそぐ―――

  
 
  




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