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東方攻勢録
第三話
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「昨日?」
「チップの取り付けが行われていた日だよ。ここに過去のログが残されてて……ちょうど昨日に取り付けが行われたって書かれてる」
 モニターには確かに昨日の日付ととりつけられたチップの種類が書かれていた。種類は牧野達が言っていたタイプCのチップ。だが誰にとりつけられたか等は書かれていなかった。
「もう一日早かったら……」
「悔やんでも仕方ないよ。今日で終わらせなくっちゃ……」
「そうだね。この部屋も何もなさそうだし、まだ見てないところ見にいこうよ」
「最後は……地下だけだね」
 四人はそのまま地下に向かった。
 地下室は一階二階とは違って大きな広場の様な造りになっており、特にめぼしいものはない。壁には一部だけ窓と扉がついており、それ以外には設置されたカメラが十個ほど見つかった。しかし工作に使えるような物は全くなく、四人は途方に暮れていた。
「うーんどうしよっか」
「どうもおかしいですね。ここもそうですが、この建物を見つけるまで、私達はすべての建物に入ることを拒んだ…‥‥妙だと思いませんか?」
「まあ、ただ入らなかったってわけでもないからねぇ」
「……誰かがこうなるように仕向けていたとしたら?」
「お姉ちゃんそれは――」
「その通りだ」
 突然誰かの声が大きな部屋の中を駆け巡った。四人は臨戦態勢を取り、すぐさま振り返る。
 そこに立っていたのは軍服を着た男だった。
「君達はこの建物以外の建物に入ることを拒絶させられていた。それが答えだ」
「尾行されてたようですね……」
「わっ私と鈴仙の能力があったのに!?」
「いや違う! 今も何度か能力使ってますが……拒まれて……!」
 鈴仙は何かを察したのか、目を見開いて能力を使うのをやめていた。
「能力……持ち……」
「正解。俺は拒絶を操ることができる。それでお前達の能力を拒絶し、他の建物を拒絶させた。ついでに警戒させないように、その部分もいじってな」
 この時初めてうかつな行動をしたことを四人は後悔した。
 侵入前に考えておけばある程度対策は取れていたはずだった。そもそもここは敵にとって最後の砦だ。想定外の能力持ち兵士が現れてもおかしくはない。唯一の救いは相手は一人だけだということだろうか。
「どうする?」
「……ところで、あなた一人だけかしら?」
「ああそうだ。もちろん君達に対する対策はすでにしてある」
「能力だけですよね。それだけなら――」
「そんなわけないだろ」
 男はそう言うと腰につけていたポーチから一本の注射を取り出し、そのまま躊躇することなく首元に突き刺した。
「何を……」
「さて、始めようか!」
 男はそいって地面を思いっきり蹴った。
「えっ……うっ!?」
 急に腹部に衝撃が走ったかと思うと、鈴仙の体は大きく吹き飛ばされて壁に衝突し
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