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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第18話 『雪姫、まくらと初遭遇。「計佑くんは、私のコトなんか好きじゃないからそんな風に言えちゃうんだ……!」』
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 結局、茂武市や硝子にも隠し通した話題だし、
二人だけで話すこと自体には異議はないのだけれど、何故こんな暗室を選んだのかは分からなかった。
 そこで軽い音がして、一筋の光が部屋に差し込んだ。雪姫が、少しだけカーテンを開いたのだった。

「……今日は……あんまり私の顔、計佑くんには見られたくなかったから……」
「え……?」

 その雪姫の声には元気がなくて、その言葉の内容も気にかかった。心配になって近づこうとしたが、

「だめ……そこにいて」

 雪姫が体ごとこちらに振り向いて、制止してきた。

「あの……大丈夫なんですか? 体調悪いとかなら……」

「体調は平気……ちょっと気分が沈んでるだけ。
……こんな時の顔、計佑くんにはあんまり見られたくないだけだから、心配はしないで……」

 確かに一筋の光だけでは、逆光という事もあって雪姫の顔をちゃんと見るのは難しかった。
逆に、雪姫から計佑の顔は見えているのだろうけれど。

──気分が沈んでるって……どうしたのかな先輩……?

 自分のほうは、久々に雪姫に会えると浮かれていたりしたのだけど──
雪姫の方は落ち込んでいたと聞かされて、心配と申し訳無さが計佑の胸中を占めた。

「…………」
「…………」

 沈黙が続いてしまう。
それでも、いつまでもこうしている訳にもいかないと、思い切って口を開く。

「えっとそれでですね、まくらのコトなんですけど……」
「……うん……」
「もうピンピンしてます。ホント、何事もなかったみたいに……結局、あれから先輩のおじいさんには会えなかったけど…… 戻ってきたら、お礼を言ってたって先輩から伝えもらってもいいですか?」
「……うん、わかった……それはまかせておいて」

 やっぱり、雪姫の声に元気がない。
 雪姫には、全て──まくらの霊状態の事までも──話してみようかと考えていたのだが。
信じてもらえないかもしれないけれど、雪姫にだけは話してみたいと思ったのだ。
ただまあ、雪姫の怖がりぶりは相当だし、様子を伺いながらだな、と考えてはいたのだけれど。

──こんな状態の先輩に話して大丈夫かな……

 元気がないところに、こんな場所──殆ど暗室──で話すのはちょっと躊躇われたが、試しとばかりに……

「先輩……突然ですけど、生き霊とかって信じます?」
「い、生き霊っ!?」

 雪姫の声に力が入った。身体がギシリと緊張したらしい動きも伺えた。

「なっ何の話を始めるのっ!?
私はっ、幼なじみさんの話を聞きたくて計佑くんに来てもらったのにっ、なんでそんなイジワル……!!」
「ごっごめんなさいごめんなさい!! なんでも無いんです、ちゃんと話戻しますから!!」

 雪姫の声が、最後には
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