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万華鏡

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第八十三話 卒業式に向けてその十

「大体はね」
「申次を参考にして」
「進めているんですね」
「何もないと福園ちゃんでもね」
 部長でも、というのだ。
「動けないから」
「部長さんでもですか」
「あの人でも」
「そう、どんなことでもね」
 そうだというのだ。
「申次をまとめたファイルがないと」
「そうですか」
「無理ですか」
「そうなのよ、だからあんた達もね」
 来年度は、というのだ。
「私達の後を継いでね」
「申次通りに進めて」
「そのうえで」
「私達の卒業式お願いね」
 その時は、というのだ。
「大学に行ってからもだけれど」
「大学っていうと」
「高見先輩も」
「ええ、進学考えているわ」
 それが先輩の進路だった、今考えている。
「八条大学にね」
「先輩もですか」
「八条大学志望なんですね」
「そうなの、まあうちの生徒の大抵がそうだけれどね」
 八条大学への進学を考えているというのだ。
「私もね」
「先輩も、ですか」
「八条大学に行かれるんですね」
「成績は一応クリアーしてるから」
 それはというのだ、どの大学に入るにもまず学校の成績が第一条件になる。それは八条大学についてもである。
「推薦受けられるわ」
「それじゃあ」
「八条大学に」
「行くわ、ただね」
「ただ?」
「ただっていいますと」
「大学を出たらね」 
 それからはというと。
「私岡山に戻るから」
「ご実家にですか」
「そこに」
「ええ、そこで実家のお仕事手伝うか」
 それか、とだ。先輩はこう話すのだった。
「就職ね」
「岡山で」
「あそこで、ですか」
「そのつもりよ。岡山いいところよ」
 先輩にとって故郷であるそこはというのだ。
「桃もマスカットも美味しくてね」
「先輩その二つ本当にお好きですね」
「何かっていうとそれですよね」
「あと黍団子もね」
 桃太郎で知られているこれも忘れない。
「それとママカリもね」
「岡山って名物多いですね」
「結構ありますね、本当に」
「密かに自慢よ、桃太郎さんもね」
 当然の様にだ、高見先輩はこの童話の主人公の名前も出した。
「あの人もいるから」
「ううん、岡山ってよさそうですね」
「いいところみたいですね」
「ええ、とてもいいところよ」
 このことはだ、先輩は五人に保障した。 
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