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ワンピース*海賊と海軍、七武海と白髭。「永久の愛を」《1st》

作者:斎藤海月
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第二章
新たな旅
  出航。4

リノ「結構・・・お世話になったみたいねレイリー」


レイリー「いいやどうって事ない。


 特訓の面でも、言語の面でも人間の言葉を話す獣がいたからそこまで苦労はしなかったよ」


・・・・・・うん。エルノがいたんじゃないかとあたしもずっと思ってたよ


だってエルノがいなかったら絶対にレイリーがレオン達の言葉をわかってたはずがないもんね。


レイリー「お前は本当にいい仲間に巡りあったな。」


リノ「あたしもそう思う」


時には冷たく接してくる時もあるけど、


それでもあたしはレオンと、


レオン達とこれからもずっと一緒にいたい


ルフィ「レイリー・・・俺はやるぜ!」


あの大きなカバンを地面に置き、


大きく腕を広げた蛆虫船長が続けた


ルフィ「海賊王に・・・・・・・・・俺は・・・・・・・・・なる!!!!」


リノ「!・・・」


・・・エース見てる?


エースがずっと心配してた弟は


この二年で大きく、立派に成長したよ。


―――――エース


レオン『・・・・・・リノ』


リノ「・・・大丈夫」


今でも元気に揺れる赤い火からレオンに目を向けると軽く微笑んだ


これでも・・・村長のおかげで悲しみは乗り越えたんだから。


もうこれ以上心配かけたくなくて、


武装色を身に付ける特訓よりも


悲しみを乗り越える特訓の方を頑張ったんだから。


・・・・・・・・・レオンや皆を安心させたくて、頑張ったんだよ?


とは絶対に言えなかった。


ルフィ「おっと!」


サンジ「急げルフィ!」


ゾロ「レイリー!世話になった!」


レオン『本当にありがとな!リノ行くぞ』


リノ「うん」


走り出した嬉しそうなレオンの顔を見ると


相当いい特訓をしてたんだなーって事だけが分かった


少し走った先にあったシャボン玉の浮かぶバック〝ボンバック〟を手に持ったコックが


最後からやってきた蛆虫船長の横に並んで何かを話している間、


あたしのすぐ近くで盾が何かに反応した


リノ「・・・前からも来てんじゃん」


やっぱコイツら(麦わら一味)は面倒臭いわ。


まあでも・・・船長が三大機関で大暴れすれば、


悪い方でもいい方?でも有名になる訳だよね。


ゾロ「チッ・・・しゃーねー・・・・・・な?」


リノ「え」


何か先頭で指揮してる蛆虫以外、


後ろにいた蛆虫軍全員ネガティブオーラを出しまくりなんですけど・・・!


逆に怖すぎるんですけど・・・!(涙)


「俺は・・・ノミになりたい・・・」


ねえどうしてノミになりたいなんて言いだしたの?!


他にもなりたい物があるでしょ!?!


ノミ以外で!!!


「どうした・・・!?何をして・・・!??!何ィィィィ!?!?」


リノ「気持ち悪い・・・!!」


鳥肌が思い切り立ったような気がして自分の身体を抱きしめると


宙を飛んでいたゴーストが、


見覚えのある一人の女の子の周りで浮かんだ


「やっぱりお前らか・・・この大騒ぎ・・・まっーたく・・・まだこんな所でグズグズしてた・・・・・・・・・ええええええ!?!?!?!?」


・・・・・・何かあたし見て驚かれてるんだけど。


あたしこの子見た事あったかな・・・?


見覚えはあるんだけど、なあ・・・?


「あ、あ、あん、あんたは・・・!七武海の海姫!」


リノ「元ね。ていうか誰」


「あ、アタシの事を覚えてないのか!?」


リノ「うん。知ってる?レオン」


レオン『・・・モリアの城にいた能力者だ。確かメリーサの過去話によると・・・バーソロミュー・くまに何処かへ飛ばされたと聞いていたが』


リノ「あああ!」


あの時のSOSであたしを見てきた不気味女ね!


リノ「やっと思い出した!」


「何であんたがここに・・・!?!」


リノ「送り届ける役を任されたの」


「な、成程・・・!」


・・・うん。怯え過ぎだから、何であたしとレオンを見てそんなに怯えるのかな。


「モリアが言っていた危険な獣とは・・・お前の事か!」


レオン『焼き殺す』


リノ「ストップー」


レオンの上から下りてゴースト女に殴り飛ばされたコックを哀れな目で見て、


今でも方向音痴過ぎる蛆虫剣がゴースト女に怒られてるのを横目に見ていた時・・・


ルフィ「んお?」


「やっと見つけたー!」


レオン『この声は・・・!』


あ、覚えてる!


チョッパー「おおーい!!!」





チョッパーに迎えに来て貰ったなら


あたし達はもう用済みかと思っていたのに、


蛆虫船長に引っ張られて鳥の上に乗って


サウザンドサニー号へ向かう事数分―――


人目に付かなさそうな場所に、


ライオンの船が止められていた


「おーーーい!!!」


「ルフィ!!ゾロ!!サンジーー!!」


リノ「あ!ナミだ!」


「ブシャアアアアアア」


リノ「え?」


チョッパー「えええ!?サンジィィィィ!??!」


・・・何か鼻血思い切り出してるけど、


コイツ大丈夫なの・・・?




鳥があたし達を船の傍に下ろしてくれると、


あたしが船の上へ下りた瞬間―――


ナミ「何よリノぉぉ~可愛くなっちゃってー!!!」


真っ先にナミに抱きつかれた。


ナミ「あんたあれだけ〝ローブないと嫌ぁぁ〟とか言ってたくせにー!!


 何でそんな可愛い服着てるのよ~!?」


抱きつくのを止めたナミが今度はあたしの手を握って、


あたしの周りを楽しそうに回った


レオン『確かに俺も、そのことで不思議に思った』


リノ「あーえっとねー、実はさ~特訓してた時にローブが破れちゃって~


 それですぐに替えの服を探そうと近辺の島で服を探してた時、


 その島にはこういう感じの服しかなかったの。


 どうせ知り合いとかにも合わないだろうし、人間は近付かないかなーと思って当分はこういう服で我慢してたらこういう服を着るようになって」


ナミ「えっ…?」


レオン『成程な』


ナミ「逆にどういう場所で特訓してたの・・・」


リノ「獣しかいない島、レオン達の故郷」


ナミ「すっごい場所ね・・・」


・・・・・・ナミ、レオン見て変な顔をするのは止めなさい(笑)


あんたには聞かれないからって、


レオンすっごい言葉を連発してるからね!?


「ナミ」


ナミ「あ!ロビン!」


ナミの後ろから黒髪の女が優しく笑いかけながら近付いて来ると


あたしを真っ直ぐ見ながらも言った


ロビン「こちらの方は・・・もしかしてだけど・・・」


ナミ「そう。そのもしかしてのもしかしてよ。


 元七武海の海姫って呼ばれてたリノよ、それからリノのパートナーのレオン。


 リノ達とはアラバスタへ向かう途中にあったナノハナっていう街で出会い、


 それから途中まで・・・・・・一緒に・・・・・・乗ってたの・・・・・・」


いきなり言葉に詰まったナミの不思議な行動に、


ナミを見るとナミは申し訳のなさそうな顔であたしを見ていた


・・・・・・ああ、エースの事ね。


ナミ「・・・あー・・・ごめんロビン、レオン。リノ借りる」


ロビン「えっ?」


レオン『行ってこいリノ』


リノ「え?・・・・・・はいはい、敵来たら後は自由にやっといて。


 但し敵を船に近づけない事、いいね?」


レオン『任せろ』


腕を引っ張られて、誰も居ない階段へ連れて行かれると


ナミが何かを言う前に階段に座った


ナミ「リノ・・・さっきはごめん」


リノ「どうして謝るの?」


ナミ「・・・エースの事・・・」


リノ「気にしてないよ。気にしてたら・・・今頃泣いてるだろうし」


ナミ「・・・リノ・・・」


それでも申し訳のなさそうな顔をしたナミが静かに隣に座ると


あたしの右手を握った


ナミ「・・・本当、大事にされてたんだね」


リノ「あたしは・・・冷たく接してたけどね」


ナミ「それでもエースは・・・リノを愛してた。


 私ね・・・実は二回だけ、エースの恋愛相談した事があったの」


両手であたしの手を優しく包み込んだナミが、


何かを思い出すように嬉しそうに語った


ナミ「一回目はアラバスタへ向かってた時、リノ・・・途中で寝込んだでしょ?


 その時にエースがサンドイッチを持っていったの覚えてる?」


リノ「うん。あたしが食べてた時も、嬉しそうな顔をして見てたのを覚えてる」


ナミ「実はその時に、エースがどうすればリノと距離を縮める事が出来るのかって


 相談して来た時にね・・・何かを作ってあげたら?って提案したの。


 そしたらたまたまその話を聞いてたレオンが、リノの好きな物を教えてくれて・・・


 サンジ君の手伝いもあってあのサンドイッチを作ったの」


リノ「っ・・・」


目から涙が零れ落ちる


ただエースがコックの代わりに作ってただけかと思ってた


ナミ「それで二回目はリノ達と別れて二ヶ月経った時に・・・エースからルフィ宛に電話が来たの」


リノ「え?」


二ヶ月って事は・・・・・・あたし達が喧嘩した後だから、


あたしが女ヶ島で自分の部屋にこもってた時・・・の事?


ナミ「いきなりルフィから〝エースが話したい〟って言われた時は驚いたけど


 エースの話を聞いたら・・・仲直りをする方法を教えてくれって頼まれてね・・・。


 〝また会えた時、自分の気持ちをちゃんと伝えるしかない〟って言ったの」


あの時の後悔が、


リノ「あたし・・・・・・何で・・・」


涙に代わって頬を伝って流れ始める


リノ「何でもっと優しく・・・出来なかったんだろ・・・」


レオン『・・・・・・』


リノ「何で・・・本当のことを打ち明けられなかったんだろ・・・」


ナミ「・・・・・・リノ」


顔を覆って泣き始めると、


ナミが背中をさすった


リノ「自分が悪いってのはちゃんと分かってた・・・!


 あたしが早く・・・エースに本当のことを言わなかったから・・・!


 七武海に入ってるって言わなかったから・・・エースは部屋を飛び出して行く事なんてなかった


 そして黒髭との戦いで負ける事もなかった・・・!!


 全部あたしのせいで・・・エースは・・・死んだ!」


「そんな事ねーよ」


自分を責める言葉しか出てこなくて


頭の上から聞こえてきた声に、


ゆっくりと顔を上げた


ルフィ「エースはぜってー・・・そんな事は思わねえよリノ」


リノ「っ・・・何で、そんな事・・・言えるの・・・!!」


両手に拳を作って立つと、蛆虫船長を睨んだ


ルフィ「もしもアイツが本気でお前に殺されたとか思ってたら!!!


 エースはお前に・・・その指輪をあげてたと思うか!?」


リノ「っ・・・」


何も言えなくて、


目を瞑って唇を噛み締めて頭を下げた時・・・


リノ「!?」


蛆虫船長があたしの頭の上に手を置いた


あたしの周りで盾が反応し始めたとしても


蛆虫船長は軽く笑った


レオン『コイツの能力は〝ゴムゴムの実〟だ』


・・・つまりはあたしの電撃は、効かないって事ね


ルフィ「リノ、レオン!!」


あたしから数歩後ろへ下がった蛆虫船長が、


麦わらの一味全員が蛆虫船長の後ろに立つと


皆があたしとあたしの横にいるレオンを優しい眼差しで見た


ルフィ「俺たちと一緒に来い!!!」


―――力強い声で蛆虫船長がそう言った途端、


優しい風が髪を靡かせた


風があたしの身体と心を吹き抜けると


涙を堪えて小さく、頷いた
 
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