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『自分:第1章』

作者:零那
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『不安』

やばい...
また余所に飛ばされる。
でも18過ぎてる。
鑑別とか入るような犯罪は無いから...飛ばされるなら女性センター。
で、そうなるなら高松に戻る。
今度は、今在る人間関係から断ち切らす為に。
こんな不安や、悪い予想ってのは当たる。
確信があった。


女性センター。
旦那からのDV、ヤクザ絡みから逃げてきたり、女性専用の駆け込み寺。
保護所の横に在った。


また県外留置。
そうなったら通信高校は、辞めなあかん。
スクーリング行けんなる。
まず、許されん。


何より、皆とお別れ...
残されてる時間は数日。
毎日不安だった。
ユウにも、皆にも、話した。
もう此処にはおれんなる。
時間が無い。
その時は急に来る。
前触れ無く姿も消えて連絡も途絶える。
そう話した。
零那に与えてくれた皆との時間に感謝した。
ありがとうって...
明日か明後日か、解らんから言えるうちにチャント言いたかった。

皆は解ってくれた。
ユウは...真面目な話が嫌いなオチャラケ系。
零那の気持ちは解ってくれんかった。


『過去やか関係ない』って言うけど、それは『受け入れる』ってのとは違う。
『知りたくない』『知ったとして深く考えたくない』って考えやと思った。


特に恋愛関係の相手には『過去やか関係ない』って言われたくない。

それは『過去は受け入れたくない』って事やろ?

だって『過去』が在ったから『現在』が在るんやから。

過去を無かった事にはできん。
死より深い闇の苦しみの中を這いつくばって生きてきた。
其れをナシには出来ん。
『過去は関係ない』ことない。
ありありや。
こんな過去やったからこそ、現在の零那が存在してるんや。
過去を含めた総てで自分!!
だから、零那を受け止めるのは相当重いやろ。
それでも、零那は零那。
隠したくはないし偽りたくもない。


『過去やか関係ない』=『現在の自分は何者?』ってなる。
関係ない過去は無い。
人生に、省いても良い過去やか一切無い。
スベテで今の自分が在る。


まず、その価値観や考えの違いは人間関係を築く上で最大の歪みが生まれる。
確かに『今が大事』の意味は解る。
でも『過去は関係ない』は違う。
現在を築いたのは過去。
未来を築くのは現在。
過去が無ければ現在も未来も無い。
其処は何が何でも譲らん。


過去に捕らわれてるわけじゃ無い。
過去を曖昧にしたくないだけ。
過去を曖昧にする人が信用できんだけ。
受け止めれんなら聞くな。


聞いた上で関係ナイは卑怯。


ユウには、納得して貰えんまま、不安を抱えっぱなしで訴えたのに心配する素振りもなく...幻滅しかけた。


『その日』は、やっぱり急にきた。
朝、いつもの様にマサの家から自宅に帰った。
見計らったように、常に監視してたかのように、ピンポンが鳴る。
その時点で解る。
諦めはついてた。
覚悟もしてた。

 
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