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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第7章:過去から未来への歴史
  第12話:基本的には目出度い事柄

(気球)
クリフトSIDE

ま、拙い……
非常に拙い。目出度い事なのに、途轍もなく拙いです!
何が拙いかと言うと『テヘッ、ヤっちゃったらデキちゃった♥』であるから拙いのです!

私もアリーナ様を愛しておりますから、(いず)れは吉事を期待する父親のつもりでおりました……が、それはあくまで結婚を認められてからのステップでして、まだ報告すらしてない現状では『やったね王様、跡取りですよ☆』なんて言えるわけもなく……

「何、落ち込んでるのクリフト? 喜ぶべき出来事なんだよ」
天空への塔の側に置いてあった気球に乗り込み、西のサントハイムへゆったり旅行気分で赴こうとしてるリュカさん達には解らないのだ。
今の私の気分など……

「目出度い事なのは承知しておりますよ! 私だって嬉しいんです……私とアリーナ様との間に子供が生まれるなんて。ですが、まだ陛下に報告もしてないんですよ! 身分違いの恋という高いハードルがあるのに、お付き合いしている報告にプラスして、ご懐妊の報告をする身になった気分を考えて下さい! どんだけハードル上げるんですか!?」

「もう潜っちゃえばハードル(笑) 飛び越すより楽じゃね?」
ムカつくわぁ~……こいつマジでムカつくわぁ~!
潜るって何だよ!? 例え話のハードルなんだから、潜りようがないだろ!

「リュカ……クリフトは真剣なんじゃから、あまりからかうでない(笑)」
「おいおい爺さん……そんな事言いながら薄ら笑ってるのは何処の何奴だい?」
何だコイツ等、私が苦悩してるのを面白そうに眺めやがって!
よく見ると、デスピーさんまでニヤニヤしてるじゃないか!?

「ごめんねクリフト。私が気を付けなかったばかりに……」
いかん! 落ち込みすぎてアリーナ様を悲しませてしまった。
アリーナ様の所為ではないのに……結局、中で出した私が原因なのに!!

「アリーナ様の責任ではありませんよ。私の心が弱いだけです! むしろ申し訳なく思っております……ただ、リュカさんにはご懐妊の事を相談したのに、私には何も言ってくれなかった事が寂しくて」

そうなのだ。私の子供の事なのに、リュカさんに言われて初めて知ったというのが、何とも心をやさぐれさせる。
ヤキモチと言われればそれまでですが、私はアリーナ様の事を全て一番に知っていたいのです! 例え頼りなくても、相談するのなら私にが良かったのに……

「クリフトさん安心して下さい。アリーナ姫はリュカさんに何も相談してないですよ。コイツに相談しても何ら解決しない事は百も承知でしょうから、父親に貴方との仲を了承させて、その後に爆弾発言を投下する予定だったんですよ、きっと」

「え? では、何故リュカさんは知ってたんですかウルフさん!? アリーナ様の事は常に気をかけてる私ですら、その変化に気が付かなかったというのに、どうやってリュカさんはアリーナ様のご懐妊を知ったのですか!? お腹だってスリムなままなのに……」

「あはははは、オッパイだってスリムなのにね(笑)」
「ぶっ殺すぞコノヤロー!」
アリーナ様の怒りを浴びながらも、腹を抱えて笑うリュカさんが憎い。
何より、最近はアリーナ様の胸も大きくなってきたのに! ……はっ、ご懐妊の影響か!?

「リュカさんはね、女性が妊娠すると判っちゃう特異体質なんだよ。当人が気付いてなくても『身体の中に新たな命の暖かみがある』とか言って、外見的違いのない女性の妊娠にも気付いちゃう規格外生命体なんだよ」
バケモノめぇ~……私より先に気付くんじゃない!

「な、なるほど……そんな特技があるから、今まで懐妊させてきた女性を隠し続ける事が出来たんですね!」
「はぁ? 僕は一度も隠した事はないよ。嘘吐いても(いず)れバレるし、その方が周囲への印象も悪い。正直者は好感を持たれるからね」

「あ、愛人とその子供を複数作っておいて好感云々を語らないで下さい。リュカさんは国王なのでしょう……そんなふしだらな事を続けてると、そのうち国民から不平が出てきますよ! 王として品行方正を是とした方が……」

「ところがどっこいクリフトさん! この男は国民から絶対の信頼を得てるんだな。国民の生活向上を考え、自ら市中を視察し……まぁ視察ついでにナンパもしてるけど、逆か? まぁいい……そうやって見つけた問題点を素早く解決させてるから、国民には大人気なんだよ。その財源を貴族に課税する事で補ってるから、貴族からは不評だけどね(笑)」

なるほど……多分ナンパついでに市中見回りでしょうけど、リュカさんを良王として表す納得のいくエピソードですね。
チラリとリューラさんに視線を向けると、尊敬する父を褒められ満面の笑みです。

「それに、こんな事はリュカさんくらいにしか出来ない。普通の王様がフラリと一人で市中に出るのは大変危険な事だ。何処にテロリストが潜伏してるか判らないのだし、国家主席を一人フラ付かせるなんて言語道断! だがリュカさんには無用の心配。だって強いんだもん! このオッサンはそこら辺のテロリストより強いんだもん!!」

「“オッサン”じゃない、イケメンお兄さんだ!」
「黙れイケメンオッサン」
あまりにもどうでもいい二人の遣り取りに、思わず笑ってしまう。

「やっと笑った」
優しい声で私が笑った事を指摘するリュカさん。
思わずハッとなり、皆さんを見回してしまう。

「これから世界が平和になった報告と、義父に初孫の報告をするのだがら、難しい顔をしてちゃダメだよ。アリーナを安心させる為にも、嘘でも余裕ぶっこいて笑ってないと! それが男に出来る唯一の強がりだよ(笑)」

クリフトSIDE END



(気球)
アリーナSIDE

よかった……
やっとクリフトにも笑顔が戻ってきた。
リュカには感謝してもし尽くせないわ。

私、クリフトが大好きだし……彼と一緒だったら、王族である事を捨てても構わない!
お父様が私達の仲を反対するのであれば、私はクリフトと主にサントハイムを出て行く覚悟もある。
でもそれは、全てにおいてクリフトが受け入れたら……いえ、幸せだと言ってくれたならだ。

私と結婚するより……私との子供を育てるより、サントハイム王家の家臣として安寧な人生を選びたいというのなら、私は無理強いをする事が出来ない。
子供が出来た事を聞いてから、すっと落ち込んでたし……凄く不安な気持ちになってたけど、リュカのお陰で吹っ切れてくれたみたい。

「ねぇリュカ……もし生まれてくる子供が男の子だったら、“リュカ”って名前付けても良い?」
私はこの雰囲気をチャンスと思い、思い切って無茶なお強請(ねだ)りをしてみる。
きっとステキな子に育つはずだから。

「ダメ」
……っておい!!
この流れで『ダメ』って言うか普通!?

「な、何でよ!? 何でダメなのよ!!」
「だって……アリーナに似たら、きっと頭のネジが足りない子になりそうだし、クリフト似だったら、弱そうな子になりそうだし……『リュカ』って綺麗で良い名前だからダメ。勿体ない」

「おいぃぃぃ!! 頭のネジが足りないって何だ!? ぶっ飛ばすぞコノヤロー!」
「そうですよ、弱そうとは失礼すぎます!」
リュカの発言に腹立つのもそうだが、横でウルフが大笑いしてるのがもっと腹立つ!

「頭のネジ足りないだろ。そんな名前なんて勝手に付けちゃえば良いんだから、わざわざ許可を求めるなんて……僕とは二度と会わないんだよ。勝手に付けたモン勝ちでしょ?」
それって、勝手に名前付けちゃって良いって事?

「それにクリフト。先程までのお前の態度……弱そうと言われても文句言えないだろ。もうどうにもならない事でウジウジ悩み続ける男が、強そうに見えるわけねーっての!」
た、確かに……思わずクリフトと見詰め合い、互いに笑ってしまった。

リュカの言う通り、今更悩んでも何も変わらないのだし、強気で押し通した方が何か良いよね。
クリフトに抱き付き眼下に目を向けると、そこには我がサントハイム城が迫ってきてた。
きっとクリフトと一緒に幸せな人生を歩めると、私は今確信した。

だから笑顔でお父様に会おうと思う。
何も悪い事はしてないのだから!

アリーナSIDE END



 
 

 
後書き
何やら世の中は既にお盆休み中の方もいらっしゃるそうで……
でも私は月・火と仕事。
どういうことですか、これは?
不公平じゃありませんか?
『じゃぁ有休使え』と仰る方も居るでしょうが……もうねーんだよ!
年間の有給は早々に使い切っちゃうんだよ!
まるで『釣りバカ』の浜ちゃんのごとく、サッサと使い切っちゃうんだよ!

でも台風が来ちゃって、早盆休みの馬鹿共に災いを与えれば良いんだ!
飛行機や電車などの運行ストップとかしちゃって、足止めっちゃえば良いんだ!

私も13日から休みになるけど、金もないし彼女も居ないし行くとこなんて全然ないから、世の中不幸になれば良いんだ!
引き籠もってウジウジしちゃうけど、小説書くテンションじゃないから盆休み中は更新しない。
次の更新は、みんなが働き出す18日だ。 
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