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美しき異形達

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第十七話 最後の少女その八

 鈴蘭はその怪人の攻撃を見てだ、裕香に述べた。
「このままではね」
「薊ちゃん危ないの?」
「よくないわね」
 そうだとだ、裕香に語るのだった。
「一見して見事に防いでいるわね」
「うん、棒でね」
「けれどね」
「あくまで今は、なのね」
「怪人の剣擊の威力が大きいわ」
 鈴蘭が見ているのはそれだった。
「一撃一撃の威力が大きいから」
「それがよくないの」
「斬られることは防げても」
 それは出来る、しかしというのだ。
「その衝撃のダメージがあるわ」
「あっ、そうね」
「そう、それが蓄積されて」
 そして、というのだ。
「身体の動きにも影響してくるわ」
「ダメージのせいで」
「そしてそこで」
 動きがそのダメージの影響で鈍る、そしてというのだ。
「斬られるわ」
「そうなるから」
「一撃一撃を防げても」
「ダメージは残るのね」
「それが駄目なのよ、だから」
 今のままではというのだ、薊は。
 それでだ、鈴蘭は裕香にこうも言った。
「負けるわ」
「薊ちゃんこのままだと」
「そう、そうなるから」
 だからだというのだ。
「今は危ういわ」
「薊ちゃんまさか」
「もっとも。あの娘は頭の回転が早いみたいだから」
 鈴蘭は既に薊のそのことを見抜いている、だからこうも言うのだった。
「もうそのことはわかっているわ」
「うん、薊ちゃん実際にね」
 裕香もだ、鈴蘭にこう話した。薊のことを。
「頭の回転が早いから」
「だから今の状況についても」
「わかっている筈だから」 
 このままではダメージが蓄積されて動きが鈍りそこで斬られて敗れることがだ。そのことがわかるからだというのだ。
「それでどうするかよ」
「薊ちゃんが」
「それを見せてもらうわ」
 こう言ってだ、そしてだった。
 薊は二人が見ている中で怪人の攻撃を防ぎ続けていた、怪人はまさに嵐の如く両手に持っている葉の刀で攻めて来る、そうしてそのまま押そうとしていた。
 怪人はその中でだ、薊に勝ち誇る感じで言ってきた。
「このまま防ぐつもりか」
「防いでもだね」
「そうだ、衝撃のダメージは御前の身体に蓄積されていく」
 怪人もわかっていた、このことが。
「そして動きが鈍ればだ」
「ダメージだね」
「そこで俺が御前を斬る」
「そうなるね」
「どうする、このまま斬られるか」
「生憎そのつもりはないからね」
 だからだと言うのだ、それでだった。
 薊はその目を光らせた、それと共に。
 怪人の攻撃を両手に持っている棒で受けつつだ、身体を屈めさせて。
 右足で怪人の両足を払った、だがその一撃は。
 怪人は読んでいたのか真上に跳んだ、それで薊の一撃をかわした。
「えっ、まさかあの一撃を!?」
「かわされたわね」
 裕香は驚いて、鈴蘭は冷静に述べた。
「いい攻撃だったけれど」
「あれをかわすなんて」
「いえ、まだよ」
「薊ちゃんまだ攻められるの」
「私が思っている通りの娘なら」
 それなら、というのだ。 
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