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ハイスクールD×D~舞い踊りし剣舞姫~

作者:レゾナ
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第八話

授業参観を翌日に控えた夜……俺は自室ではない部屋でおっさんとゲームをしている。

知り合いだからだろうか、ものすごく容赦がない。

「おらっ!そこだ!」

「ところがぎっちょん!」

「何ぃ!?まさかのそこでアイテムとか!?」

要は某有名なマ○オカー○である。

「よっしゃ!一位ゴールイン!」

「くっそ!?お前、もうちょっとは手加減しろや!お前が本気を出すと真面目に勝てねぇんだぞ!?」

「ふっふっふ……勝負事に手を抜くバカがどこにいる?」

「そう言うと思ったよちきしょう!」

おっさんは頭をがしがしと掻きながら途端に押し黙る。

「で……こっからは真面目な話なんだが……」

「ああ、そっちが本命なんだろ、()()()()さん」

俺がそう言うと狭い部屋の中に黒い翼が広がる。その翼の出所はおっさん。

このおっさんの名前はアザゼル……堕天使総督のアザゼルなのである。



「それで?何で堕天使総督直々にこの街に来てるんだ?俺に会いにきたってのもある、とは思うけど……」

「ああ、それもあるが……サーゼクスから聞いてないか?三大勢力の会議があるって」

「ああ、そういえばこの間そんなの言ってたな……まあ、当の本人にとっちゃ授業参観の方が大事だろうけどな」

「授業参観?ああ、そういえばあるって……ははぁん?さてはサーゼクスの妹、その事を喋ってなかったんだろ?」

「ああ、その通りだ」

シスコンが来るなっていうのはわかるがな……家族が来てくれないってのは意外と寂しい物なんだぜ?

「それで、その会談にお前にも出席してほしいんだよ。ああ、それとあっちの女の子達もな」

「おい、そこでなんでクレア達が出てくるんだよ?」

クレア達が呼ばれる理由がわからんのだが。

「実際にあっちの人間を連れてきた方がいいだろ?お前は厳密に言えばこっち側の人間だしな。えっと……神威、だっけ?それはお前も持ってるがそんなのは証拠にもならんしな」

「確かにそうだけど……それを知ったリアス先輩達は危険と判断して俺たちを排除しようとするかもしれませんよ?」

実際になりそうだし……あの人、他人の事というか人間の事、あからさまに見下してるからな。

「お前らの事を知れば変わるかもしれんだろ?」

「変わらなかったらどうするんだよ?」

「そこは……サーゼクスが腹を括るだろうさ」

他人任せか!

「まあ、それはそれでさ……お前、ヴァーリに会っただろう?」

「?ああ……というかお前が使いに出したんだから知ってるに決まってるだろ?」

「最近なんだが……ヴァーリと模擬戦とかしてると途中で抑えが効かなくなる時があるんだ?」

?それが一体どうしたってんだ?

「その時にな……あいつの体から黒い霧のような物が出てるのを偶然見たんだ」

黒い霧のような物……それって……

「まさか……アザゼルはヴァーリに()()()()()()()()()が宿ってるって言いたいのか?」

「ああ、その可能性はあると思ってな……一応だ、一応。これに対応出きるのは今の所、お前だけなんでな」

この世ならざるもの……まだ、こっちの世界に残っていたのか……完全に道は閉ざした筈なんだけどな……。

「お前の考えてる事はわかってらぁ……それでも、万が一という事もあるだろう?」

「そうだな……わかった、警戒はしとくよ。話はそれだけか?」

「ああ、すまんな。お前のような子供に責任を押し付けるような形になっちまって……」

アザゼルさんは悔しそうに歯軋りする。

「大丈夫ですよ。適材適所って言葉があるでしょ?俺にできる事なら俺がやる、ただそれだけですよ。それじゃ」

俺はそう言って部屋を出て行った。

「違うんだよ……お前みたいな子供に責任を押し付けないといけない俺ら大人が悪いんだよ……お前にばっかり責任を押し付けちまうようなこの世界にも嫌気がさしてくるんだよ……」

そんなつぶやきは俺には届かなかった。



今日は授業参観。その少し前にゼノヴィアは無事学園に入る事が出来た。

最初の頃は戸惑いなどもあったようだが今となっては皆の輪の中に溶け込んでいる。

そして朝、校門の前にやってくると……そこには銀髪の美女が立っていた。

「一誠君……だよね?」

「?ああ……君は?」

「ヴァーリ…といえばわかるかい?」

ヴァーリ……白龍皇か。

「それで?ヴァーリがなんで校門の前にいるんだ?」

「この間からアルビオンが「ドライグに会わせて!」ってうるさくてね……失礼だとは思うんだけど……」

「ああ、いや。いいよ……それで、俺がドライグを宿してるって誰にも言ってないだろうな?」

「?うん、誰にも言ってないけど……なんで、そんなに隠したがるの?」

「いや、一度ドライグのせいで痛い目をみたからさ……」

ドライグの力に飲まれてしまった時の事を思い出す……ドライグ本人の意思ではないにしろ、一度はドラゴンの力に飲まれてしまったのだ。

その怖さは誰よりもよくわかっている。

「それでさ……アルビオンが早く早くって言ってるから……また、いい?」

「いや、いいんだけど……」

俺はちらりと後ろを見る。

「「「「「「………………」」」」」」

無言でこっちを見つめる六つの視線を感じるんだよ……。

「それじゃ、はいっ」

そう言ってヴァーリは俺に抱きつく。

「「「「「「っ!!!」」」」」」

はい、視線がさらに鋭くなりました……これってどう収拾つけたらいいの?

『ふわぁん!ドライグぅぅぅぅ~会いたかったよ~』

それに……なんかめっちゃ泣いてんな、白龍皇アルビオン。こんなドラゴンだったのか?

『ああ、もう。お前は本当に昔っから変わらんな……』

ドライグの言葉からアルビオンは昔からこんな感じらしい。

『それでねそれでね!』

『ほほぅ?そんな事があったんだな……』

なんか、ほのぼのとした会話になってるな。いつの間にか……。

「なあ、ドライグ。もういいんじゃないか?」

『むっ、そうだな。アルビオン、今日はこれまでだ』

『えぇぇぇ!?ぶぅ~……』

ああ、俺の中の二天龍の風格がどんどん廃れていくんだが……。

「それじゃ、離れるね」

そう言って離れるヴァーリ。

「にしてもこの間からだけどね、抱きついてみてわかったけど結構鍛えてるんだね。無駄な筋肉がないよ」

「そうかな?俺としてもまだまだ発展途上なんだけど……」

「へぇ……ぜひ、戦ってみたいね」

その時、俺は確かに見た。ヴァーリの笑顔の中に狂気が見えた。

どういう事なんだ……?ここまでの狂気なんて……。

「それじゃあね、一誠君」

と、さっきの狂気は嘘のように朗らかに笑い、その場を去っていくヴァーリ。

俺にとっては問題が増えた事に悩まなければいけないのだが

「イッセー……いきなり何をしてんの……?」

「イッセーさん……ちょっと来てくれませんこと?」

「イッセー君……お話しない?」

「イッセー……一度きつく説教しなければいけないらしいな……?」

「イッセーさん……」

「イッセー……」

おいおい、何でゼノヴィアまで俺を睨む。というかアーシア、若干涙目になってないか?

そして事情を説明するのに数分掛かったのは言うまでもない…………そのせいで授業に遅刻しそうになったのも俺のせいではないと信じたい。 
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