| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ハイスクールD×D ~聖人少女と腐った蛇と一途な赤龍帝~

作者:enagon
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第0章 平穏な日常と新たな家族
  第6話 また迷子!?




「はぁ~~~いい湯だったな~~~」

 本日私たちは小3のゴールデンウィークを利用して箱根の温泉街にやってきています。なんでいきなり箱根かって? なんでもお父さんの同僚が仕事中に大怪我をして引退したんだって。日常生活には支障はないらしいんだけどさすがに仕事の継続は危険だったみたい。……ホントうちのお父さんってなんの仕事してるんだろう? 何度聞いても全く答えてくれない。そんなにやばい仕事なのかな?

 そんでもってその同僚さん、実家に帰って温泉旅館を継ぐことにしたんだけど、その人が仕事中に世話になったお父さんとその家族である私達を招待してくれたんだ。いや~前世を含めて箱根の温泉に来るのは初めてなんだけど本当にいい湯だね! もうみんなで何種類も入ってみたんだけど、その甲斐あってお肌すべすべだよ。ちなみに私も龍巳も年齢的に男湯入ってもギリギリ大丈夫な歳だけど結局お母さんと女湯に入ったから、お父さんは一人で寂しいと愚痴っていた。まあ温泉から次の温泉への移動中私か龍巳のどちらかを常に抱っこしてたから、それで勘弁してもらおう。

 しかし、温泉っていいね! ここ1年の疲れが溶けて出ていくようだよ。ここ1年、特に小2の終わり頃はホント大変だった。

 ……こう言うとまるで厨二病患者のようだけど世界が総出で私を殺しにかかってきているようだったよ。最初の頃は上から花瓶が落ちてきたり、歩いてる先のマンホールが外れてて落ちそうになったりとまだ可愛いもんだった。だけどそれらは次第にエスカレート、ある時は車が突っ込んできたり、ある時は変質者が包丁持って追いかけてきたり、極め付きは剣道場からの帰り道、3対6枚の翼を持った堕天使に連れ去られかけた。あの時はホント危なかったよ。中級だか上級だかは分からないけどさすがにまだあのレベルの人外には対抗するほどの力はない。結界を察知した龍巳が駆けつけてくれたから大丈夫だったけど、あの時あの堕天使が結界を張らなかったら危なかったかもね。目の前の堕天使に集中してたから龍巳にこちらから連絡する余裕なかったよ。こんな時のために龍巳に渡してある封印用の蛇に連絡機能も付けたっていうのに……。まだまだ魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)を使いこなす修行も必要だね。

 ちなみにその堕天使、気が付かないようなスピードで龍巳に消し飛ばされた。それはもう見事に、周りに余波などの影響を全く出さず綺麗サッパリ消し飛ばしたよ。何をやったかは全く分からなかった。龍巳も周りに正体がバレないように力を使えるようになってきたね。以前お母さんに説教食らったのがよっぽど怖かったんだろうね。というか半分トラウマになってる?

 でもこれらは私一人の時に起こったことだったからまだ良かったんだけど、私がなかなか死なないと見ると今度は私達家族ごと殺しに来やがったのよ。家族で車で遠出しているとき、信号待ちしてたら突然前後左右からダンプが突っ込んできた。ありえなくない!? いったい何がどうしたらそんな状況になるんだか。信号無視とかじゃ説明つかないよ? まあこの時も龍巳が人には見えないようなスピードで4方向からくるダンプの向きを逸らして事なきを得た。いや~あの時はすごかったね。龍巳の姿が一瞬ぶれたと思ったらダンプが皆車に当たらないコースに移動してたんだから。お父さんとお母さんも龍巳に感謝しつつ、自分の正体を隠して動けるようになった龍巳に喜んでいた。その後はもうめちゃくちゃ龍巳のこと愛でてたよ。見ているこっちが引くくらい。龍巳も褒められたことには喜んでたけどその後の可愛がり攻撃にはちょっと微妙な顔をしていた。

 まあそんな感じでここ最近私の周りは不幸の連続だったんだけど、その不幸もぱったりやんだ。両親も龍巳も私が急にあまりにも不幸になったこと、そしてその不幸がいきなり止んだことに首をひねっていたけど私はその理由がなんとなく想像できていた。おそらくレオナルドが生まれたんでしょうね。原作のレオナルド、魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)の所有者であり英雄派構成員。おそらく彼が生まれるに当たり、世界の修正力? か何かが私を殺して魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)の所有者を空きにしたかったんだと思う。あの怒涛の不幸ラッシュはそうとしか思えない。

 今思うと龍巳との出会いもこの修正力? の1つだったのかな? 選択肢間違えたら死んでもおかしくなかったんだし。そう考えるとあの時一緒にイッセーがいてよかったよ。一人の時に会ってたらどうなっていたことやら。

 まあこの不幸ラッシュが終わってレオナルドが生まれたってことは、レオナルドの英雄派所属フラグが折れたってことだね。私は1人の子供の人生を救えたんだ。次は私自身が英雄派に見つからないようにしなくっちゃいけないわけだけど、そこは今まで通り魔剣創造(ソード・バース)に擬態させて使っていれば見つかっても格段に危険は下がるでしょう。それに龍巳もいるしいざというときもおそらく大丈夫。これで後は原作突入まではほんとに平穏な日々が送れそうね。良かった良かった。

 さて、今私はお父さんと一緒に温泉街を練り歩いて、数あるお土産屋さんを物色している。お母さんと龍巳は別行動で食べ歩きをしてくるらしい。あの2人、ほんとによく食べるからね。逆にお父さんは結構小食だ。普通お父さんとお母さんの食べる量はお父さんのほうが多いんじゃないかな? よくあれだけでそんながっしりとした体型維持できるよね。

 さて、このお土産屋さんはめぼしいものは無かったし次に行きましょうか。そうして私達が手をつないで次のお土産屋さんに向けて歩いていると



ミ~~~~~



 どこからかそんなか細い鳴き声が聞こえてきた。辺りを見回してみると店と店の間、薄暗い路地に2匹の子猫がいた。一匹は白、一匹は黒。色は違うけど品種は同じみたいだから兄弟かな? 私は近くで見たくてお父さんの手を引きつつ路地に向かった。お父さんもしょうがないな~といった雰囲気でついてきてくれる。

 私は猫が好きなのでもうテンションがめっちゃ高い。犬も好きだけどどっちと聞かれたら断然猫派ね。もう今から撫でたくて撫でたくてウキウキしっぱなしよ。

 ……しかし私は近づくにつれそんなテンションはどっかに行ってしまった。その猫たちは痩せこけ薄汚れていた。加えてもう体力が限界なのか四肢をぐったり投げ出している。白い猫は息こそしているけどもう目をつぶってしまってるし、黒い猫がかろうじて動く前足で白い猫を揺すっていた。見てわかる、この2匹は栄養失調でこのままでは長くないと。

 とてもではないけどこの2匹を放っては置けなかった。

「……お父さん」

 でも子供の私では親の同意がなければどうすることもできない。お父さんはしばし目をつぶって考えていたようだけど、ため息をひとつ吐いてから微笑んでくれた。

「旅館の人とお母さんには俺から話しておくよ」

 私はこの言葉を聞くやいなや2匹を抱え上げお父さんと一緒に旅館の方向へ駆けて行った。







 さて、場所は変わって今は私達が泊まっている旅館の部屋、そこには……



 猫耳と尻尾を生やした黒髪少女と白髪少女が部屋の隅で震えつつこちらを睨みつけていた。



 うん。もう何度目になるか分からないけどあえて言おう。何がどうしてこうなった!? 順を追って思い出そう。まず二匹の子猫を抱えた私はそのまま泊まっている部屋に直行した。そこでは食べ歩きを終えたのか満足気にくつろいでるお母さんと龍巳がいた。私は事情を話しつつ二匹の子猫を寝かせて餌になるものを探してこようとしたんだけど、そこで龍巳が急に寄ってきて

「この2匹、妖怪。多分猫又」

 と言って2匹に手をかざすと少し体力が戻ったのか2匹が目を開いた。何をしたのかは分からなかったんだけど取り敢えず窮地は脱したのかなと安堵した束の間、その2匹は少しづつ大きくなりついには猫耳と尻尾を生やした少女となった。私もお母さんも少し遅れて入ってきたお父さんもこれには思わず目が点になったよ。猫が少女になっちゃうんだもん。黒髪の少女は私よりちょっと年上、白髪の少女はちょっと年下かな? 2人の少女は周りを見渡して状況を把握するとバネ仕掛けのようにその場から移動し部屋の隅で震えながら睨みつけてきた。

 うん、状況理解。つまり死にかけの子猫は死にかけの猫又だったと。そしてこの状況、あと猫又の見覚えのある顔つき、私はなんとなく彼女たちの名前に予想がついた。さてこれからどうしようか? 龍巳以外固まって動けない。っていうかこんな状況で冷静でいられるわけがない。取り敢えず話しかけてこの空気をどうにかしないとと考えていると



グゥ~~~~~~~~~~~~~



 この固まった空気をぶち壊す音が目の前の少女たちからした、と思ったら音の出処は龍巳だった! うぉい!? アンタさっきまで食べ歩きしてたんじゃなかったの!? どんだけ腹ペコなのよ!? こら目をそらすなこっち見ろ。……まあこの空気ぶち壊してくれたからよしとしましょうか。ああ、お父さんとお母さんも笑ってるよ。そりゃそうだよね~。龍巳はほんのり顔を赤くしている。さすがに恥ずかしかったか。

「ちょっと早いけどお夕飯にしましょうか?」

「そうだな。女将さんに夕飯早めてくれるよう頼んでくる。それから、お膳も二人分増やしてもらってくるよ」

 お父さんの言葉に目を丸くする猫耳姉妹。ガリガリに痩せてるけどその仕草は可愛いね。







 夕御飯はすぐに用意されお膳が6つ並べられた。私達はそれぞれのお膳の前に座ってるんだけど、お腹が空いているだろう姉妹はなかなか私達に近寄ってこない。まだ警戒されてるのかな? まあ当然か。あっち妖怪でこっち人間(まあ一人は龍だけど)だもんね。

 しょうがないので私と龍巳が彼女たちの前までお膳を持っていった。うん、かなり警戒されてるね。耳と尻尾が思いっきり立っている。でもお膳をおいて私達が下がると彼女たちは飛びつくようにして泣きながら食べ始めた。やっぱりお腹すいてたんだね。ものすごい速さで食べてる。

 お父さんとお母さんは微笑ましいものを見るような目で2人を見ていた。







 2人はご飯を食べた後安心したのかそのまま揃って寝てしまった。もうホント安心しきった顔だね。でもお父さんとお母さんはこれからどうする気なんだろう?

「取り敢えず明日朝ご飯食べたら二人の話を聞いてみましょうか。話はそこからよ」

 あ、そうですか。まあこのまま放り出すわけにも行かないよね? このガリガリの体を見るに、まともな生活できてるとも思えないし。

 お母さんは寝てしまった2人を布団に移し私と龍巳も寝かせると、お父さんと一緒に連絡するところがあると言って部屋を出ていった。結局私と龍巳はそのまま寝てしまいお父さんとお母さんがどこに連絡し、いつ部屋に戻ってきたのか分からなかった。







 明くる朝、今度は一緒の席で件の少女たちも朝食を食べてくれた。寝ている間も何もしなかったからか、少しは信用してくれたみたい。

 その後お母さんが問いかけたところ、黒髪の少女がぽつりぽつりと話してくれた。自分たちが猫又という妖怪であること、数年前に両親が他界してしまったこと、それから姉妹2人で身を寄せ合って生きてきたこと、とうとう食べるものも無くなってしまったこと、お腹が空きすぎて動けなくなったこと。

 生まれた時からずっと幸せだった私には想像できない過酷な生活のようだった。そして、ここまで説明されればこの2人の名前に確信が持てた。おそらく、黒歌(くろか)白音(しろね)よね。原作で読んだ彼女たちの境遇と合致している。

 おそらくあそこで私が拾っていなかったら、悪魔が拾って眷属にされていたでしょうね。そして拾った悪魔が最低な野郎と分かり、妹に危害が及ぶ前に黒歌はその悪魔を殺して姉妹で確執が生まれるわけか。……そうなるとここで放り出すこともしたくないな。結局また飢えて、そのまま悪魔にされそうだし。

 それに、こうして彼女たちを目の前にすると、このまま彼女たちを不幸になんてしたくない。文章で読むのとこうして実際に目にするのは別物なんだから。さて、どうしたものか?

「それで、あなた達はこの後行くアテはあるの?」

 あるわけないじゃないお母さん。あったらこんなとこで野垂れ死にかけてないよ。実際黒髪の少女は首を横に振った。

「なら、うちの子にならない?」

 ……へ? 今お母さんなんて言った?

「行くアテがないならうちにいらっしゃい。娘が増えて大歓迎よ」

 どうやら聞き間違いではなかったらしい。全く、こんな大事な決断を簡単にしちゃうなんてお母さんはすごいな~。一生敵いそうにないよ。一方お母さんの言葉に固まっていた黒髪の少女は猛然と食って掛かった。

「安い同情なんていらない! それに私たちは妖怪! 人間と一緒に暮らせるわけないじゃない!」

 うん、普通はそう思うよね。普通なら。でもあいにくうちは普通じゃない。なんてったって生きた前例が今私の隣にいるんだから。

「そんなことないわ。種族が違うなんて些細な問題よ。なんといってもこの娘だって人間ではないのだから」

 そう言ってお母さんは龍巳を抱き寄せた。猫又の姉妹はきょとんとしてる。

「ん。我、人間じゃない。我、龍」

 そう言うと龍巳は手のひらをかざし、蛇を呼びだそうとして、

「これ、分かりにくいかも……」

 と言うと、手を戻して背中から龍の翼を生やした。

「な、なんで……」

「我、ずっと一人だった。でも我、お父さん、お母さん、お姉ちゃんに会った。我のこと、家族と言ってくれた。だから我、ここにいる」

「それから誤解の無いよう言っておくけど、あなた達に同情したから家族にしようと思ったのではないわ。あなた達が気に入ったから家族にするの。そこを勘違いしてはダメよ?」

「そうだぞ。俺も同情なんかで権力の乱用なんてしない。君たちを娘にしたいから無茶をしたんだ。ほれ、この用紙に君たちがサインするだけで今日から君たちは俺たちの娘だ」

 そう言ってお父さんが取り出したのは養子縁組の書類だった。彼女たちの名前の欄以外はすでに埋められていた。それを見た黒髪少女と、ずっと黙っていた白髪少女は静かに泣き始め、お母さんは2人をそっと抱きしめた。







 そうしてその日、彼女たちは私達の家族となり、1つ年上の黒髪の少女黒歌は神裂黒歌、1つ年下の白髪の少女白音は神裂白音となった。







「ところでお父さん。龍巳が家族になった時も思ったんだけど、一体どんな権力を持ってたら一晩で妖怪を養子にできるようになるの?」

「……内緒だ」

 さいですか。ほんと一体どんな職業をしているんだか? まともな職業じゃないのは間違いないような気がする。


 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧