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【IS】例えばこんな生活は。

作者:海戦型
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例えばこんな喧嘩も楽しいものだ

10月2日 ラッキーアイテムはずんだもち。あるんだよなー何故か学園(ここ)の食堂メニューには・・・

ジェーンと模擬戦である。元々ジェーンは戦いを生業としていた人なので、ISの展開とかで自己を取り戻すかもしれない。・・・・・・という事だったんだが、戦えるんだろうか?だって一人で歩くのも怖いと言い出してしまったジェーンだ。いわばロリヘタレ。とてもじゃないが戦える気がしない。・・・って、俺もそう言えば戦いは苦手だったね。オウカ頼んだ!

『頼まれました!IS・・・展、開っ!!』

特に意味もなく変身ポーズ!気分はほんのりライダー風味。
そうしていつものようにISに着られる俺。忘れられがちだが、俺はISの展開とか操縦とか出来ないので、戦いになると全部オウカ任せです。さて、ジェーンさんは・・・むむ、精神統一中か?目をつぶったままずっと立っている。

・・・今更だけど、戦うの嫌だなぁ。言い出しっぺだから引けないけど。

『大丈夫だよ!戦うのは私だもん!』
「オウカは今日も元気だね・・・俺も元気出そう」

相も変わらず戦いはオウカ全任せである。



 = =



ゴエモン・・・いや、正確にはオウカとの戦いか。本来護衛対象だろうに、その護衛対象に勝負してもらうなど私はもうエージェントとしての資格が完全に消滅としているようだと思う。馬鹿だ馬鹿だと自分でも思っていたが、本当に馬鹿だ。そして馬鹿ついでに・・・・・・・一つ、大切なことを思い出した。

いつだったか、ゴエモンを守ると称して銀の福音相手に単騎駆けを仕掛けたことがあった。あの時、私はこう思っていた。―――すなわち、”私のやりたいように”やればいい、だ。思えばそのとき既に話アタシの心に形があるかどうか、はっきりしていたのだ。

「ああ、なんだ。分かってしまえばそんなものか」

たったそれだけで、私の心の暗雲は面白いくらいに掃われていく。そうか、もう感情は受け入れたんだったな。なら最初から何も悩むこともないし、「失った自分」とやらも分かりきっているじゃないか。

「起きてるな、ニヒロ。時間外労働開始だ」
『あれ?いつもの《起きろ、ニヒロ。仕事だ》ってのは言わないの?』
「どうせお前起きてるだろう。それにゴエモンとの練習試合は仕事に含まれない。これは私闘だ私闘」
『ふぅん。ヘタレ卒業?』
「ヘタレてない」
『嘘だぁ、ヘタレてたよ』
「本調子じゃなかっただけだ。これから本気出す。見てろ、お前のママの本気見せてやるよ」

IS展開開始、と、同時に体に異変が起こる。視界が開け、目線が上へと上昇。子供服は量子化格納され、着慣れたISスーツが身を包む。同時に、両手両足、頭部、背中のISパーツが瞬時に展開される。

そして、私の髪の毛がいつものようにISのエネルギーによって透明感のある白に発光した。

子供のそれではなく、いつもの体だ。無駄にでかくて邪魔な胸も戻ってきたし、リーチもいつも通り。軽く体の関節を動かしてみるが、気味が悪いほどに万全だ。

「戻ったな」
『ううん、最後に確認した時より身長伸びてるよ?今、171センチ』

と、ニヒロ。また服を買い直さなければいけなくなったろうか。ゴエモンの身長を完全に追い越している。とか思っているとゴエモンからも指摘。

「髪の毛も伸びてるよ?1メートルくらい」
「マジか!?」

頭に手を回すと確かに髪の毛がぶわさっと波打った。髪を伸ばすと洗うのがとにかく大変だから切っておかねば。

『でもロングヘア似合うね、ジェーン。すごい綺麗・・・』
「ほんと綺麗だなぁ・・・いっそ髪の毛伸ばしてみない?」
「・・・・・・じゃあ伸ばしてやるよ」

長いとそれだけで面倒なのだが・・・オウカとゴエモンが褒めてくれる。褒められるのがうれしいと純粋に思えたので、記念に髪は伸ばしておこう。言っておくが純真なオウカとゴエモンが言った言葉だからうれしかったんだ。その辺の訳が分からない男に綺麗だなどといわれてもちっとも喜ばない。

『パパにでれでれ~』
「うっさい黙ってろ娘の分際で。いいから始めるぞ」

量子展開、スライサーの柄を手に。半結晶の刃が伸びて戦闘準備が完了する。一見して銃であるもう一つの武器、AA-14cは接近特化の桜花には有効に思えるが、剣に専念した方が空中機動においては圧倒的に自由度が上がる。あの銃は癖が強すぎるからな。

ゴエモンと桜花も剣を抜く。IS用の剣としては長い2,1m接近ブレード『散華』。ただのブレードではなく、刀鍛冶の技術で鍛え上げれられた本物の(カタナ)を基に作成してある、現代の業物だ。故にスライサーの刃は強度を重視して厚めに形成してある。

さあ、喧嘩だ。戦いだ。そのなよなよした顔に一発蹴りを入れてやろう。

「あ、もう体は元に戻ったみたいだし戦う必要はないのかな?」
「そんなことないぞ。私にはある」

え、と意外そうな顔をしているがあるぞ。
見ていろゴエモン、今からS.A.のエージェントの全力を見せてやるよ。何故か分からないって顔してるな。だがな、前の私は自責の念で押さえていたが、感情が戻ってきたらそれはそれで思うところがあるんだよ。主にお前の行動に関して。

私はお前の護衛なわけだが、どういう訳か仕事を全うできたことが無い。というか、いつもいつもゴエモンが勝手に私を忘れて話を進めるものだから、頼ってもらえてない。当てにされない護衛とかマジありえないし、プロとして耐えられん。

もっと私を頼りやがれ。
オウカじゃなくて私を頼れ。
私にお前をずっと守らせろ、護衛対象。

「ゴエモン!私はお前を全力で負かして、私の存在を忘れられなくしてやる!積年の恨みぃぃーーーッ!!」
「『えぇぇぇぇぇーーーーーー!?!?』」

夫婦喧嘩(?)、勃発。




以下、ニヒロのメモリーより抜粋…


そこからは大変でした。ママは純白の頭髪を振り回して鬼の形相で桜花に斬りかかり、スペックと怒りで既存のデータを超越した音速の斬撃の嵐にゴエモンは半泣き、桜花は文字通り必死で応戦してました。かなり本気で身の危険を感じていたみたいで、感情ハレーションが大変なことになっていた。

何せオウカの唯一仕様能力「八紘一宇」はコア・ネットワークに潜在的に存在するデータ群しか集められないから、ネットワークと表層的にしか接続していない私のデータは拾えないもの。それでも自分を起点に蓄積したデータを使って後半は互角まで盛り返したのだからやっぱりオウカお姉ちゃんは凄いです。パパが戦えない分全力で守ろうとする、人間でいう母性なのかな?それが、すごいと思いました。

最終的にアリーナは、最大出力の桜花幻影によって極限状態までエネルギー伝播を強化したオウカお姉ちゃんと、最後の切り札「白狼」を使って解き放たれた獣のように破滅的な暴力の権化となった私とママで激突した結果―――アリーナが丸ごと駄目になったことによって勝負は強制的に終了しました。

監視カメラ?試合開始10分で全滅しました。よって映像は私とお姉ちゃんのデータログにしか残っていません。

なお、現在パパとママは膨大な反省文を書かされています。

《・・・出来たよ、ゴエモン!八紘一宇で組んだ全自動反省文書き機だよ!!》
(でかしたオウカ!織斑先生は変な意地張ってISを持ってないから脳内で会話し放題だもんな!!)
(おい、オウカ!私にもその反省文書き機の機能を転送しろ!ニヒロ、受信準備!!)

・・・・・・二人は一つも反省してなかったけど、取りあえず二人の距離は近づいたと思います。
 
 

 
後書き
これこれ、このノリだよ。これを取り戻すのに時間喰っちゃうんだよね、いつも。 
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