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【完結】剣製の魔法少女戦記

作者:炎の剣製
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第六章 正義の在り処編
  第百七十四話  『事件に対する思いと、そして想い』

 
前書き
更新します。

今回はまだ始まったばかりなので、まだ次の事件は起こりません。

じっくりと話を書いていきます。 

 






フェイトとランサーが最高評議会の息のかかった違法研究所でおそらく元最高評議会のメンバーであったのだろう者達の数々の死体が発見された所謂猟奇殺人の報告の旨をフェイトのまとめた報告書で見ていたはやてとリインはいうと、

「うーん……まだスカリエッティの事件が解決してそんなに時間が経っていないのに、もう最高評議会の息がかかったメンバーや研究者達が殺されるような事件が起きてしもうたか……」
「はいです。はやてちゃん、おそらく犯人は管理局の誰かと繋がりを持つ誰かだと思います。フェイトさんが捜査した研究所もゼストさんの託してくれたメモリーのデータがなければわからない場所にありましたから」
「そうやね。でも、もうあらかた最高評議会の息がかかったメンバーの情報は管理局全体に公表されとるから、戦闘機人のトレディのようにハッキングできるような能力を持っている人物がいたとしたら、犯人像は分からなくなってくるからな……」

それではやては報告書とにらめっこをする。
その表情は少し暗い。
スカリエッティ事件が解決してからここ最近事件という事に遭遇していなかったからいざ部隊指揮をすることになる為にはやてはこの先の様々な思惑や起こるであろう連続する事案を考える。
リインもはやての顔の隣で難しい顔になっている。

「それに……」

それではやては例の血文字が収められている映像のデータを見る。

「『我等は混沌を求める者。外道なる愚者が創る偽りの世界を壊し、その愚者の血をもって新たな世界を創る』。……なんや、意味深なメッセージやね」
「です」
「多分やけど、この『愚者』というのは最高評議会のメンバーの事を指しとるんやろな。今回殺されたのがそのメンバーなのがいい証拠や」
「そして管理局システムは戦闘機人によって殺害された最高評議会の三人が作ったシステムです。これになにか意義を唱える誰かが行った事なのかもしれません」
「あるいは恨みの犯行か……。まだまだ調べないといけないことが山積みやね」

それではやては少し表情を歪ませる。
スカリエッティという調査する対象がいればいくらでも捜査しようがあるが、今回は一からの捜査だからだ。
しかし、本来捜査とは一から調べて成果を上げていくものである。
だからはやてもそれをしっかりと理解しているために気持ちを引き締めて対応にあたることにする。
表情もキリッと引き締めて、

「さて、そうやな……。この事件は本局から捜査するようにもう依頼が来ていることやから、まずは私達で捜査を開始しないといかんね」
「そうですね、はやてちゃん」

それではやては捜査するメンバーを選出する。

「まず、フェイトちゃんとシグナム、エリオにキャロのライトニング隊&ランサーはもう一度現場の取り調べをしてもらうとしようか。なにか発見できるかもしれへんからな」
「はい! それではフェイトさんに伝えておきますね」

まずフェイト達はもう一度殺害現場の調査という事になった。
まだ先日のことであり死体は回収されているが捜査の手がまだ入っていないのである。
普通、事件が起こればすぐに捜査現場は取り調べがされるものだが、あいにくと次元世界のとある無人世界にその研究所があった為にまだ派遣隊が編成されていないのだ。
それでまず先遣隊としてライトニング隊が当てはめられたのである。

「それで次になのはちゃん、オリヴィエさん、ヴィータ、スバル、ティアナのスターズ隊。
シホちゃんとアルトリアさん、ネロさん、ランにレンのセイバーズ隊の二隊はこちらで捕捉して保護している最高評議会のメンバーの護衛についてもらう……。
分かっているうちで狙われるとしたら彼らやからな。
それにこちらは大人数だけど敵の数は未知数……。多いに越したことはないからな」
「わかりました。シホさんとなのはさんに報告しておきます。でも、フィアットさんは妊娠しているために出撃できないのは痛いですね」
「やなー。防御と治癒ができるメンバーが一人減るのは辛いとこやけど、まぁシホちゃんがいるからまずいとはいかないけど大丈夫やろう」
「そうですね」

はやてとリインはそれで笑みを浮かべていたが、どう見てもフラグ発言にしか聞こえないのはどういう事だろうか?
もし、シホがこの場にいたら『こら、やめなさい!』とツッコミを入れていたことだろう。



◆◇―――――――――◇◆



それでフェイト達がアルトの運転するヘリで現場に向かっていったのを確認した後、シホ達も最高評議会のメンバーが保護されている施設に向かっていった。

「でも、猟奇殺人か……。誰がこんな事をしたのかしらね?」

まずシホがそう切り出す。
シホも過去に幾度か魔術協会や聖堂教会の連中に報復された経験があるだけに色々と思うところがあるのだろう。

「うーん……まずは目的を知りたいところだよね、シホちゃん。でも、大体予想できるのが管理局の業だけどね」

そう言ってなのははため息をつく。
今回殺された人物達が管理局の中の今では地にまで落ちてしまっているが、スカリエッティ事件まではトップの座に居座っていた組織である最高評議会と息のかかった関係のある人物達である。
だからおのずとこの事件を起こした人物達は最高評議会に恨みのある人物だという事に限られてくる。
それで過去にゼストやクイント、メガーヌも犠牲になったのだ。
その事も今では最高評議会の暗躍した事件の一つでしかないのは悲しいことである。
追求していけばいくほどに醜い暗躍によって不幸にあった人達が浮き彫りになってきているのが今の現状である。
なのはの弁である『業』は、両手で数え切れないほどに存在し、今も増え続けている。
管理局の闇は奥深い物だ、それと立ち向かう事になる今まで事実を知らされなかった善良な局員の人達はこれを今回の事件で知ったためにたまったものではないだろう。
ゆえに管理局を一回クリーンな組織に戻そうと各々が躍起になっている。
それなのに今回起きてしまった事件は……闇に葬り去られた者達の復讐かもしれない。
それを思うとシホ達は一様に彼、もしくは彼女達の犯行を悪質な犯罪者だ、許せないほどの悪者だ、と断定できないのが痛いところである。
もし復讐のために動いているのだとしたら彼らも被害者なのだから。
それでも、

「でも、許される事ではないわよね。復讐による犯行は悪手と言っても過言じゃないわ。いずれは最高評議会のメンバー達も法という裁きに下されるのだから、それを待つのもいいかもしれないのに……」
「それが、我慢できなかったから今回のような事件が起きちゃったんだよね」
「ええ……いつかクロノが言ったセリフだけど『世界は、いつだって………こんなはずじゃないことばっかりだ』ってね。
復讐するのはしょうがないと言われても、今回殺された人達にも親家族はいたでしょう。
復讐は憎しみを生む、そして起こる犯行、それによって殺された者の家族達もまた憎しみの感情を生み復讐心を生み出す、そしてまた復讐し返される………それの繰り返しは悪循環し、次第に大きくなっていき、いずれはテロ、紛争、戦争と、規模を拡大させていく。
だから私達はそうさせないために犯人達を捕まえて法による裁きを受けて被害者達に償ってもらうために今回の事件、早急に解決しないとね」
「そうだね、シホちゃん! 頑張ろう!」
「ええ!」

それでシホとなのはは拳を合わせる。
そしてお互いに「ニッ」と笑みを浮かべて事件解決を速やかに行うことを誓うのであった。



そんなシホ達の光景を見ていたアルトリア、ネロ、オリヴィエはというと、

「立派な心がけです。あのシホがここまで立派に成長しているのは師としましては嬉しい限りです」

アルトリアが我が事のように嬉しそうに頷いている。

「さすが奏者だ! 余も奏者のために一肌脱ごうではないか!」

ネロがシホの気持ちになにかを感じたのだろう、さらに惚れたと言わんばかりに顔を笑顔にしていた。

「(なのは、私はかつて戦争を鎮めるために聖王のゆりかごを動かしました。今でもそれは後悔していません。
ですがそれによって悲しんだであろうクラウス、リッド、クロゼルク……他にもたくさんの者達に今、どういう顔をすればいいのか分かりません……。
ですが、それでも戦争を止めようと頑張るなのはの姿は私にも勇気を与えてくれます。ですからいずれ来るだろう別れの時でも最後まであなたの下で過ごさせてもらいます。
それが私の聖王家の末裔であるあなたにできる罪滅しなのかもしれないのですから……)」

オリヴィエはなのはに対して心の内でそう誓っていた。



……少し離れた場所ではヴィータがランとレンと会話をしていた。
話題はシホとなのはの会話に関することであるが。

「ヴィータ副隊長。やっぱりシホさんは色々と考えているんですね。私、とっても感激しました。やっぱりシホさんは正義の味方という言葉がふさわしいと思いますよ!」

ランがそうヴィータに言っていたが、それに対してヴィータは少し微妙な表情であった。
それにすぐに気づいたレンがどうしたのだろうと、尋ねてみたところ、

「いや、なんていうか……やっぱお前等はまだシホを完全には理解できていないんだなってな」
「「えっ……?」」

それに二人はハテナマークを頭に浮かべる。
それとともにある思いが生まれる。

「私、シホさんの事を理解しているつもりですよ? レンもそうでしょう?」
「うん。シホさんは僕達姉弟と救ってくれたとっても尊敬できる人ですから」
「まぁ、な。そこは否定しねーよ。でもさ、お前等、まだシホの過去を聞いたことがないんだろう?」

それにランとレンの二人は苦笑を浮かべながらも頷く。
そう、ランとレンの二人はシホの家族でありながらもいまだにシホの過去について聞かされたことがないのだ。
それに対して悔しい思いを抱いているのも確かなことで。
後ろめたいことでも語ってくれればきっと分かり合えると二人は思っている。
その旨をヴィータに伝えてみたが、それに対してヴィータは頭を掻きながらもそこで真剣な表情になり、

「おい、二人とも。いつか聞かされる時が来るかもしんねーが、絶対にシホの事を拒絶してやるなよ? ああ見えてシホはまだ脆いところがあるのは確かだからな。家族と言ってもいい二人がシホの事を少しでも否定したらそこで絆は壊れちまうかもしんねーからな……」
「シホさんの過去は、そこまでひどいものなんですか……?」

レンが少し怯え腰でそう尋ねる。
それにヴィータは「全部は答えられねーが」と前置きをして、

「シホの過去は壮絶なものなんだろうな。闇の書の守護騎士として色々な世界を繰り返していたあたし達ですら、シホの過去は一言では言い表わせねーからな。シホもある意味被害者だからな」
「シホさんが被害者、ですか……? 一体なにが……」

ランがさらに追求しようとするが、そこでヴィータは「待った」と手を出して、

「あたしから言えるのはここまでだ。後はシホ本人から聞くんだな」

それ以降ヴィータは黙り込みを決める。
これ以上は覚悟を決めて来いという事なのだろう。
シホの闇はそれほどに深いものなのだから……。



そして奥の方で座っていたスバルとティアナはというと、

「ティア……なんだろう? とっても嫌な胸騒ぎがするんだ……」
「……奇遇ね。あたしもなんか嫌な事が起こりそうな、そんな予感がするわ。なんていうのかしら、なのはさんがさらわれた時のような嫌な事が起こりそうな気がするわ」
「ティアがそう言うとなんか当たりそうで怖いね……。こういう時のティアの言うことは外れた試しがないから」
「もうっ……」
「イタタタタタッ!? ティア、痛いよ!」

それでティアナはスバルの頭をガシガシと掻きながらも、

「そんなに不安がらないの。そのために今まで鍛えられてきた力が真価を発揮する時なのよ。そんな不安なんてさらに強い気持ちで吹き飛ばしてしまえばいいのよ。わかった!?」
「は、はい!」

それでスバルは条件反射なのだろう土下座をして謝っていた。
当然、その次の展開は「恥ずかしいからやめなさい! このバカスバルッ!!」と再度頭をグリグリされる展開がなされていた。
それは他の面々も見ているために自然と笑みが零れる様な空間に変わっていた。
みんながみんな、少なからず緊張していたのだ。
だがそれも適度にリラックスできたのはいい事だ。
落ち着いた気持ちで任務に当たれば想定外の事態でない限りはなんとかやっていけるのだから。
シホ達はただ体を鍛えただけではなく、しっかりとメンタル部分も鍛えてきたのだ。
やわなことでは今のフォワード達の心を折る事は難しいだろう。
……だが、こうしていられるのもここまでだろう。
これからまた起こるであろう事件で数名の心に傷を作ることになるのだから。

そんな事が起きるとは露知らず、シホはみんななら無事に任務を果たせられると信じるのだった。


 
 

 
後書き
次回、事件は起きると思います。

ですがまだ全然確信には至れないと思います。ピースはまだ全然揃っていないのですからね。



それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。

では。 
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