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普通だった少年の憑依&転移転生物語

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ゼロ魔編
  031 ≪烈風≫からの試練 その1

 
前書き
対≪烈風≫。……テンプレですね。 

 

SIDE 平賀 才人

(広い……)

カトレア嬢を治してから明くる日、俺はまだラ・ヴァリエールに居た。ラ・ヴァリエール──トリステインきっての貴族だけあって、なかなか広大な敷地を持っている様だ。

「構えなさい」

「……判りました」

そんな広大な敷地の中に存在する、ペンぺん草の[ぺ]の字も生えてない更地──曰く公爵夫人の修業場所。俺は、そんなロケーションでヴァリエール公爵夫人と相対していた。……ヴァリエール公爵を見ても、〝諦めろ〟と言わんばかりの表情をしている。

(うしっ! 気合い入れるか!)

ヴァリエール公爵夫人の言わんとしている事も判らない事も無い。……いくら俺が〝シュヴァリエ〟だとは云え、ルイズ──愛娘を守り切れるかどうかが心配なのだろう。……因みに、観戦しているのはルイズとカトレア嬢とヴァリエール公爵である。

「………」

「来ないのですか? 何か心配事ですか? ……あぁ、そういう事ならば安心して下さい。〝ここ〟は私が──私も時折使っている鍛練場です。ここなら多少、派手に暴れても大丈夫ですよ」

〝どこまで〟やるか決めあぐねいているとそんな俺の心情を悟ったのか、ヴァリエール公爵夫人は暗に〝全力で来い〟と言ってくる。

(……確かに多少は本気を出さないと拙いかもな。うん)

ヴァリエール公爵夫人が纏っている〝覇気〟や佇まいは中々のモノ。それこそ、ハルケギニアでは最高位だと言えるかもしれない。……そこで、体内戦闘思考レベルをワルドと対峙していた時と同じくらいまで──これから行われるのが〝模擬戦〟である事を考慮しつつ、体内戦闘思考レベルを上げる。

「……では、お言葉に甘えて」

「(ドライグ、〝外套〟だ)」

<(応っ! やっと俺の出番か!)>

「少々〝本気〟でいかせて貰います。……〝禁手化(バランス・ブレイク)〟!」

『Welsh Dragon Balance Breaker!!』

矢鱈とテンションの高いドライグをよそに、“赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)”を〝バージョン2〟で展開して、機械的な音声と共に〝禁手(バランス・ブレイカー)〟である、そこはかとなく〝龍〟を想起させるような意匠が含まれている外套──“赤龍帝の道化の外套(ブーステッド・ギア・クラウンコート)”を纏う。

……〝ならば、〝本来〟の〝禁手(バランス・ブレイカー)〟である〝鎧〟──“赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)”は?〟とも思わなくも無いだろうが、一応〝鎧〟にも成る事は出来る。……尤も、〝外套〟を纏っている現在から〝鎧〟を纏うなら、一度〝外套〟の状態を解いてオープンフィンガーグローブの状態──〝バージョン2〟から〝籠手〟の状態にコンバートして〝禁手〟になる必要が有る。

直接殴る──ステゴロをするとかなら〝鎧〟を纏うが、今回の場合なら動き易さから〝外套〟を纏った。……〝外套〟の方が〝鎧〟よりも“デルフリンガー”も振るい易いのも理由の一端として存在している。

「行くぞ、デルフリンガー」

<おうよっ! 相棒!>

「ほう、それが貴方の〝本気〟ですか。その赤いコートからは力強い波動を犇々と感じとれます それに、そのインテリジェンスソードも私の勘が只のインテリジェンスソードでは無いと言っています」

「〝全力の本気〟で有りませんが──」

いきなり変貌した俺の格好に、目を細めながらも〝外套〟のオーラを讃えているヴァリエール公爵夫人を尻目に、〝倉庫〟から“デルフリンガー”を一気に引き抜き、“剃”で公爵夫人の懐に入り込み、峰打ちで袈裟斬りにしようとするが──

――ギィィィイン

(マジすか)

「良い踏み込みです。それに剣筋も悪くありません。貴方が積んできた濃密な鍛練の軌跡も垣間見えます。……が、惜しむらくは〝対人戦闘〟に慣れていない事ですか」

“剃”で公爵夫人の懐に入り込み、デルフリンガー峰で袈裟斬りにしようとするが、公爵夫人のレイピアに依って、それはかと無く俺の攻撃は捌かれる。……それに、ヴァリエール公爵夫人が言う通り、俺はあまり〝人との戦闘〟は慣れていない。

(基本的に俺のは〝戦い〟ではなく、〝殺し〟だったもんなぁ。……今回は学ばせてもらうか)

デルフリンガーでヴァリエール公爵夫人のレイピアと切り結びながら、マルチタスクの思考をメインと補助用のサブ1以外を全てシャットアウトする。そうして、公爵夫人に大量のリソースを割ける様になった。

「……急に動きが──いいえ、一つ一つの動作が速くなりましたね。……それに剣筋も鋭くなりました。貴方の日々の鍛練を見てみたいですね」

……リソースが割けるようになったと云う事は、動きの一つ一つ処理能力が上がったと云う事になり、そんなこんなでヴァリエール公爵夫人を押していく。……すると、ニィ、と目に見えて口端を吊り上げる公爵夫人。その嬉々とした三児の母とは思えない美貌に、どことなく戦闘狂の一端を見た気がした。

「大した事はしてませんよ──っと!」

実際、前世では剣術の[け]の字を知らなかった俺がここまで剣を振るえるのも理由がある。……風の属性の魔法に〝遍在〟と云う、自分の分身を創れる魔法が在り、その〝遍在〟の魔法をどこぞの全く忍べていな忍者──否、〝NINJA〟が跳梁跋扈している世界の“影分身の術”を使った修行を〝遍在〟に行わせているだけだ。……更には“アギトの証”の効果の一端である〝経験値4倍〟と云う効果も相俟って、俺の技術修得へのブーストを掛けている。

……俺が現在出せる〝遍在〟は8体が限界。その内の半数である4体を同じ技術の修得に回せば──“アギトの証”の効果が本体にしか効かない事を鑑みると16倍の早さで1つの技術を修得出来る事になる。……尤も、デメリットも在って、〝遍在〟強い衝撃──有効打を与えたら消えてしまうので修得出来るのは語学や武術の型等の技術的な何かに限るし、〝遍在〟を消して経験がフィードバックされる時、軽い頭痛がするのでその頭痛を〝軽い〟で我慢出来る限界数──つまりは、前述した4体が事実上の限界であるのも難点だ。

更に面倒な事に、そこまでしてもその技術を〝使える〟様になるだけで〝使いこなせる〟様になる訳ではない。自分の身体にその技術を覚えさせなければ──〝遍在〟にて覚えた技術と身体の動作の誤差を無くさなければ、完全に〝使いこなせた〟の範疇に入らない。……それでも、技術修得までの時間は格段に短くなるのは変わらないが……

閑話休題。

「くっ……! やりますねっ。……ならこれならどうです? ……“エア・カッター”」

ヴァリエール公爵夫人は筋力的な差を不利に感じたのか、一端俺から距離を取り俺に聞こえないようにルーンを紡ぎ、“エア・カッター”──不可視の刃を飛ばしてくる。

「喰らえ“デルフリンガー”」

<おうよっ! こんなのお茶の子さいさいだぜ!>

「魔法を吸収した!? ……いえ、それがそのインテリジェンスソードの効果ですか」

しかし、俺もその魔法をむざむざ喰らってやる必要も無いのでデルフリンガーで吸収する。……自分の放った魔法が吸収される──そんな異常な事態に、公爵夫人は一瞬だけ呆気に取られるが直ぐに持ち直し、“デルフリンガー”の効果を推察する。

「魔法を吸収するインテリジェンスソード…。……でしたら、その剣で吸い切れないであろう、圧倒的な物量で攻めるまでです」

ヴァリエール公爵夫人は杖の役割も兼ねているだろう、レイピアは振るうと、徐に6人へとその人数を増やした。……〝遍在〟である。

「「「「「「さて〝これ〟にはどう対処しますか? “カッター・トルネード”!!!!」」」」」」

(おいおい……)

“カッター・トルネード”──それは、真空の層を間に挟んだ竜巻を発生させる魔法。……なのだが、〝5つ〟もの数の“カッター・トルネード”が集まれば、最早それは災害だ。

(あ、〝外す〟のを忘れてたか)

迫り来る“カッター・トルネード”の大群を尻目に、右腕に鈍い色で輝くブレスレットを見て、補助用の──サブ1の思考で、見通しの甘かった自分自身に軽く絶望する。

右腕のブレスレットは、かの〝悪魔の実〟の能力──俺の場合は“ゴロゴロの実”の能力を封じる石…つまりは〝海楼石〟で出来ている。……因みに、〝海楼石〟特有の倦怠感は“アギトの証”の効果の一端である“オーラ【FF零式】”等の効果で身体を強化して誤魔化している。……この様な場合──模擬戦闘等の場合は殊更に仙術等で強化している。

身に付け始めたのはワルド戦後で、〝化け物〟と揶揄されたのは流石に色々と堪えた。……尤も、生命の危険を感じたら遠慮無く外させて貰うのだが、ヴァリエール公爵はその辺り──ギリギリを見極めるのが巧い。

(……まぁ、出来る事をするだけか)

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』

デルフリンガーを〝倉庫〟にしまい、右手に〝熱気〟を左手に〝冷気〟を集め、それらを融合させる。“カッター・トルネード”が一直線に──一気に消せるように誘導し、まるで弓矢を構える様に構える。先程からあまり動いていないヴァリエール公爵夫人を〝それ〟の射線に入れないようにもする。

(今だ! なんちゃって──)

「“なんちゃってメドローア”ァァァァアアッ!」

ちょうど良いタイミングを見逃さず、10回の倍加──1024倍にもなった〝それ〟を放った。

SIDE END 
 

 
後書き
明日もう一話投稿します。 
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