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万華鏡

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第八十二話 近付く卒業その三

「それで尊敬されるされないも考えない」
「あくまで自分達通りですね」
「ありのままでいいんですね」
「このままでいいって言われたよ」
「ううん、そうなんですか」
「あの人達にそう言われたんですか」
「そうなのよ、それでね」
 部長の話はさらに続く、今度言うことは。
「人間尊敬されることを意識するなってね」
「尊敬されるされないも考えない」
「そういうことですね」
「ほら、他の人に自分を尊敬しろって言う人ってね」
 こうした輩は実際にいる、恥だのそうしたことを知らないのなら出来ることであろう。
「尊敬出来ないでしょ」
「普通自分で言わないですよね、そんなこと」
「やっぱり」
「そうでしょ、人間そんなことは考えるなってね」
「そうも言われたんですか」
「確かにそうですね」
「そう、だからね」
 後輩から尊敬されるかどうかという考えはというのだ。
「自然体がいいのよ」
「このまま、ですか」
「私達は私達で」
「変なことは考えないで」
 それで、というのだ。
「あんた達はあんた達でいいから」
「じゃあこのまま」
「二年になってもやっていきます」
「若し悪いところがあればね」
 その時はというと。
「私達が注意するから」
「はい、わかりました」
「その時はお願いします」
「本当にね、人間は尊敬されたいって思ったら駄目よ」
 そうした考えは絶対によくないというのだ。
「そんなこと考えても何にもならないから」
「人を尊敬することはいいですよね」
「それは」
「それはいいのよ、目標になる人を見付けることはね」
 これはいいというのだ。
「例えば私は兄貴を尊敬してるし」
「ご自身のお兄さん・・・・・・じゃないですよね」
「兄貴っていうと」
「金本兄貴よ」
 金本和憲だ、広島から阪神に移籍した名選手だ。
「あの人みたいにね、その心構えで周りを引っ張っていける人にね」
「ああいう人は確かにですね」
「尊敬出来ますね」
「私尊敬されたいと思わないから」
 このことも言う部長だった。
「そんなのこそばゆいから」
「だから、ですか」
「部長さんは尊敬とかはですか」
「私は尊敬しなくていいから」
 全く、というのだ。
「尊敬するのなら他の人にしなさいね」
「兄貴、ですね」
「金元兄貴」
「他の人でもいいわよ」
 尊敬する人は、というのだ。
「とにかく私はいいから」
「そうですか」
「別に」
「あと自分を尊敬しろって言う人は尊敬しないことね」
「ああ、そういう人はもう」
「最初から尊敬出来ないですから」
 五人もこのことははっきりと言えた。 
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