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強さのみを

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第二章

「俺にはとても無理だよ」
「あんたも相当な賞金稼ぎだよね」
「相当なのは認めるさ」
 アープ自身もだというのだ。
「それでもな」
「ワープはだな」
「ああ、相当なんてものじゃなくてな」
「今は西部一かね」
「だろうな、けれど俺は西部一じゃなくて」
 ここでアープは己の銃を出した、そして右手の人差し指に引き金のところをやってくるくると回しながら言った。
「アメリカ一になるさ」
「アメリカ一か」
「ああ、西部どころかな」
 西部といってもアメリカの一部だ、アメリカは広い。
 それでだ、こう言うのだった。
「アメリカで一番のガンマンになってやるさ」
「そうするんだな」
「ああ、じゃあな」
 こう言ってだ、そのうえで。
 彼はバーボンを飲んでだ、マスターに不敵な笑みを浮かべて言った。
「また仕事に行くな」
「賞金首を狙うんだな」
「ホリデー兄弟をな」
 彼等をだというのだ。
「仕留めてやるさ」
「そうするんだな」
「ああ、行って来るな」
「何かあんたギラギラしてるね」
 マスターはアープの日に焼けた痩せた皺が目立つ顔と黒い鋭い光を持つ目を見てこう言った。確かに彼は殺気に満ちている。
「狼みたいだよ」
「コヨーテじゃないんだな」
「ああ、狼だよ」
 コヨーテよりランクが上だというのだ。
「そんな感じだね」
「荒地の狼だな」
「そんなところだね」
「かもな、ワープもまた狼だしな」
「あんたも狼なんだな」
「狼王になるさ」
 今度はこう言ったアープだった。
「それにな」
「言うね、大きな夢だね」
「だからまた仕留めてやるさ」
 その獲物をというのだ、こう言ってだった。
 彼はバーボンを飲み終えてからだった、そうして。
 マスターに勘定を払ってから賞金首を狙いに言った、その仕事はあっさりと終わった。
 荒野で二人のならず者の心臓を瞬く間に射抜いた、それで兄弟を尾行していた子分であり相棒でもあるジミー=フィルダー小柄な男の彼に言った。
「これでまたな」
「へい、賞金首を手に入れましたね」
「ああ、これでな」
「けれど兄貴」
 ここでこう言うフィルダーだった。
「相変わらずでやんすね」
「何がだ?」
「いえ、銃の腕が」
 それがとだ、フィルダーはアープに話すのだった。
「見事でやんす」
「そうだな、ただ」
「ワープの旦那みたいにはですか」
「いってないな」
「一対二で正面から相手をあっという間でやんしたよ」
 フィルダーはこうアープに言う。
「ワープの旦那でも」
「いや、あいつはな」
「こんなものではないでやんすか」
「見たんだよ、俺は」
 心臓を射抜かれてこと切れているならず者達を見つつ言うのだった。 
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