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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第7章:過去から未来への歴史
  第10話:勝利の美酒……

(天空城)
シンSIDE

目を覚ますと清潔感のある部屋の綺麗なベッドで寝ていた。
ベッドの横では備え付けの化粧台に向かい座り、髪を解かしてる絶世の美女の姿が……
勿論シンシアの事ですけどね。

「ここ……何処? 天国?」
変身したエビルプリーストとの戦闘中に気を失ってからの記憶が無い為、生きてるであろう事は解りつつシンシアに尋ねてみる。

「やっと起きた……よかったわ♡」
心底安心した表情を向けシンシアは俺に優しくキスをして、これまでの事を説明してくれた。



「つまり……俺はリュカさんに投げ返されて気を失ってたんだな!」
「まぁ……そうなるわ」

少し……いや、大分納得がいかない部分もあるが取り敢えず起きて、皆さんに無事を伝えようと思います。
世界を俺の代わりに救ってくれたわけだし、リュカ家以外の方々にはお礼を言わねばならないだろう。





皆さん(リュカ家を除く)の部屋に顔を出すと、安心した様に話しかけ誰もが今回の事を労ってくれた。
特にデスピサロさんは「元を正せば俺の不始末だったのに、迷惑をかけたなシン」と頭を下げてきたので、逆に恐縮してしまい「子孫(リュカさん)の方にこそ迷惑をかけられたので、デスピサロさんのは気になりませんでした」と言ってしまった。

じっくり考えると俺の発言はデスピサロさんの発言に対し否定をしてない上、子孫の事までも侮辱する言葉だったのだが「まったくその通りだ! 俺達は共に被害者だったって事だな(笑)」と、笑いながら肩を叩かれて終わった。

本当にデスピサロさんは良い人です。
為人(ひととなり)を知らずに嫌悪してはいけないのですね。
この点はリュカさんの言った通りだと思います。
偶には良い事を言うんですよ……あの人。
でも本当に偶にです!

俺が起きた事により、マスタードラゴン様が俺達を玉座の間へ呼んだのですが、リュカ家の面子が現れないんです。
マスタードラゴン様も側に居たルーシアさんにリュカさん達を呼んでくる様指示を出したのですが、そのルーシアさんまでもが戻ってこなくなるし……
「ミイラ取りがミイラになった」とブライさんが溜息交じりで呟きます。

その後30分くらい雑談をして待ってたら、リューラさんとアローくんが手を繋いで現れました。
「あれ、お父さん達はまだ来てないの?」と、小声で尋ねてきましたが“あの男が言う事を聞いて現れる訳ないだろ!”と言いかけましたが止めました。時間の無駄だからね!

そんな葛藤を心の中で巻き起こしてると「あぁもう、待ってらんない! どいつもこいつも役に立たないから、私がリュカを呼んでくるわ!」とマーニャさんが叫び、玉座の間から出て行きます。
あぁ勿論「あ、姉さんズルイ。私も一緒に行きます」「いや、お前等だけじゃ心許ない」とミネアさん・ラピスさんも出て行きました。

「アイツ等が行っても、更に遅くなるだけだろうに……」
この台詞はアローくんのです。
“そう思うなら君が呼びに行ってよ!”と言おうと思ったら……

「何だあの女共……ルンルンとした足取りでリュカさんの部屋に向かったぞ!? これからおっ(ぱじ)めるのか?」
と言う台詞と共にウルフさん達が登場しました。正確に言うと、ウルフさん・マリーさん・リューノちゃんの3人です。

「ちょっと……負けてられないんじゃない? 私達も一旦部屋に戻りましょうよ!」
「お前はウルフを殺す気かマリー……さっきまで十分楽しんだじゃないの!」
「そうだよマリー……俺の腰は、もうガタガタだよ」

神様の前で言う台詞では無いのに、そんな事を一切気にしないリュカ一族は、リューラさん等を交え猥談に話を咲かせてます。
はぁ~……リューラさんだけは真面目だと思ってたのに、幼気(いたいけ)なアローくんにマイナス要素を吸収させていくよ。




騒がしい面々が現れ、玉座の間も賑やかになってきた頃……つーか、マスタードラゴン様からお呼びがかかって2時間後。
遂にリュカさんが美女5人を引き連れて現れました。
肌つやが良く満足げな美女達と、少しも疲れてなさそうなリュカさんが……

「あれ……もしかして皆さん僕達の事をお持ちでしたか?」
「ああ、見ての通り全員が揃うのを待っておった」
部屋に入り場の雰囲気を読んだリュカさんは、涼しい顔で問いかける。
マスタードラゴン様は諦め口調でそれに答えた。

「なんだ……呼んでくれれば良かったのに」
「呼んださ……2時間前に城の者を使って。その間にも2度ほどお前の部屋へ呼びに行った者も居る!」
城の者が誰なのかは解らないけど、ルーシアさんやマーニャさんに視線を向け、打つべき手は打った事を伝える。

「2時間前の天空人は憶えてる。『みんなが揃ったらもう一度呼びに来て』ってお願いしたからね……でも他の連中は知らん! “その間”とやらに来たのは、ルーシア・マーニャ・ミネア・ラピスだが、僕の部屋に入るなり服を脱ぎだしたからね。呼び出しだとは思えなかったんだけど?」

マスタードラゴン様以下全員が今名前の挙がった4人に視線を向ける。
しかし在らぬ方向を見てスッ惚ける美女達。
流石のマスタードラゴン様も溜息と共に首を左右に振り、俺達に向き直って諦めた感じで話し始めた。

「はぁ~……まぁいい。そんな事より勇者シンを筆頭に、皆には感謝している。デスピサロも最後は力を貸してくれて心より感謝している」
「気にするな……元は俺が始めてしまった事だ。むしろ迷惑をかけてしまった事に謝罪させてもらう……申し訳なかった」

「何だお前……何か悪い物でも食ったのか? 妙に素直じゃんか……」
「黙れ馬鹿。俺はキサマと違って常識人なのだ! 自分に非があると認められれば、その事に対し謝罪するのに躊躇する事は無い。キサマこそ、我らを2時間も待たせた事に対し、謝罪の言葉があっても良いのでは無いのか?」

「あぁ……うん。メンゴね」
デスピサロさんのトゲ付く言葉に心の籠もらない謝罪をするリュカさん。
軽すぎる態度に言葉も出ませんよ。

「兎も角……これで世界にも平和「まあまあ堅い話はもういいでしょ! そんな事よりさぁ……おいトルネコ、あれ寄こせ」
厳粛な空気をぶち壊す様にマスタードラゴン様の台詞を遮り、リュカさんはトルネコさんから何かを受け取り、玉座の方へ歩いて行く。

「これ、僕がトルネコに買わせておいて安ワイン」
リュカさんはマスタードラゴン様に近付くと、トルネコさんから受け取ったワインを掲げ、説明と共にマスタードラゴン様の顔へ押し付ける。

「止めろ!」
顔を逸らしてリュカさんの手を見詰めるマスタードラゴン様は……
「何だ……私にくれるのか?」
と、手を伸ばしワインを掴もうとした。

しかしリュカさんは、
「ふざけんな馬鹿。なんで何もしてないお前に、僕がワインをプレゼントせにゃならんのだ!?」
と言って、伸ばされたマスタードラゴン様の手を叩き払う。

「では何だと言うのだ!? 嫌がらせの様にワインを顔に押し付けて……」
「解らんのか馬鹿者。このワインを大事に保管しておけって事だよ! 僕等の下に説教されに出頭するその時まで、適切な環境でワインを保管しておけって事だよ!!」
何だ『説教されに出頭』って!?

「な、何だと!?」
「僕は酒の味なんてよく解らないんだ。でも“ワインは長い年月寝かせると良い”って言われてるだろ。だからこの時代に安ワインを購入しておいて、未来でどれ程の物になってるのか検証するんだ。だから未来でも会えるお前(ヒゲメガネ)にこれを託し、時という金では買えない付加価値を付けた、超贅沢なワインを味わおうとしてるんだ……そういう訳だから勝手に飲むんじゃねーぞ。飲んだら殺すぞ!」

そこまで言い終えると、マスタードラゴン様にワインを渡して元の位置まで場所まで戻ってくるリュカさん。
俺の後ろではトルネコさんが小声で「何だ……みんなで祝杯を挙げる為に買ったんじゃないのか」と、残念そうに呟いてます。

まぁそんなもんでしょう。

シンSIDE END



 
 

 
後書き
酒飲まないので詳しく解らないのだけど……
ワインって腐らないの?
カビ生えたりとかしないの?
きっとDQ4とDQ5の間って数百年経過してると思うんだけど、そんなに保管しといてもワインって大丈夫なの? 
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