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I want BRAVERY

作者:清海深々
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15話 A special club


更新の時間がいつもと違ってすいません。

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15話 A special club

 4月20日。

 私は、転校してすぐに1週間も休むこととなったが、まわりの人達はあまり気にしてないようだった。

 その日、私はゲームと同じように放課後に何かすることはできないまま寮へと帰ることとなった。

 唯一の救いは、順平の笑顔を学校で見れたことだろうか。

「やぁ、来たね」

 この声は、幾月か。

「あ、そうそう。前に名前だけは言ったと思うが、彼が真田君だ」

「よろしくな」

「あ・・・よ、ヨロシクお願いします!」

「ははっ。先輩といっても所詮一つしか差はない。そんなに緊張するな」

 不意打ちだった。

 少し、ゆかりと話して、彩君と話して、回り回って逆ハーに思考が戻ってきたのだが、計画を練るのに今度は必死になりすぎて、真田先輩と初めて会う日を忘れてしまっていた。

「実は、一日は24時間じゃない・・・なんて言ったら、君は信じるかい?」

「・・・信じません」

 まぁ、こういうしかないだろう。

「いや、君はもう体験したはずだ」

 いきなりかなり強い調子でドS女が話し始める。

「あの時間を。君は体験しただろう?そう、体験したはずだ。そうだろう?」

「き、桐条君?」

 幾月もドS女の迫り具合に少し驚きながら、落ち着けるように声を掛ける。

「どうなんだ?君は体験したんだろう?初めてここに来た夜に変な時間を体験しただろう」

「どうしたんだい。君らしくないよ?」

「えっと・・・」

 ドS女に迫られて喜ぶ女なんていない。

 私は少しドモりながら、答えようとしたが、

「消える街明かり、止まってしまう機械、街に並ぶ棺のようなオブジェクト」

 私に迫るドS女の気迫に押されて、私は思わず頷く。

「は、はい・・・」

「そうか。ふむ。やはりそうだな。君はちゃんと体験しているな、うん」

 一仕事終えた、というよりは何かに対して安堵するように息を吐くドS女。

「普通の奴らは棺おけに入っておやすみだからな、影時間に気づかない」

 真田先輩が唐突に語り始める。

「しかし、影時間の一番おもしろいところはそこじゃない。シャドウだ」

「シャドウ?」

 わかってはいるが、あえてわからない風を装おう。

「そう、シャドウだ。お前も見ただろう、あの怪物を。あれを俺たちはシャドウと呼んでいる」

「へ、へぇ」

 ゲームでもわかっていたが、やはり戦闘好きなのだろう。

 かなり熱が入ってきた。

「シャドウは影時間にだけ現われて、生身のやつらを殺す。だから、俺たちがそれを倒す」

「戦うんですか?」

「そうだ!戦うんだ!あいつらを倒すと、俺たちは強くなれる!どうだ?」

「え、えっと」

 あれ?こんな人だっただろうか。

 いや、ゲームと違い私が相槌を打つから、普段より熱くなってしまったのだろう。

「強いシャドウと戦えば、俺たちは強くなれる!!あのスリル!ハイリスクハイリターンだ!!どうだ!?面白いと思わないか?」

「え、えぇ・・・お、面白そうですね」

 とりあえず話しを合わせておく。

 たとえ共感できなくても、その人に話しを合わせる。

 これは仲を深めるための最初に必要な我慢だろう。

 私はそう思う。

「そうだろう!そうだろう!よし、今からお前の特訓メニューを作ってきてやる!!」

「・・・ぇ」

「得意な武器はなんだ!?お前なら、そうだな・・・槍や棍棒、剣なんかが合いそうだ!どうだ!?」

「えっと・・・薙刀・・・かな?」

 私は何も考えずに、とっさに答える。

「薙刀・・・薙刀か!そうか!そうか!いいじゃないか!!今から準備してくる!!」

———バタン

「あ、あれ?」

「ふぅ、あれはいつものことだ。心配するな」

 違う。

 心配すべきは私の方だろう。

 何を悟ったような顔して紅茶を飲んでいるんだ、この女は。

「結論を言おう。我々は『特別野外活動部』。表向きは部活ってことになってるけど」

 なかったことにした。

 今の状況全部なかったことにしたよ、この人。

「僕は、顧問をしている」

 ゲームとは違い、一人でペラペラと説明していく幾月。

「これが召還器だ」

 話が飛んだ。

 今、幾月はペルソナの話をしていたところだったのだが。

「協力してくれるな?戦ってくれるな?」

 なんだろうこの威圧感。

「は、はい・・・」

「そうか。よし」

 先輩二人のキャラが悪い意味で個性的になっている。

 一体どうなっているのか。

 考えられるのは彩君が何かしたのだろうか。

 今度聞いてみよう。

———フォォォ

(お?お?)

 何か頭に声が響く。

『汝は我・・・。我は汝・・・』

『汝、新たなる絆を見出したり・・・』

『汝、『愚者』のペルソナを生み出した時、我ら更なる祝福を与えん・・・』

(コミュキターー!!)

 実際に体験してみると、これ、かなりびっくりする。

 油断していると、びっくりして声が出てしまいそうな気がする。

 しかし、とりあえずこれがコミュの第一歩であることには間違いない。

 私は、新たな体験に対して興奮を抑えられぬまま、自室へ戻った。




 夜。

「やぁ、元気かい?」

「眠い」

「おっと、ゴメンね。でも、大事な事を言いに来たんだ」

「大事なこと?」

「もうすぐ、『終わり』がくる。なんとなく思い出したんだ、だから君に伝えなきゃと思って」

「えらい」

「フフ。ありがとう」

 私は、謎の少年に手を伸ばし、頭を撫でる。

 彼の服は、彼の出す神秘的な雰囲気に合っていないようで合っていて、それがなんか可愛い。

 その後、少年は私の『ワイルド』の力について語った。

「僕は、いつでも君を見てる。たとえ君が僕を忘れててもね・・・」

「忘れないよ」

「フフ・・・じゃ、またね」

「うん・・・またね」

 そこで私の意識は睡魔に飲み込まれた。
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