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万華鏡

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第八十一話 寮生活その十三

「行こう、一緒に」
「それじゃあね」
「忍者くんねえ」
 彩夏もここで言うのだった、妙にしみじみとした口調で。
「あれ目茶苦茶強い敵が出るのよね」
「ヨロイよね」
「そうそう、それそれ」
 まさにその敵だとだ、彩夏は琴乃の言葉に答えた。
「あの敵ね」
「ヨロイは確かに強いわよね」
「有り得ない位にね」
「獅子舞も頭にくるけれど」
「強いのならヨロイよね」
「断然ね」
「あたし忍者くんやってないけれどな」
 美優は二人の会話に興味を持ってそれで二人に尋ねた。
「ヨロイってそんなに強いのかよ」
「気絶させないと倒せないのよ」
「しかも攻撃が画面の端まで凄い速さで届くのよ」
「まさに攻防一体」
「鬼よ」
「鬼かよ」
 そこまで強いのかとだ、美優もつい問い返した。
「じゃああれか、ドルアーガの塔のドルアーガみたいなのかよ」
「ドルアーガ倒すことも大変だけれどね」
「あのゲームもね」
 六十階のうちの五十九階目にいるこの敵を倒すことが最大の目的だ、しかしそのドルアーガを倒すまでに様々なアイテムを手に入れないとならないのだ。
「鬼の様に難しくてドルアーガも中々倒せないけれど」
「ヨロイは雑魚なのよ」
「雑魚なのに気絶しないと倒せないし」
「しかもビームみたいな弓矢を四連続で放つの」
「だから強いのよ」
 そうだというのだ。、
「そんなのが一杯出て来るから」
「余計に強いのよ」
「阿修羅の章でも出て来てね」
「そっちでも目茶苦茶強かったのよ」
「そんなにかよ、忍者くんってファミコンにもあったよな」
 ファミコンも五人が産まれる前のものになっている、スーパーファミコンが幼児期の時代のゲーム機の世代だ。
「あれってそんなゲームだったんだな」
「アーケード版もっと難しいから」
「余計にね」
「そうなんだな、じゃあちょっとやってみるか」
 試しに、というのだ。
「屋上で」
「うん、一回やってみて」
「それでヨロイまで行ってね」
「ヨロイが出るところまで行けばわかるから」
「それでね」
「ちょっとやってみるな」
 かなり真剣にだ、美優も答えた。そうした話をしてだった。
 五人で屋上に上がった、その天幕で覆われている無数のゲーム機がある場所に出るとだ、そうしたゲームもあった。 
 その中に忍者くんもあった、ディグダグやドルアーガの塔も。そこに入ってそうしてだった。美優は忍者くんをはじめた。
 美優のゲームの腕はよかった、それでだった。
 ステージを進めていった、そして。 
 ヨロイを見た、その姿はまさに鎧武者だ。そのヨロイと実際に戦ってみてだった。
 美優は顔を顰めさせてだ、プレイを観ている四人にこう言った。四人共美優が座っているゲーム機を囲んで立っている。
「何だよ、こいつ」
「強いでしょ」
「今は大将だけれどな」
 そのステージのボスである、八人のうちの一人だ。
「こんなのが雑魚だったらな」
「目茶苦茶厄介よね」
 彩夏がこうその美優に言う。
「強いなんてものじゃないわよね」
「ガチで手裏剣効かないんだな」
「そう、気絶させないとね」
 その手裏剣も効かないというのだ。
「だから強いのよ」
「攻撃もえげつないな」
「本当にビームみたいでしょ」
「凄い勢いで弓矢放ってくるな」
 まさにだ、レーザービームの如く。 
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