| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

DQⅤ 世界を救う少女

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
次ページ > 目次
 

第一部・トラブルを解決する幼女
  お城にお邪魔します

王妃様が消え、私達がお化けを倒す決意を固めたとき。
ふと、ビアンお兄さんが呟きました。

「……あ……忘れてた……。」
「どうかしましたか、ビアンお兄さん?」
「リーア、さっきも言ったけど、残念なお知らせがある。」
「何でしょう。」
「正門が開かない。」
「……あ……。」

忘れてた……。

「さあどうするリーア。」
「……実力行使?」
「No」
「無駄に発音いいですね」
「習ったからな。で、どうする。」

どうすると言われましても。
あ、向こうに樽がある。
ロープとか入ってないでしょうか…………あ!

「ビアンお兄さん!ありました!!」
「主語をつけようぜ」
「梯子が向こうににありました!」
「マジか!」

手を差し出されたので握ってみたら、物凄い勢いで駆け出されました。
ちょっと止まって頂けないでしょうかビアンお兄さん。
とか考えていたら、ビアンお兄さんの速度が急に下がりました。

「リーア、梯子が滅茶苦茶高いんだが。」
「そんなにですか?……わあ、凄い……」

これは下手したら天まで届くんじゃないでしょうか。
しかも途中に一切踊り場的なものが見えないのですが。

「あー……じゃ、先に行く。」
「え、大丈夫ですか?もしかしたら他にも扉あるかもしれないですし……。」
「だいじょーぶだいじょーぶ。最悪落ちたらお前が受け止めてくれよ。」
「自信ないですが全力を尽くします。」
「ありがと。行って来まーす。」
「頑張ってくださいね。」

ビアンお兄さんはあっという間に見えなくなりました。
そろそろ上っていいかな……と考えていると、上から布が落ちてきました。
えーと……これは?

「おーい、それ手に巻いとけー」

あ、ビアンお兄さんの声が聞こえました。
よくここまで届く声出せましたね。
それで、手に巻いとけと言われたのですが、何故でしょう。
そんな疑問も、大人しく手に布を巻いて梯子を上り始めた途端に消え失せました。

「……痛い……。」

何故か梯子がとげとげしいです。
物理的な意味でとげとげしいです。
ビアンお兄さんありがとう。
と、ビアンお兄さんに感謝を述べていると、意外とすぐに上までたどり着きました。

「お、リーア。大丈夫だったか?」
「大丈夫です。ビアンお兄さんは?」
「平気平気。じゃ、お化け退治行くか。」
「はい!」

そう元気に返事をして、ビアンお兄さんの手を握ると。

「い、ちょ、やめろ!」

振り払われました。
地味にショックです。

「…………あ、その……ごめん、ほら、手。」

謝られました。
うん、まあ何か事情があったのでしょう。
そうとでも思い込まないとやり切れません。
向こうから手を差し出していただけたので、手を握ります。
……訂正します、握ろうとしました。

「え、大丈夫ですかビアンお兄さん!?」
「あー、何のことですかー。早く手握れ、行くぞ。」

ビアンお兄さんの手は、見事に傷だらけでした。
そうか、あのとげとげ梯子か。

「話題逸らさないでください。今魔法かけますのでじっとしてて下さいね。」
「ここで大事な魔法使っちゃダメだろ。さ、行くぞ。」

ビアンお兄さんはそう言って笑いました。
だがしかし、これは笑い事ではございません。

「……分かりました。痛くなったら言ってくださいね?」
「okok。入るぞー。」
「アロワンス・ミティゲイト・フィル!ホイミ!!」
「え!?」

私はそれくらいでは引き下がりません。
ビアンお兄さんが顔を背けた瞬間、ホイミをかけてやりました。
かなり驚いた顔をされています。

「えー、とだな。リーア、俺の話聞いてたか?」
「傷は平気だから魔法かけなくていいので早く行こう、ですよね。」
「パーフェクト。うん、じゃあ何でホイミかけた。」
「心配だったからです。」
「え、あ、ありがとう。」
「いえいえ。」

お礼言われました。
個人的に気分がいいです。

「……じゃ、行くか?」
「行きましょう。」

今度こそ、手を握って私達はお城の裏口?に入りました。
と。

「うわっ!?」
「きゃあ!?」

ガシャーン!!と、物凄い音を立てて後ろで鉄格子が閉まりました。

「……リーア、閉じ込められたぞ。」
「そうですね。」
「……進むか。」
「……そうですね。」

そうですねしか言えません。
呆然とその場に突っ立っている私の手をビアンお兄さんが必死になって引いてくれてます。
歩こうとしてはいるのですが、何故か歩けません。
いや、茫然自失とかではなくて……こう、何かに足を拘束されてるような……。

「え!?ちょ、リーア待て!止まれ!!」

ビアンお兄さんの手が離れました。
……え、離れた?
そしてビアンお兄さんが「止まれ」と言っているのですが、私何もしてませんよ。
しいて言うなら急速に意識が薄れていってますが。
……何か眠くなってきました。まあこんな夜中に出歩いているのだから当然かもしれません。
……あれ、そもそもここどこだっけ。
…………そうだ、レヌール城だ。
お化け退治に、来たんだ……。
じゃあ、寝ちゃダメかなあ……。
……でも、少しくらいなら、いいんじゃないでしょうか。
ビアンお兄さん、私、ちょっと寝ます。
……あれ、声が出ない。
…………ん?
落ち着こう、これ……危ない!
そうだ、王妃様が城は魔物がいっぱいで危ないって言ってた!
ダメだダメだ、これ寝たら生命の危機に瀕す!
ビ、ビアンお兄さん……!
お願いですから、助けてください…………!! 
 

 
後書き
リーアちゃん攫われちゃいましたねー。(棒)
さあ、リーアちゃんは一体どうなってしまうのかー? 
次ページ > 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧