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魔法少女リリカルなのは ~優しき仮面をつけし破壊者~

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オリジナルストーリー 目覚める破壊者
StrikerSプロローグ エースとストライカー、それぞれの第一歩
  68話:A's to StrikerS(前篇)

 
前書き
 
なんかすっげぇ早く書けた。
今回は長くなりそうなので、二話構成で。誤字脱字などありましたら、よろしくお願いします。
  

 
 



私立聖祥大付属中学校。その屋上に、三人の少女が立っていた。

「――レイジングハート!」
〈 Yes, My Master 〉

一人は栗毛のサイドテール。その手の上に浮かぶのは、真っ赤に光る宝石。

「――バルディッシュ!」
〈 Yes, Sir 〉

もう一人は長い金髪を先の方で結んだストレート。宙で浮かぶ逆三角形の宝石は、力強く黄色に光っていた。

「――リインフォース!」
「はい!マイスターはやて!」

三人目は茶色気味のショートカット。その手で光る金十字の上に、水色がかった少女が現れる。

〈 Standby, Ready 〉

赤い宝石―――レイジングハートが声を上げる。それはその場にいる全員に、促すような掛け声だった。

「「「セーット・アーップ!」」」

三人はそれぞれが持つ物を放り、同時に体が光に包まれる。

「「「ゴー!」」」

そして三人の身に着けていた服装は別の物に変わり、三人は先程までの屋上ではなく、大きな岩や山が並ぶ地球ではない世界を飛んでいた。
























「では副部隊長、資料はこちらに」
「はい……っていうか、その『副部隊長』っていうの止めてくれませんか?また隊が発足した訳じゃありませんし、あなたの方が明らかに年上―――」
「女性に対して年齢の事はあまり口にしない事をお勧めしますよ」
「……肝に銘じておきます…」

俺の返事を聞いて、書類を持ってきてくれた女性――イーナ・トレイルさんは部屋を出ていく。俺は一回ため息を吐いてから、目の前の書類に目を通す。

「うん…まぁよくはわからんな」

取りあえずはバックヤードスタッフの大方が決まり、フォワードは一個中隊か少数精鋭。しかし誰を置くかは、まだ決まっていないと……
んで、別紙としてフォワード候補の十数人の名簿、と……

「中々進まないもんだな~…」

伸びをしながらイスの背もたれに背中を任せる。ギシッと音を立てるが、これぐらいでイスが壊れてしまう程、俺の体重は重くない。

「今頃なのは達はロストロギアの回収任務か…平和だなぁ、あっちは」

しかし当面の問題はフォワード陣だな。なんてったって〝あいつら〟と真っ向からやり合わなきゃいけねぇんだ。それ相応の肝っ玉と、能力がないと……

「まぁ当面は俺も教導とかに付き合って、鍛えてやるしかないか…」

ミッドでも他の世界でも、〝あいつら〟が引き起こす事件は絶えることはない。こうしている間でも、どこかの世界を侵略する計画を立てているかもしれない。

「二年前の事件の二の舞だけは、避けたいところだが…」

いや、あの事件が終息してからだから、実質半年ぐらい前か。まぁ事の発端は、二年前のアレだろうが…
問題が尽きないな、とボヤキながら今日やらなきゃいけない書類を片付けていく。








その後一時間程して書類は片付き、再び背筋を伸ばす。
丁度その時、通信端末に通信が入る。

「はい、こちら門寺」
『よ、お疲れ様」

モニターを展開し、通信を繋ぐ。そこに映ったのは、青い短髪のがたいが大きい男。

「そちらこそお疲れ様です、アイク部隊長」
『おいおい、「部隊長」ってまだ部隊が成り立った訳じゃ…』
「トレイルさんに俺を『副部隊長』だなんて呼ばせているのは、一体誰でしょうね?」
『さ、さぁ?俺は知らないよ?』

そう言って視線を泳がせる、俺の通信相手――アイク・ヴォーデン部隊長。あまり嘘をつくのが上手くない人だ。因みに階級は二等陸佐。今の俺の二つ程上だ。

『そ、それよりお前さん、彼女達とは一緒に―――』
「話の腰を折らないでください」
『そう思うんだったら俺の話の腰も折らないで欲しかったな』

相変わらずの減らず口だな、と言ってからアイク部隊長は話を続ける。

『どうだ、そっちの進捗度合は?』
「書類仕事しかしてないのに、進捗度合も糞もありますか?」
『ないな』
「でしょう?」

はぁ、とため息をつくと、アイク部隊長はモニターの向こうで笑みを浮かべた。

『まぁそう慌てなさんな。きっといい人材がやってくるさ』
「万年人手不足と人材不足に悩まされている管理局(ここ)で、そう簡単に『いい人材』を確保できるとは思っていませんよ」
『お前の言葉は嫌味しか感じられないな』
「それしか込めていませんから」

あ、そうそう。と何か思い出したような顔をして、アイク部隊長は別の話題を切り出してきた。

『もうそろそろロストロギアの確保が終わって皆で集まるらしいぞ、あっちは』
「なんでそんな事をあなたが知っているんですか?」
『いやな、クロノ提督からつい先程連絡があって、そう伝えてくれって頼まれたんだ』
「あの野郎…」

何なんだよ、まったく。なんであいつはそんな事を…

『それから伝言。「どうせ君のことだから、呼ばなかったら後で煩く言うだろ?だから一応連絡しておく」…だそうだ』
「………」

もう、言葉が出ない。あいつ、俺の事どう思ってんだ?

『まぁお前さんは今日やるべき仕事はやってくれたみたいだし、別に俺はお前さんが上がっても問題ないと思うが…どうするんだ?』
「……わかりました。フォワード陣のメンバーはこちらで考えておきます」
『それぐらいなら俺が考えておこうか?これでも元はお前と同じ副部隊長を任されていた男だぞ?』
「では二人で考えて、両方の意見の良い所どりでいきましょう。向こうが終わったら戻ってきますので、その時に」
『明日でもいいと思うが……まぁ了解だ』
「それじゃあ、お先上がらせてもらいます」
『おう、楽しんで来いよ~』

アイク部隊長の言葉を最後に、通信を切る。再びため息をついてから、俺は荷物を纏めて席を立った。
























PT事件、闇の書事件から早六年。俺達は中学三年生となり、それぞれが忙しい身となっていた。

なのはは憧れていた夢の舞台、航空戦技教導隊に。
フェイトは執務官試験に合格し、本局執務官に。
はやては特別捜査官として、地上(ミッド)の色々な部署や部隊を転々と。いつかは自分の部隊を、と考えて色々模索中らしい。

アリサやすずか達の方もそれぞれが忙しく、最近は学校以外で顔を合わせる機会がなくなってきてしまったが、それでも仲良くやっている方だろう。


……あ、俺?
俺ははやてより一足早く、自分の部隊を―――という訳でもない。

上記で語った部隊の話は、未だに発足には至っていないが―――怪人対策の特別部隊となる予定だ。俺はそこの副部隊長を任される事になっている。
まぁ俺自身部隊を請け負える程、経験がある訳でもない。だから俺は部隊長の補佐として、部隊長は別の人物―――アイク・ヴォーデンさんがなる事になった訳だ。

んで、その部隊の前線メンバーを揃えたいんだが……これが中々決まらない。
俺も一応前線で戦う事になりそうなんだが、流石に俺一人じゃ手が回らない。となると、やはり人手を増やす必要があって、それにはまず〝あいつら〟と渡り合える力が必要で……

とまぁ、こんな感じで行き詰りつつあるのだ。

「はぁ…ダメだな~…」

頭を掻きむしり、つかつかと廊下を歩く。
向かう先は、アースラにあるレクリエーションルームだ。皆そこで集まって、同窓会を始めている筈だ。

「ま、今考えてもしょうがないか…」

思い悩むのは一旦止めて、俺は扉を開けた。

「あ、士君。お疲れ様」
「おう、なのはか。お前らもお疲れさん」

丁度扉近くでシグナムと話していたなのはから第一声。それに返事をすると、周りにいた皆も気づき、挨拶が続く。

「しっかし、この量は凄いな。これ全部リンディさんやエイミィが?」
「いいえ、半分近くはアコース君からよ」
「アコース査察官ですか?」
「そうや。士君ロッサの事知ってる?」
「クロノの口から何度か聞いたぐらいだな。実際に顔を合わせたことはないな」

そう言いながら、俺も皿を取り食事を盛り付けていく。結構あるな~、アルフの好きそうな肉もあるし……

「士、それ私のだかんな」
「小さくなっても、お前は相変わらずだな」

肉を見ていた所為か、アルフが睨みを利かせてきた。それに対して俺は溜息一つついて、丁度いい高さにあるアルフの頭をポンポンと叩く。
ふと視線を巡らせると、フェイトとヴィータ、それにユーノの三人が一緒にいた。あまり一緒にいるのを見ない所為か、余計に目に入った。
しかもヴィータの表情があまり優れていない様子だったのも、気になった。

「どうしたヴィータ、そんな顔して?この淫獣に何かされたか?」
「六年経ったんだからその呼び方止めてよ!なのはには青い空がよく似合うねって話をしていただけだよ」

あ、なるほど……

「お前、まだあの事気にしてんのか?」
「……うっせぇよ…」
「あんまり気にしすぎるなよ?あれは俺の責任でもあるんだから」
「そんなんじゃねぇって!ただ…」
「ただ?」
「…………」

また黙り込んでしまうヴィータ。三年も前の話だぞ?もういいんじゃねぇのか?
そう思って口を開こうとした時、なのはがフェイトの事を呼んだ。

「あの子達の新しい写真、持ってきてる?ヴィータちゃん達に見せてあげようよ」
「うん、わかった」

「あの子達」というのは、フェイトが執務官になって地上や別世界の仕事で保護した子供達の事だ。その後手紙をくれたりして、時々直接あったりすることもあるそうだ。

「こいつもその手の子供か……エリオ・モンディアル、六歳祝い?」
「うん、色々事情があってちょっと前から私が保護者って事になってるの」

古代遺失(ロストロギア)の私的利用や違法研究の捜査が、フェイトの主な専門だが、強い魔力や先天技能を持つ子供なんかが、巻き込まれるケースが多い類の物だ。
エリオもそんな子供の一人。俺も何度か会った事がある子供で、結構元気な奴だ。因みに法的後見人はリンディさんだ。

「でもまぁ、お前はそういう子供を助けて回ってるんだろ?」
「そうだね。子供が自由に未来(さき)を見れない世界は…大人も寂しいから」

少しだけ表情を曇らせ、写真を見ながらフェイトが言った。まぁフェイトの考えには、俺も同意だが……

「そういう意味では、お前は執務官になれてよかったのだろうな。試験に二度も落ちた時はもうダメかと思ったが…」
「あぅ…!シグナム、あなたは事あるごとに……!」

シグナムもこういった話になると、いつもフェイトの試験の事を話す。二度も落ちたのは確かなのだが……その理由は主に俺なのだ。
フェイトが試験を受けていたのは、なのはが怪我をし、俺が行方不明扱いをされていた三年前。俺の捜索やなのはの看病などで時間を取られ、フェイトは満足に勉強ができなかったのだ。これに関しては、なのはも俺も頭が上がらない思いだ。

「その点、はやてさんは凄いわよね」
「上級キャリア試験、一発合格!」
「ふぇ!?私はその…タイミングとか色々運が良かっただけですから!希少技能(レアスキル)持ちの特例措置もありましたし…!」

そこで比較されるのが、はやてだ。
はやては猛勉強の末、エイミィが言ったように上級キャリア試験に合格した。因みに俺もこの試験には合格したが、あれは確かに難しい試験だった。一発で合格するには、相当な努力が必要な筈だ。

まぁそういつもいつも比較されてちゃ、あまりいい気持はしないよな。ほら、フェイトが後ろで落ち込んでら。

希少技能(レアスキル)保持者とかスタンドアロンで優秀な魔導士は、結局便利アイテム扱いやからな~。適材が適所に配置されるとは限らへん」

それは俺も感じていた事だ。実際特別部隊の話が持ち上がるまでの仕事は、そんな感じがあった。
だけど、だからこそ―――

「でもはやてちゃんの目標通り、部隊指揮官になれば……」
「その為の研修も受けてるじゃない」
「準備と計画はしてるんやけどな~、まだ当分は特別捜査官として色んな部署を渡り鳥や」

しかしそれのおかげで、色々な経験や経歴を積んだり人脈を作り上げることができる。それもまた、部隊に必要になってくることだ。

「陸上部隊は海や空と違って、部隊ごとの縄張り意識みたいなもん強いし…そのへん肌で感じてみるといい、ってクロノ君も教えてくれたしな。まぁ部隊指揮官はなったらなったで大変そうやし、何処かで腰据えて落ち着けたらそれはそれで……ゆー感じやな」

と膝元にやってきたリインフォースに食べさせながら、はやてが言った。
まぁそんなところは、俺も感じていた。地上部隊の縄張りってのは、アイク部隊長から話された事だ。結構面倒なんだよな。

「でも私達の中での一番の出世頭は、やっぱり士君でしょ」
「ん?俺?」
「そうだね。特別部隊だってもうすぐだし、士君はそこの副部隊長だし…」
「階級ははやてと同じ一尉だしね」
「私と同じように、上級キャリア合格しとるしな」
「お前らなぁ…」

三人のそれぞれの意見を聞いて、俺は何度目になるかわからないため息をつく。

「こっちだって色々大変なんだぞ?フォワード陣をどうするかとか、俺自身も学んでいかなきゃいけない事も多いし…」
「そうやね~。前線メンバーは、どうしても怪人と相対する事になるんやし…」
「それって普通の魔導士じゃ、難しいよね」
「あぁ。だから困ってんの、こっちは」

そう言って俺も皿の上にある物を一口食べる。
まず遠距離主体の従来のミッド式じゃ、いくら強くても限界が見えてる。そこに前衛の、しかも俺のような一対一で戦える奴がいれば、少しはマシになるんだが……

「あ、そうや三人共!G.Wの連休、どないなっとる?」
「はやてちゃんの研修先近くの温泉地だよね?」
「お休み申請出してあるよ」

なのは達は今度の連休――地球で所謂G.W(ゴールデンウイーク)に、はやての今の仕事場近くにある温泉地に泊まる予定を立てている。本局のエースと呼ばれる三人も、偶には疲れをとる為にこうやって休みを取るのだ。
というか、なのはの一件があった所為で、結構周りから休みをこまめに取るように言われているのだ。他にも、あまり無茶をしないようにとか、少しは仕事を控えろよとか。

「アリサちゃんやすずかちゃんも来れたらよかったんやけど…」
「ユーノ君や士君も!」
「まぁ女の子達で、ってことで」
「男子は控えさせてもらいますよ。それに俺は特別部隊の方もあるから」

俺がそう言った瞬間、はやての目が怪しく光ったような気がした。いや、気の所為だろうな。きっとそうだ。



  
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