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『自分:第1章』

作者:零那
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『進路希望』

なんやかんやで施設内でも学校内でも問題は起こしてたし警察沙汰にもなった。
けど進路を決めなあかん。
出る。
住み込み在る所に行く。


男女両方のホーム行き来してる職員、雪さんを一番信頼してた。
サバサバしてて無駄に気ぃ遣ったりしてこんかったし、ズバズバ言うてくるような人やったから、心は開かんにしても本音が自然と出て来てしまう。


雪さんに高校行きなさいって言われた。
『あんたはまだ社会に出せれん。まだまだ身についてないことだらけや。高校で学びなさい。』
『家政科なら生活に役立つし損は無いし普通科より良い』って。


公立1本勝負。
決めてからはすぐ動いた。
とりのこ用紙に数学の方式を書いたり、苦手で良く出る英文法を書いたり。
単語帳も作った。
暗記モノは意地。
理解せな解けんモンは納得するまで教えて貰った。
数学の証明は最初だけ。


進路希望調査票、第一希望は公立石田高等学校の家政科。
家政科に受からんかった場合、第二希望科には園芸。


担任の佐藤が『絶対受からんからヤメとけ』って。
しまいには『名前書いたら受かるヤンキー高校、大川東にしとけ』って。

『は?どこまで馬鹿にしとん?』ってキレた。


皆の前で生徒にキレられたんが悔しかったんか恥ずかしかったんか知らんけど胸ぐら掴んできた。

そのまま教室の後ろまで連れて行かれた。
ドンッ!ってなってブチギレた。


クラスの男子は『おいおい教師が女に暴力とか反対~』とか言ってた。
女子も騒いでた。


なんぞ、このキショイおっさん!
下から顎を殴ったか、汚いモノを蹴ったか、そこの記憶は定かじゃ無いけど、汚い腕が外れた瞬間に吹雪の中飛び出した。


ホームに帰ってビショビショなんに気付いて、冷静になったら寒くなってきた。

このままやったら入れんなぁって玄関に突っ立ってた。

そしたら女ホームの職員が来て、後ろから『あら!どしたん!』って。

園長も来た。
走って帰って来るとこ見てたらしい。
事情を聞かれ、話したら職員会議する言われた。
とりあえず頭乾かして着替えなさいって言われた。


会議が終わったらしく、雪さんが来て『荷物取りに行くよ』って。
黙って一緒に行った。

雪さんが教頭と話してた。
零那は佐藤を見つけた。
『おどれ絶対受からん言うたんやけん受かったら土下座せーよ!』言うた。
雪さんも無言で佐藤を見てた。


それ以降、佐藤の教室やか必要最低限しか行かんかった。

授業は一切受けずに自主勉強。
解らんところは空いてる職員に教えて貰ってた。
意地でも受かったる。
見返す。
それしか無い。
根っからの負けず嫌いやからこのままでは終わらんで。


面接の練習の為のマニュアル用紙を渡された。
アホらしぃて書かなんだ。
面接は聞かれたことに答えるだけやん。
わざわざ書いて覚える必要無いし。
理解できなんだ。


何回も校内放送で呼び出された。行かんけど。
最終的に教頭が直々に来た。
強制面接。


『本校を志望した動機は?』

『此処を志望した覚えはありません』

『家政科では特に何を学びたいですか?』

『貴方には答える気はありません』


教頭は、ため息を付いた。
いやいや申し訳ない。
高校の面接官ちゃうし。
関係ないし。
本心晒すつもり無いから。
指摘されるのも筋違いやし。


 
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