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魔法少女リリカルなのは ~優しき仮面をつけし破壊者~

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オリジナルストーリー 目覚める破壊者
オリジナル~StrikerS 日常編
  67話:海水浴だよ、全員集合~!(PARET3)

 
前書き

ネタがない。オチが酷い。
もう…行ってもいいよね…StS編。
  

 
 


「さぁ、始めるとしようか門寺」
「できればやりたくないんだけど…ダメ?」
「お前は約束を破るのか?」
「……了解(ラジャー)…」

笑みを浮かべながら腰の物を鞘から引き抜くシグナム。

俺は溜息を吐いて、手首に巻かれたブレスレット―――トリスを起動させる。
ディケイドライバーへと変わったトリスを腰に押し付け、ベルトへと変えバックルを開く。

「士、頑張れ~!」
「だ、大丈夫なの?こんなところで…」
「い、一応結界は張ってるし…問題はないと思うけど…」

ギャラリーにいる奴らが何やら騒がしいが、今は置いておこう。
ベルトと同時に左腰に出現したライドブッカーより、カードを一枚引き抜き構える。

「変身!」
〈 KAMEN RIDE・DECADE ! 〉

抜き取ったカードをバックルに差し込み、元の形に戻るようにバックルを回す。
俺の周りに十数体のホログラムが出現し、それらは俺と重なり合う。その瞬間視界が高くなり、変身が完了する。

「「「おぉ~!」」」

変身が終わると、ギャラリーから歓声が上がる。まぁ上げたのは魔法の事にあまり詳しくない四人の内の、おそらく龍也を抜いた三人だろう。

「…久しぶりだな、お前とこうして剣を交えるのは」
「俺からしたら不本意すぎるがな」

不満たらたらにそう言って、俺はライドブッカーを手に取り剣へと変える。

「それじゃあ二人共、準備はいいか?」
「あぁ」
「クロノ、これ逃げちゃダメ?」
「約束なんだろ?」

くっ、ニヤニヤしながらよくもぬけぬけと!ふざけんじゃねぇ、見せもんじゃねぇぞ!
たく…せっかくの休暇に、なんでこんなことしなければいけないんだ!

―――シグナムとの模擬戦なんてよぉ!!
























夏休み。皆で出かけた旅行の二日目。
俺やなのは達にとってはあまり多くはない休みを満喫しつつ、日々の疲れを……と思っていたら、朝食を食べ終わったあたりで、シグナムが俺の元にやってきた。

神妙な面持ちだったから、何かと思ったら……

『お前に―――模擬戦を申し込む!』

前日のスイカ割り王の景品・一回限りの『絶対命令権』。この旅行中でという決まりだったが、なるほど、模擬戦の約束を旅行中に取り決めて、俺の逃げ場をなくすという訳か。
俺自身シグナムとの模擬戦は、あまり進んでやりたくはないが…仕方ない、これもあの美由希さんの所為だと思えば。

しかし、じゃあ日時は?と思って聞いてみたら、シグナムはきょとんとした表情になった。

『何を言う。今日やるのだ、今日』

さすがにこれには、俺も頭を抱えた。つまりシグナムは、『後日模擬戦をやるから、絶対にサボったりするな』という訳ではなく、『今から模擬戦したいから断るな』という命令のつもりのようだ。

実際それはマズい。この旅行には日々の疲れを取りに来ているのだ。模擬戦なんてやっていられるか。それに魔法の事とは無関係の人までいるんだ、そんな中やるのは―――

と言い訳をつらつらと述べるが、シグナムはすぐに笑みを浮かべ、それなら問題ないと言ってきた。
どういう事だ?と問うと、首の動きで俺の後ろの方を示してきた。振り向くとそこには、何やらキラキラと輝く―――複数の目線。

目を輝かせるのは、アリサやすずか、カオルに美由希さん、さらにはフェイトの五人。どうやら後ろで今の話を聞いていたらしい。

『前々から、魔法って言うの見たかったんだよね!』
『『『うんうん』』』
『シグナムと士の模擬戦…見てみたい!』

止めてくれ、マジで止めてくれその「私、気になります!」的な視線。マジ止めてほしい。
だがしかし、いくらプライベートビーチだからとはいえ、管理外世界で模擬戦だなんてあのお堅い執務官殿が許す訳が―――

『面白そうだから、やってみるといい』

おいテメェ、何こんな時に限って不真面目なんだよおい!ふざけやがって、何面白がってんだよ!
シグナム、テメェもテメェだ。何そら見ろとばかりにドヤ顔してんだよ!なんだよなんだよ、何だってんだよぉ!畜生ぉ!








とまぁ、流れはこんな感じだ。
目の前にいるシグナムは、もう見るからにやる気満々。こっちは溜息しか出ない。

「ルールは時間無制限の模擬戦形式。どちらかの気絶、および戦闘不能またはそれ相応のダメージ、魔力切れのいずれかで終了だ。フィールドは今張られている結界内。双方非殺傷設定にしていると思うが、二人共武器を使うから怪我には気をつけてやってくれ」
「あぁ」
「りょ~かい」

「それでは……始めっ!」

それだけ言い残し、クロノは離れていく。
だが、すぐに剣がぶつかり合う事はない。シグナムはゆっくりと柄へと手を伸ばす。俺は剣となったライドブッカーの刀身をなぞる。

ギャラリーの方は、先程までの盛り上がりムードが一気に冷めていくのが、離れていてもわかる。こちらも段々と空気がピリピリとしてくる。
お互いの状態が、前のめりになっていく。足に、腕に、体に。段々と力を込めていく。目の前にいる相手に、全力をぶつける為に。

―――刹那

―――ダンッ!
「「はあああぁぁぁぁぁ!!」」

俺とシグナムとの距離は一気に縮まり、互いの剣がぶつかり合う。辺りに響く金属音、それがより一層、俺達の緊張感を高め、心を高揚させる。

「こうして剣を交えるのは―――何年ぶりだろうな」
「四年ぐらいじゃ…ねぇか?」

剣をすり合わせながら、ちょっとした世間話。シグナムの表情には笑みが浮かんでいる。まぁ俺も笑ってるんだけど。

「前回は水を差されてしまったが…」

そう言ってシグナムは剣で押し返し、後方へ飛び退く。

「今回は、全力でいかせてもらうぞ!」
「俺も全力でいきたいから、できれば飛行魔法は使わないでいただけると…」
「素直に聞くとでも?」

ごもっともなご意見で……
























「わ~、生で見ると凄いな~…」

そう声を漏らすのは、ギャラリーの中で一番目を輝かせているカオル。その視線の先では、シグナムと士の剣の打ち合いが行われていた。

「…確かに、あれは凄い。シグナムとやらの剣筋もさることながら、それに勝るとも劣らない門寺の剣にも驚きだ」

何やら二人の戦いを食いつくように見ている駆紋が、手を口元に持って行きながらコメントする。
彼自身親の命令で武道や合気道などを習っていた時期があり、色々な武術を習得している。剣道もその内に入っており、彼はそう言った目線からこの模擬戦を見ている。

「でも、なんかイメージと違うね」
「そうね。私はなんかこう…魔法でシュピーンッ!とかいうイメージがあって……あんなドンパチやられても、なんか違和感があるような…?」

すずかとアリサも、それぞれ思った事を述べる。二人の意見を聞いた魔導士三人は、そうかもしれないと苦笑いに近い表情をする。

「まぁシグナムはベルカ式やし、士君もミッド式にしては変な戦い方するし…」
「はやてちゃん、ベルカ式って?」
「あっ、皆にはまだ説明してなかったね」

なのはがそう言って、魔法の事に疎い四人に説明しようとした時、

「はいは~い!こんな事もあろうかと、ホワイトボードを用意してみました~」
「お姉ちゃん…なんでそんなものまで…」
「い、いや…私も気になっちゃって」

あはは、と頭を掻きながら小さく笑う美由希。どうやら彼女も、魔法の事を気にしていたらしい。
いつの間に、とか、どうやってか、などは聞かないでおこう。なのは達三人は心でそう決めて、ペンを手に取る。

「じゃあ、説明していくね。まずは私達の使う魔法には、大きく分けて二種類あって―――」
























「でりゃぁ!」
「はぁっ!」

ギンッ、ガンッ!と金属音が響き渡る。振るわれる二振りの剣は、日光を反射して刀身を光らせる。

「ふっ、はぁあっ!」
「だから飛ばれるとやり難いっての!」
〈 ATACK RIDE・SLASH 〉

上空より落下しながら剣を振り下ろすシグナムに対し、士はカードを使って迎え撃つ。
士が力任せにシグナムを跳ね返し、今度は士が跳躍して剣を振るうが、飛行魔法を使うシグナムは後ろへ下がり、難なくそれを避ける。

「あぁもう、畜生!やってられっか!」

着地した士は地団駄を踏み、ライドブッカーから一枚のカードを抜き取る。

「地上戦止めた!やっぱ飛ぶ!」
〈 FORM RIDE・FOURZE ROCKET 〉

抜き取ったカードをベルトに挿入し、その姿を変える。
基本カラーはオレンジに、しかしその特徴的なフォルムはそのまま。両手にはロケットモジュールを一つずつ装備し、複眼を青く染めた姿。『フォーゼ・ロケットステイツ』だ。

「行くぜ!おおぉぉ!」
「な、なんだ、はや―――ぐぅっ!?」

士は両手のモジュールを点火、その推進力で空を飛ぶ。シグナムは一直線に突っ込んできたことに驚きながらも、士が繰り出してきたパンチを受け流す。しかし勢いが大きすぎたのか、シグナムの体は弾かれるように体勢を崩す。

「か、門寺…その姿は…?」
「あぁこれか、そう言えばまだ見せてないんだっけか」

体勢を立て直したシグナムの問いに、士はその場で静止して答える。

「この力まで使ったんだ、思いっきりやらせてもらう。さぁ―――タイマン張らせてもらうぞ!」

その瞬間、再びモジュールを起動させシグナムへと突っ込む。
シグナムはそれを見て静かに構える。だがその瞳には、闘争心と高揚、戦える事に対する嬉しさが感じ取れた。
























「わぁ、今度は彼が飛んだね」
「…あのデザインは何とも言えないが……」

二人の戦いを見上げながらそう言うのは、カオルと駆紋だ。

「士君の姿が変わったけど、あれも魔法なの?」
「変身魔法とかもあるんでしょ?」
「まぁあるにはあるんだけど…」

すずかとアリサの質問に、フェイトは言葉を濁す。それに対して二人は首を傾げた。

「あの変身、実は私達もよくは知らないの」
「え、そうなの?」

なのはの言葉にすずかが声を上げる。アリサも声を出した訳ではないが、これには驚いていた。

「うんまぁ、基本的な事は聞いてるんだけど、詳しいところまではわからないっていうのが正確かな?」
「へぇ~、そうなんだ」
「え~っと、わかってる事を書いていくと…」

そう言ってフェイトがホワイトボードに文字を書いていく。

「士君が変身しているのは、『仮面ライダーディケイド』って言ってね。最初に変わった姿」
「あぁ、あの…変なバーコードね」
「バーコードって…」

酷い言われ様だ。まぁ仮面ライダーは知らない人が見たら、そんな反応をしても可笑しくはない。
実際仮面ライダーWが変身した時、側にいた鳴海 亜樹子(あきこ)が『半分こ怪人』と称したぐらいなのだから、その異形さは一般人から見たら怪人とも勝るとも劣らない、とも言えるだろう。そういう意味では『バーコード』と言われてしまうのは、仕方のない…のだろう。

「そ、それでね。説明を続けると……士君はディケイド以外に、複数のライダーになれるの」
「ライ…ダー?」
「うん。士が変わる…『変身』する姿がライダーだって言うんだけど、それが今確認しているだけで十四種類はあるよ」
「十四も!?」

それにフェイトの言葉に、再び声を上げるすずか。

「それぞれにそれぞれの力があって、それを使って士君は怪人達と戦っとるんよ」
「へ、へ~…」

自慢げなはやてに、まだ怪人を見たことがないカオルは何とも表現し難い表情をする。

「―――ぐああぁぁぁぁ!?」

その時、丁度空で戦っていたシグナムが砂浜に落下、士はその脇にゆっくりと着地する。

「……勝者、士」
「よし…これで、終わりっと」

クロノの宣言を聞いて、士は変身を解く。その時、ふと視線をなのは達に向けた。

「…なんでホワイトボードなんてあるんだよ」
「……ありがとうな、ツッコんでくれて」

砂浜にホワイトボードという異色の光景に思わずツッコミを入れ、はやてはそれに泣き真似をしながら礼を言う。

「あ、今皆に魔法の事や士君の魔法の事を教えてたんだ」
「おいおい、いいのかそれ?つか俺のも話したのか、俺の許可もなく」
「別によかったでしょ?」
「まぁそうだな、話されたからといってこれと言った問題もないか」

許可の云々は?と心の中でツッコむカオルと駆紋。しかしそれを口にしないのは、意味がない事がなんとなくわかったからだ。

「か、門寺。もう一度模擬戦を―――」
「どんだけ飢えてんだよお前は!?もうやんねぇよ!命令権は一度だけだった筈だろ!」
「な、ならヴィータ!お前の命令権で『シグナムとの模擬戦』を強制的に…!」
「ほんと大丈夫かお前!?」
「私はもう決めてるから、それはできない相談だ」

治療を受け後ろからやってきたシグナムと、模擬戦を見ていたヴィータもいつの間にか加わり、なんだかカオスな光景になりつつあった。
それを遠目で見ていたクロノは、やってられないとばかりにため息をつき、バニングス家の別荘のある方向へ帰ってしまう。

「ねぇねぇ、士君」
「な、なんだカオル…?」

そんな時、カオルが唐突に目を輝かせて士に近づいてきた。そのあまりの似合わなさと気持ち悪さに、士は思わず後ずさりした。

しかしそんな感覚は、次のカオルの質問を聞いた瞬間に一気に消し飛んだ。


「仮面ライダーって、なんなの?」


ピシリ、と士の動きが止まった。普段の彼ではあまり見られない反応に、一同が疑問を覚えた。
だがすぐに士は―――笑い声を上げた。

「いいだろう、教えてやろう。丁度いいようにホワイトボードもあることだしな…」

その時の彼の笑みは一生忘れないだろう、とその場にいた全員が後日語ったそうだ。









結果、なのは達は士に『仮面ライダー』について、二、三時間程熱弁された。
しかしカオルは目を輝けながら聞いていたし、他の面々も興味がなかった訳ではなく、むしろ知りたいという思いが大きかったのか、全員文句や愚痴も言わず静かに聞いていた。

仮面ライダーについて語り尽くした士は満足したようで、ヴィータの『トランプの再戦』という命令も素直に受けた。まぁババ抜きとかをするのに二人では無理だという事で、結局は皆でやることになってしまったが。

次の日には、旅行も最終日。海を存分に楽しみ、士達は海鳴へと戻っていった。


しかし旅行を楽しみ過ぎて、合間にやろうとしていた宿題ができなかったなのはやカオルが、夏休み後半になってから四苦八苦したのも、夏の思い出として皆の記憶に残った。



  
 

 
後書き


次回の『仮面ライダーディケイド~優しき仮面をつけし破壊者~』は……


「「「ゴー!」」」

「エリオ、しばらく見ない内に大きくなったなぁ」

「ミッドチルダ臨海第八空港で大規模火災が発生!至急応援を!」

「良かった、間に合った…!もう大丈夫だよ」

「今回はこいつで行こうか…!」
〈 ATACK RIDE・DRAGOTIME 〉


全てを破壊し、全てを繋げ!


―――――――――――――――――――


士「なんだこれは?」

い、いやなんとなくやってみたかっただけなんだ…

士「そんなのやるんだったら小説書くか勉強しろよ」

煩い煩い!やってられっか勉強なんて!

士「とても受験生の言葉とは思えないな…」

とまぁ…そんなこんなで、ネタがつきました。なのでそろそろStS編に入ろうかと思います。
取り敢えず次回は漫画版とアニメを複合して、StS編に入る前ふりを。

その後は三話程書きたい話を書いてから、本編に入りたいと思います。
ちゃ、ちゃんと勉強もする予定なので、気長に待っていてください。

士「まぁ作者の事も小説の事もよろしく頼む。そうしないと俺が消えちゃうから」

そんなメタ発言は控えなさい!
そ、それではまた次回ということで。さようなら~
  
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